2017.02.26


2月末、競馬の世界は引退の時期ですね。

寒さが若干緩んでいたでしょうか、パークウインズ府中のスタンドでしばらく座っていても大丈夫でした。最終レースも終わり、ホットコーヒーをすすりながら、ターフビジョンに映るメイショウの勝負服を観ていました。

武幸四郎、引退。オースミタイクーンのマイラーズC、しっかりリアルタイムで確認しています。同日中山ではランニングゲイルの弥生賞ですよね。4コーナーのコーナリングもろくに観察できないペーペーでしたが、兄弟同日重賞制覇、デビュー戦で重賞勝利など、記録に残ることはしっかり理解して観ていました。

20年かぁー。G1を6勝、700勝近い通算勝利を挙げた中堅ジョッキーを見送るとは、自分がファンをやっている時間の長さもいっしょに噛み締めちゃいますね。区切りですので、いくつか印象的なレースをものしておこうと思います。


真っ先に浮かぶのは2014年の天皇賞(春)。ウインバリアシオン、単勝勝負していました。明確に武幸四郎「だから」買ったG1ですね。当日にシュタルケから乗り替わりで騎乗することに。その速報はスマホで、ウインズ後楽園の長いエスカレーターを上りながら確認したのを覚えています。腹をくくるまでの逡巡と、4コーナーでキズナより先に追撃を開始したときの高揚感、これもまだ鮮明ですね。幸四郎→シュタルケ→幸四郎という乗り替わりの顛末含め、当時の記事は以下にて。
more than a DECADE 天皇賞(春)

ただ、制したG1でいえば一緒に喜んだ記憶がほぼないというw ここで幸四郎かよ!というやられた感覚のほうが強いのは、人気を背負っての勝利がメイショウマンボの秋くらいだからでしょうね。ソングオブウインドなんか完全にやられましたしね。あの時はドリームパスポートが本命でした。あー就職活動中でドリームパスポートみたいなうまい引っ掛けもあったなぁw

個人的にはG2、G3で2着している時のほうが印象深く、記憶と記録をすり合わせるべく過去のデータを覗いて見ました。ジョッキーを軸に調べるのはJBIS-Searchよりnetkeibaですね。
武幸四郎の年度別成績|競馬データベース - netkeiba.com


ちょっと癖の強い馬や本番ではちょっと足りなかった馬をクラシックに運んでいたんですね。エイシンテンダー、ポイントフラッグ、ローマンエンパイア、リトルアマポーラ、トライアンフマーチ。どの馬も幸四郎がクラシックまで運んでいます。そしてどの馬も、クラシックで結果を残せず、手を離れてそのまま乗ることがないのも同様。

特にG1の有力馬について、以前はお手馬の乗り替わりにもっと心理的ハードルが高かった気がしています。マカヒキのような、ダービーを勝って乗り替わりという柔軟さは、よくもわるくもなかったはずで。幸四郎の場合、リトルアマポーラが典型的と思っています。あの年のクラシックはリトルアマポーラと一緒に戦っていました。その分エリザベス女王杯は的中できたわけですが、乗り替わりはやはり複雑でしたね。

ローマンエンパイアの京成杯は府中のスタンドで生観戦でした。その年は東京競馬場の改修で、1月の中山開催を府中にもっていって秋の府中をまるっと中山に、という調整があったんですよね。ヤマニンセラフィムとの同着。ローマンの単勝をもってやきもきしていました。


2着の惜しさはクラシックのお手馬に限らず。メイショウバトラーで重賞2着3回という惜しい記録も見つけました。ダート転向前の記録。交流重賞の常連となってからはお兄さんの騎乗数が多いですからね。あまりイメージにはありませんでした。それでいうとレマーズガールでも端午Sで2着していたり。

ブロードアピールとは重賞2勝。通算13勝していますが(それ自体がすごいわけですが)、もっとも勝ったジョッキーが武兄弟、いずれも3勝。府中で後方一気を先にやったのは弟の方で(根岸Sですね)、どうやらそのときは怒られたらしく。後に兄が同じことをやったとき(府中のガーネットS)は大絶賛だったとネタにしていた?記憶があります。


こうして振り返ると、いろいろなチャンスに、いろいろなタイプの馬に、大きく崩れることなく応えていたように見えますね。引退式のあいさつにあった「20年間、自分なりに精いっぱい頑張ってきました」というのは、ほんとうに大きく括った言葉なのでしょう。もちろんきれいな話だけではないでしょうしね。いろいろありました。

もしどんなペースも前で受けられるような有力馬が回ってきたとき、どうやってチャンスを活かしていたでしょう。筋力をつけにくい長身ですから、引っ掛けながら先行するような馬は合わなかったかもしれません。それも含めてクラシックで人気を背負う姿は見てみたかったですね。


最後に。

引退式自体は淡々としたものでした。胴上げでカラダがよじれてヘンな姿勢になったのが面白かったくらいで、花束贈呈、本人のあいさつ、写真撮影と、明らかにエモーショナルな瞬間はなかった認識です。基本シャイな人柄と思っていますので、あの雰囲気は「らしさ」と映っていました。

メイショウマンボのオークスが念頭にあるせいなのでしょうかね、ニュース記事では「涙はなかった」というひと言が但し書きのようにはいっていまして。口元に力を込めながら、次を思い描いて区切りをつけるべく引退セレモニーに臨んだ姿を形容するには、ちょっと野暮だなぁという感想がございました。十分、よかったと思っています。


武幸四郎厩舎、という響き、楽しみですね。
おつかれさまでした。



※追記
書き終わってから、2001年のエリザベス女王杯で本命にしていたのを思い出しました。大接戦でしたね。そう考えると、数字にでていたかはわかりませんが、京都得意だったのかもしれないですね。…この調子で追記していくと終わらなくなりそうw

2017.02.19


先日、種牡馬引退のニュースに触れましたので、もろもろまとめて書いておきたいと思います。思い出語りは年々長くなってしまうようでして困ったものですけどね。はい、極力まとめていきます。

ふるさと案内所が速報とオフィシャルアナウンスを兼ねていたでしょうか。改めて記事を見ると必要十分な略歴も書かれていましたね。
スペシャルウィークが種牡馬引退 | 馬産地ニュース | 競走馬のふるさと案内所

公式データはこちらから。
スペシャルウィーク|JBISサーチ(JBIS-Search)


引退の報よりこちら、現役時代の映像を改めて振り返っておりました。こちらの経験値が上がっているせいか、いろいろ気がつく点がありますね。


スペシャルウィークを強く本命に推していたのは4歳春(旧表記では5歳ですね、古馬になってから)の阪神大賞典、天皇賞(春)でした。頼もしかったなぁ。差しを仕込んできた主戦の武豊が自在性を身につけてほしい旨、発言をしていた頃ですね。

改めて観ると、スペシャルウィークで先行したのは岡部が最初でした。3歳のジャパンカップ。スペシャルウィークの白い手綱がピンと張って、両足を突っ張りながらの前受け。長手綱の見栄えが記憶に強いですからね。新鮮でした。

前走の菊花賞は逃げ切られての完敗でしたし、その前の京都新聞杯は3、4コーナーで早め進出からキングヘイローをギリギリ捻じ伏せる内容。どちらも待機策に盤石さが見出しにくい内容ではありました。テン乗りの付加価値を求める意味でも、岡部の先行策は妥当な一手だなぁと。陣営の指示かもしれませんけどね。

アドマイヤベガの新馬戦で騎乗停止だった主戦からすれば、ある意味いいタイミングで先行策のトライアルが成ったのかもしれません。継続騎乗で結果が出ている状況では、なかなか脚質面の冒険はできませんものね。

武豊が引き出したのがサンデーサイレンスの切れなら、岡部が求めたのはマルゼンスキーの持続力だったかもしれません。…思いつきで響きのいい言葉を並べましたすみませんw


阪神大賞典の3コーナー過ぎ、武豊はスペシャルウィークにメジロマックイーンを課したようでした。重馬場でのロングスパート。スピードとスタミナと集中力の持続と。今後チャンピオン足りうるのかという課題のように映ります。

同じく重馬場だったステイヤーズSを大差勝ちしているメジロブライトが最後まで詰めてきましたが、これを退けての勝利。天皇賞への自信につながったでしょうねー。阪神大賞典の後半5ハロンは以下。ラスト1ハロンに折れない心がみえます。
13.0-12.4-12.1-12.0-13.4


ラストレースとなった有馬記念の4コーナー。グラスワンダーの鞍上的場は少し大回りをしながら内を振り返っています。直後につけていたスペシャルウィークからすると、加速しながら飛び込むにはロスのないポイント。グラスワンダーの内にはいれますからね。

いわゆる「釣り」といえばいいでしょうか。首でも入れてくる素振りがあれば、的場はその進路を閉めていたでしょうね。武豊は釣られませんでした。最適なストライドとリズムを重視したなら相当に冷静ですね。

大回りの弧を描くグラスワンダー、その外側を狙って鋭角に直線へ差し込むスペシャルウィーク。それぞれの鞍上の思惑と駆け引きが、対照的な4コーナーのコーナリングを生んだように見えています。…当時は大興奮していましたし今からでもパトロールビデオの公開を求めたいですねw

ずいぶん前に書いた4センチ差の有馬記念についてはこちら。
more than a DECADE 1999年有馬記念


現役時代の印象が強いのは、自分が競馬にのめり込んでいた時期だからでしょう。いや、今ものめり込んでるかw 96年から競馬を始めて、ちょうど少しずつルールや楽しみ方をつかみ始めてきた頃にスペシャルウィーク世代ですから贅沢な趣味ですよね。そうですね、当時はもっとマスコミが文字にするイメージやギミックに素直に反応していたように思います。いろいろ目新しかったしなぁ。


産駒といえば。多数のファンはブエナビスタを挙げるのでしょうけど、印象深いのはシーザリオなんですよね。武豊にしてやられたところから逆襲したオークスも、サンデーサイレンスの孫を里帰りさせたアメリカンオークスも、レースぶりは対照的ながら、強かったですよね。

個人的にはフラワーカップも印象的。先ほど映像を探して観てみましたが、今と変わらない福永のそつのない騎乗がありました。リズムでいえば昨年のエンジェルフェイスなのですが、直線に向いてから突き放すのはシーザリオの地力そのもの。ディアデラノビアがいなければ春のクラシックは不動の本命だったでしょうね。

その仔エピファネイアはダービー本命。お母さんの分も、という思いは実は少なめだったんですけどね。菊花賞の後は母仔含めてよかったなぁと思いました。いま見返したら、シーザリオの向こう側、などと気を利かせた表現を繰り出しておりましたね。
more than a DECADE 菊花賞


上記の表現が差している通り、古馬になってのシーザリオが見てみたかった。先のフラワーカップの延長線上、エピファネイアのジャパンカップの間に、きっとウオッカのような圧倒的なヴィクトリアマイルが見られたのではないかなと思っています。

首の振り子をあまり使わずに走るあたり、スペシャルウィーク譲りという理解をしています。それでいうとブエナビスタも近い動き方ではあるのですが、スペシャルより柔らかいイメージがあって、微妙にお父さんとは区別しているんですよね。とても個人的な心象ですので、ブエナビスタが鬼の子とかいうつもりではないのですけどw

残念なのは牡馬にチャンピオン級がでなかったこと。でもこれを残念と呼ぶのは贅沢なのでしょう。今年からリーチザクラウンが社台スタリオンにスタッドインしていますし、エピファネイア産駒もリオンディーズ産駒も楽しみ。当面スペシャルウィークの響きは血統表の中に残りそうですからね。



最後に。

「STALLIONS IN JAPAN 2017」のDVDが手元に届きました。ターフィー通販クラブでバシッと購入しております。

種牡馬の立ち姿とウォーキング映像をずっと拝見するという、生産も一口馬主でもないファンが反応するにはかなりマニアックな内容なのですが、刊行10周年の企画として過去のリーディングサイヤーや顕彰馬などの写真、映像も収録されていまして、メモリアル感満載のため購入いたしました。

どうやら引退の報は間に合わなかったようで、スペシャルウィークは現役のラインアップに含まれておりました。このリアルなタイムラグがかえって不可逆な時間の経過を寂しく思わせます。


天皇賞春では頼もしい本命、有馬記念では最悪のライバル。思い入れを再確認させていただきました。個人牧場ですから難しいところでしょうが、見学できる環境が整うことを願いつつ。

ダービー馬が役割を全うして余生を過ごせるなら、競馬の有り様としてはひとつの理想と思います。

ありがとうございました、ゆっくりしてくださいませ。

2017.02.05


2週前の話になりますが、まとめておきたいと思います。

毎年、馬事公苑の程近くで開催されている公開講座。例年より開始時間が早まった様で(15::00開始)予めAJCCと東海Sは「見」と決め込んでの参加でした。とはいえ会場に着いてからPATでちらっと買っちゃってましたけどねw

毎年恒例になりつつありますが、これまでのアーカイブがありませんので、テーマだけ備忘録的にテキスト転載しておきます。若干体裁がばらついていますが原文ママということで。


PART1 タイトル「ウマの歩行運動を理解するためのアレコレ」
講師 富山拓磨先生(日本装削蹄協会)
PART2 「脱力と強大プレスの繰り返し!-ウマの下肢部の動きのメカニズム-」
講師 日本装削蹄協会 理事 青木修


開講直前のアナウンスで録音撮影はいいけど無断転用はNG、と注意があるのも毎年恒例。今回も要点を書いておく形にしようと思います。


まずは初登壇の富山先生から。

重心、立つ、歩く・走るという動作。大きく3つのテーマに分かれて講義が進みました。

まずは「重心」。馬の重心の位置はどこでしょうという問いかけから。非常に具体的に「肩甲骨と骨盤の延長線上の交点から垂線を引いた」あたりになるため、昔から語られていた肩と腹の中間あたりよりは後ろになる、とのこと。乗馬でぴったりの位置に乗ると、馬体の真ん中くらいに鞍を置くことに。鞍壺を意識して鞍を置いてみましょう、というコメントもありました。実は鞍壺という言葉は聞き馴染みがなくその場で調べる格好に。競馬ファンならではの知識の偏りでしょうかね。

一方、競馬のジョッキーは重心より前にカラダを置いていることになります。これは前に速く走るために前へ前へ重心移動するには理にかなっている、ということと理解しました。また馬術の馬は首が上付きのほうが、競走馬は前付きのほうが好まれるという話もありましたね。タイキブリザードしかりシアトルスルー系はジョッキーでも乗りにくい首さしのようですが、という質問はさすがに飲み込みましたw

首の重さが80kgくらいという話から、合成重心の考え方に。合成重心の計算方法を紹介しつつ、馬体の動きのなかで重心がどう移動していくのかを、スライドで模式的に見せていただきました。首と胴体を積み木に見立てていましたね。これは図解したほうが分かりやすいかな。非常に腑に落ちました。


あー、ひとつ。取り扱う内容からしてやむを得ないと思っているのですが、全体を通じて専門用語が多かった印象があります。つまり予備知識を要する話が多かったわけなのですが、用語の解説まで含めると相当時間が足りなくなるでしょうし、かといって平易な表現では肝心なポイントを伝え損ねてしまう懸念もあるでしょうし。

受け手のリテラシーをどのあたりに設定するか。Web業界で身を置く自分もなかなか悩ましく日々向かい合う部分ですので、知的好奇心を刺激されつつ、ちょっと心配しながら見守っていました。横にすわっていた小学生(おそらく乗馬をしているのでしょう)のリアクションが割と薄かったんですよね。わからない世界をわからないまま体験するのも悪くはないのでしょうが、難しいところです。

例えば、「立つ」話の中ででてきた支持基底面という言葉、馬だと四肢、人間ですとつま先とかかとを頂点にした四角形のことなのですが、支持基底面、カタイ言葉ですものね。でもこの四角形の面積が大きいほうが安定しやすい、ただし馬の背中を丸めると腹筋にテンションがかからずに立てるので四角形は若干狭くなるが馬は立ちやすい、とか。ほら、興味深い話につながるわけですよ。

ちなみに、洗い場につないでおくときなどによくわかると話されていたのですが、後脚を交互に上げて休ませている状態。四角形が崩れるとバランスが悪いため(重心が支持基底面の外に出ると立つバランスが取れなくなる)、接地している後脚を馬体の真ん中にずらして自然と三角形をつくっているとのことでした。


「歩く・走る」は脚が動く順序が中心。常歩、速歩の違い、側対速歩だと左右にぶれやすくいわゆるらくだ酔いを起こしやすい、などなど。対照的な走法の例としてドッグレースのスタートダッシュの映像をスローで見せていただきましたね。犬はすごくトモがはいってるね、というジョークがばっちりウケるのはこうした講座ならでは、ですね。

一点、反手前の前脚に加重(=負荷)がかかりやすいという認識があったのですが、競走馬に関しては手前の脚と差がなくなるようです。障害を跳んで着地、という乗馬のほうが反手前の前脚に負荷がかかりやすいとのこと。個別のシチュエーションにも依るのでしょうが、ひとつ参考になる知識でした。頭に浮かんでいたのは京成杯のマイネルスフェーン。端的に故障の原因を語るのは易いですよね。



そして青木先生。

昨年、定年を迎えて最後の講義になるという仄めかしがあったと記憶していましたが、今年も来ちゃいましたというお茶目なトーン。聴衆の皆さんのリアクションでそれが好意的に受け止められていることが伝わりました。20回すべてで講義されていますが、これからも続きそうですね。

お決まりの、乗り手が馬を壊すことのほうが要因として大きいという話。装蹄に起因する問題を科学的にアプローチして、装蹄側のいわゆる「冤罪」を主張されてきたことを改めて話されていました。実際は冗談のトーンをしっかり残しながら雑な表現とでかい声、みたいな。かえって装蹄側の難しい立場が伝わってきましたね。確かに装蹄がわるい、とは言いやすいですものね。


脚にかかる負荷については、体重ではなく荷重と表現しなければいけない、というのが導入の話でした。運動で生じる力の移動も考慮する必要がある、ということですね。

高齢の乗馬は下肢部、球節にトラブルが起きやすいという話から、いかに馬は脚にかかる荷重を「抜いて」いるのか、という本題にはいっていきました。


前肢、後肢それぞれの骨格に注目。前肢の膝部分は骨と骨の角度がまっすぐで、力の逃げ場が少ないとのこと。競走馬の故障、1/3は前膝だそうです。その一方、この真っ直ぐな形状であることが筋力を使わずに長時間の起立を可能にしている側面もあるようです。構造上必要なまっすぐさが故障のポイントにもなる悩ましさ。


一方のトモですが、そうですね、受講者全員が立って中腰になる光景はかなり珍妙でしたねw でもまっすぐな前肢と対照的に、トモが常にこの筋肉がプルプルするつらい状態にあることはよく体感できました。

先ほどの支持基底面の件でトモを交互に上げて休める話がありましたが、この常時中腰状態に起因するのでしょうね。昔から曲飛が避けられてきたのはこのあたりなのかな、と思いながら聞いておりました。


前肢、後肢それぞれの骨格についてもっと詳しい説明がありましたが、割愛しないと終わらないので割愛で。前肢は肩の部分と球節が、後肢は飛節含めすべての関節が。いわゆるジグザグな形状であることを利して上からの荷重を上手く逸らしている、ということが要点でした。


そして球節については腱の構造含めて詳しく図解がありました。構造から腱にどのような負担がかかるか、浅屈腱の形状からテンションがかかる部位によって断裂のパターン分類があること(屈腱炎の98%が浅屈腱とのこと)、そして屈腱への対処方法まで(レース後すぐにとにかく冷やす!だそうです)話がつながっていきました。

球節の故障も全体の1/3、つまり前膝と球節に競走馬の故障の2/3が集中するという統計になっているようです。前脚、たいへんですね。


高齢の乗馬は関節が固くなって荷重が抜けにくくなる一方で、馬術競技は荷重をかけた状態で脚をねじる動きが多いから、国際馬術連盟に問い合わせてですね、というジョークが飛び出しておりましたw 講義のオチも完璧でしたねw

青木先生はホワイトボードに画を描きながら用語や構造の解説をしていらっしゃいました。難しくなりがちなことは画を描くとわかりやすいですよね。このあたりは経験のなせる業なのでしょう。



最後に。

書籍やブログなどでこうした知識に触れることは以前に比べてずいぶんハードルが下がってきていると思っていますが、直接話を聞くことが出来る機会はやっぱり貴重ですね。

まとめて読む時間がとれていませんが、競走馬ハンドブックも読みたいですねぇ。アンテナの張り方は相変わらず、来年の開催も楽しみにしています。

2017.02.01


今回はテニスの話。えぇテニスです、はいw

2008年のウィンブルドン決勝をリアルタイムで観ていたひとですので、フェデラーが決勝進出を決めたあたりからはワクワクしっぱなしでした。テニスはもう120%素人なわけですが(そのくせテレビの前では面倒な講釈を垂れるわけですが)、素人目にもわかりやすい一進一退のゲーム内容だったと思います。フェデラーとナダル、タイプの異なるプレイヤーであることもこのマッチアップが面白くなる要因なのでしょうね。あつかったー。素晴らしい試合でした。

あー、個人的にフェデラーのバックハンドが好きなんですよね。ゴルフスイングのように遅れて顔が上がってボールの軌跡を追うわけですが、打ち切りながらの睥睨するようなその佇まいが、ドS感満載なんですよねw エゲツない角度で決めてきますし。褒めていますよもちろんw

で、記事タイトルの話。これまでも2人の対戦はあったわけですし、テニス界のトレンドなどをつぶさに追いかけてもいませんので、以下のコラム頼りになるのですが。
速いサーフェスの影響?36歳のビーナス、35歳のフェデラーとセレナが決勝へ [全豪オープン]|グランドスラム|ニュース|THE TENNIS DAILY

会場となったロッド・レーバー アリーナのサーフェススピードが上がっているとの記事。読み手に多少予備知識が求める内容のようですので(素人にやさしくないとかよしあしを言いたいわけではないですよもちろん)調べてみました。
コートの種類と特徴 | テニス初心者のための上達ナビ


ロッド・レーバー アリーナはハードコート。人工ゴム的な素材でコーティングした表面をもっています。バウンドした際にスピードが落ちず、バウンドの角度が高めという特徴があるようです。プレイヤーが踏み込んだ際に滑りにくい特徴も。ふむ。

そしてコーティングの状況でボールスピードが「速い」「遅い」とプレイヤーの感覚値が変わるようで、今年は「速い」という声が多数とのこと。

ちなみにフェデラー、ナダルとも角度のあるショットに対しては深追いせずに早めに見送る判断をしているようでした。むやみにダッシュしませんからスタミナを温存することにもつながるでしょう。これはコートの特徴&今年の「速さ」を加味した判断なのでしょうね。クレーコートだとダッシュして滑って追いつくプレイがよく見られますので。


…はい、すばらしいラリーを観戦しながら、エアレーションなしのエクイターフに近いのかもなー、などとイメージが連関しちゃったあたりがどうかしていますよねw

芝馬場のコンディションの場合、サーフェス(=芝草や表面の土の部分)の状態だけでなく根茎の密度や強さ、数センチ下の保水状態などでグリップの仕方が変化しますから、より繊細といえるでしょうか。あー、凍結防止剤でダートの「速さ」が変わるのも近しいイメージで捉えられそうです。


人間ですと、サーフェスの特徴に対する「対応力」が勝敗を分けるのでしょうが、馬の場合はその馬のフォームやフレーム(骨格ですね)による「適性」のほうが勝敗に色濃く影響するのかもしれません。

競技こそ違え、接地面のコンディションがパフォーマンスに大きく影響するあたり、それだけその競技のクオリティが高いレベル(=わずかな違いに繊細)にあるのでしょうね。



最後に。

Ladies and Gentlemen, the King has returned.

全豪オープンのツイートが洒落ていました。膝のケガによる半年の休養を経て、グランドスラムでの復活V。ロジャー・フェデラーへの簡潔かつ素晴らしい賛辞。日本のニュースでは「王の帰還」と訳していましたね。

「僕は帰ってきました」と府中のスタンドに応えたジョッキーを思い出しました。今年は根岸Sの週まで終えてリーディング2位。こちらの王の帰還も近いでしょうか。

個人的には田辺、武豊と、好きなタイプのジョッキーがリーディング上位にいることが素晴らしいなと。いい馬といいパフォーマンスが比例して増えていくなら、こちらの見応えも増してきます。たくさん楽しみたいですねー。

2017.01.26


昨日発表がありました。おもしろいランキングですね。

IFHA(国際競馬統括機関連盟)が世界のG1をランク付けしたもの。詳しくはJRAのリリースを参照くださいませ。
世界のトップ100 GIレースがIFHAから発表! JRA

ランキング自体はPDFのようです。
The World's Top 100 Group/Grade One Races for 3yo's and upwards - 2016

IFHAのリリースはこちら。
Top 100 G1 Races Announced for 2016 | International Federation of Horseracing Authorities

過去3年の平均値だったのが、今年からは単年度のレースレーティングでランキングしているとのこと。競りで売買するような生業なら微に入り細に入り分析するところですが、あくまで1ファン目線ですのでね、ざっくりした感想をば。テキトーに流してくださいませ。

やっぱりトラヴァーズSが効いているんでしょうか、実績あるカリフォルニアクロームと接戦したブリーダーズカップクラシックと勝ち馬アローゲイトが高評価を得ていますね。ブリーダーズカップクラシックは125.25でトップレーティング。あのパフォーマンスを見れば納得するところですけどね。

日本のレースは有馬記念の13位を筆頭に、合計12レースがランクイン。まぁ11位にイスパーン賞がはいっていますので、これもカウントしちゃってよい気がしますがw ランクインしたレース数でいえば、オーストラリアとアメリカの23、イギリスの19に次いで日本は4番目。5番目が香港の11、6番目がフランスの7、ドバイはその後ですから、日本のレースレベルが世界の物差しで測れるように、そしてその中で評価されるようになっているんですね。しみじみ。

それぞれ、ランクインしたレースと同ランクのレースを少し挙げてみましょうか。

有馬記念(13位タイ):英インターナショナルS
宝塚記念(15位タイ):ドバイワールドカップ、ブリーダーズカップディスタフ、香港カップ
天皇賞(秋)(19位タイ):チャンピオンズマイル
皐月賞、東京優駿(24位タイ):オーサムアゲインS、クイーンアンS
ジャパンカップ(28位タイ):コルゲート・オプティック・ホワイトS


馬場や距離の条件が混在した状態でのランキングですので、横の比較をするつもりはなく、世界のビックレースとこんな形で並べて語られるようになったんだなぁという感慨。単年度の比較になったことで、個人的にはよりぐっと実感が湧いています。

あまり耳なじみのないところは、オーサムアゲインS、コルゲート・オプティック・ホワイトSでしょうか。オーサムアゲインSはカリフォルニアクロームが楽勝(最後思いっきり流してました)したレース、コルゲートほにゃにゃらはウィンクスが余裕の差し切りを決めたレース。チャンピオンクラスが走ることで注目度があがるレースもありますね。

…しかし、モーリスの安定感が抜群という。あの安田記念を走らずにロイヤルアスコットに遠征していたら、このランキングも変わっていたのかな、などとイメージが膨らんでしまいます。


各国のギニーの中で、そして各国のダービーの中で、日本が最上位という結果はシンボリックとも思っています。ジャパンカップに海外のチャンピオンクラスが参戦してこない件も、これを見るとちょっと納得です。端的に、芝中距離は日本馬が強い、ということの一端なのでしょう。

こうした比較もG1ホースの海外遠征があってこそ。当事者にはなかなか苦しい選択が続いているのかもしれませんが(サトノの馬主さんが香港の馬場と遠征に難色を示すコメントも目にしていましたし)、世界との比較ができる状況を生み出すことは市場が国内に留まらないことを意味しているでしょうし。続いてほしい流れではあります。

いや、もっと端的に、こうした比較は楽しいんですよね。いい時代の競馬を観ることができているのかもしれません。