2017.06.11


右前脚に熱があり、獣医の判断で取り消しとなりました。

JRAの発表はこちら。右前肢跛行と表現されています。
【2017ベルモントステークス(G1)エピカリス号が出走取消 JRA

Racing Post の記事はこちら。
Japanese raider Epicharis out of the Belmont Stakes | Horse Racing News | Racing Post

水曜の追い切り後に右前に熱をもったという報道が出ていました。陣営は最後まで出走の意思を持って対応していたようですが、最終的に向こうの獣医が判断を下した模様です。

萩原師は深刻な状態にはないとコメント、診断をしたスコット・パーマーはあと1週間あれば走れただろうというコメント。100万ドルのボーナスの可能性、数億に及んだであろう日本での馬券の売り上げ、今後の招致活動への影響。すべて重要な事柄ですが、馬のコンディションが優先され、ビジネスの都合、そのしわ寄せが馬への負荷につながらなかったことは健全と表現するのがよいでしょうか。

「The top priority is the horse.」というコメントが象徴的ですね。なにやらエンデュランスのチェックポイントが通過できなかったような印象もあります。賢明な判断があった、と理解すべきでしょう。とても残念ですけどね。


古くは、いや個人的にはまだまだ鮮明な記憶ですが、カジノドライヴもまたベルモントには辿り着けませんでした。改めて調べてみましたが、前日に発症した左後ろのざ石。JRA-VANの鈴木淑子さんの記事に行き当たったのですが、こうした時の期待のつなぎ方は今も昔も変わりませんね。
第4回 カジノドライヴの夢の旅はつづく|競馬かわらVAN|競馬情報ならJRA-VAN

そう考えると、昨年のラニは本当に価値あるチャレンジで、とてもタフだったなぁと改めて。調教助手さんのツイートから、当時の調整にはかなりご苦労されたことが窺い知れております。


馬券販売はもちろん継続。日本馬のスクラッチは想定された範囲のこと、でないと相当片手落ちですものね。日本馬不在でかつ各馬の情報、予想などが揃った海外レース。どんな売り上げになるでしょう。自分は、…素直にアイリッシュウォークライから行こうかなw


最後に。

エピカリスの今後。まだまだ気の早い話ですが、今年は国内専念してほしいかなと。しっかりカラダが出来上がってから、その頃には日本のチャンピオンでいるでしょうから、改めてチャレンジしてほしいと思っています。新潟、大井、中京、府中。単純に直接レースを目にしたいのが大きいですけどね。

最終的に、サンデーサイレンスの血をアメリカに還流できれば素晴らしい結末でしょうか。出走取消はその楽しみをつなげるプロセスのひとつと受け取っているところです。残念ですけどね。


2017.05.04


ちょっとした思い付きを。

キタサンブラックの強さはコースを問わないなぁ、などとふわふわ考えていた際に着想。歴代のG1馬をコース別で分けてみるとどうなるか。「中央」4競馬場(東京、中山、京都、阪神)にフォーカスして、ざっと分類してみました。

条件:
・対象はグレード制導入後、中央G1を4勝以上した馬(3勝だとちょっと多くて。。。)
・G1を制している競馬場の数をカウント
・G1を制していないがG1を2着、または重賞勝ちのある競馬場をプラスアルファでカウント


結果は以下の通り。割と端的な結果になったような。

・4場すべてでG1勝利
テイエムオペラオー
ディープインパクト
オルフェーヴル
ジェンティルドンナ

・東京、中山、京都+阪神
オグリキャップ
ナリタブライアン
ダイワメジャー
メイショウサムソン

・中山、京都、阪神+東京
ダイワスカーレット
マヤノトップガン
ゴールドシップ

・東京、京都、阪神+中山
メジロドーベル
ブエナビスタ
アパパネ
キタサンブラック

例えばキタサンブラックは、ジャパンカップ(東京)、菊花賞+天皇賞春2回(京都)、大阪杯(阪神)でG1を獲っていて、中山では有馬記念2着、ないしG2セントライト記念勝ちがありますので「3+1」という括りになります。


…早速コアな皆さまからはうりゃおいな勢いでお叱りをいただきそうですねw 京都と阪神の内回り、外回りを区別していないあたりは特にそうでしょう。あくまで「端的に」分類と把握ができればなぁという分析ですので、そのあたりは含みおきいただければと。個人的な最近の流行り言葉が「正確だけど煩雑」というのもありますね。

阪神だけG1未勝利という馬が牡馬ばかりなのは、いまでは朝日杯がありますが、宝塚記念オンリーという事情が大きいでしょう。牝馬には阪神JFと桜花賞がありますからね。一方、中山のG1未勝利に牝馬が集中しているのはもちろん牝馬G1がないから。そう考えると、コースに限らずその都度の諸条件のばらつきを乗り越えて4場すべてでG1を獲るのは相当傑出していることが分かりますね。

「3+1」でもその時その時のG1戦線を牽引した馬がしっかりカウントされることがわかります。もちろん、この「3+1」にあてはまらなくても強かった馬はゴロゴロいますよね。残りの該当馬の分類は以下の通り。こちらも興味深い。カッコ内の未勝利、未出走はG1についてです。

・3+0
ミスターシービー(阪神未勝利)
シンボリルドルフ(阪神未出走)
タイキシャトル(阪神未勝利)

・2+0
ウオッカ(中山、京都未勝利)

・2+2
スペシャルウィーク(中山、阪神未勝利)

・2+1
トウカイテイオー(京都、阪神未勝利)
メジロマックイーン(東京、中山未勝利)
グラスワンダー(東京未勝利、京都未出走)
シンボリクリスエス(京都未出走、阪神未勝利)


例外なのはロードカナロアとアグネスデジタルかな。どちらも香港勝ちがあり、後者は川崎、盛岡も加わります。中央以外の実績を加えてはじめて条件を問わない強さが見えてくるタイプと言えるでしょうか。いずれも短距離を主戦場にしているのはG1の数が限定されていることもあるかな。あー、タイキシャトルはドーヴィルでも勝ってますよね。

直線の長さと勾配から、東京と京都、中山と阪神を括ってとらえることは珍しい考え方ではないでしょう。それに倣うならスペシャルウィークとグラスワンダーはきれいな棲み分けになっていますね。中山と阪神でグラスワンダーが上回ったという格好ですが、中山での差はほんとうに僅かですし、スペシャルウィークは中山で重賞2勝。とはいえグラスワンダーも東京1400では破壊的な追い込みを見せていますし。…いい時代を目撃できたんですねぇw

ウオッカとシンボリクリスエスは厩舎の取ったローテーションにバイアスが見られますし(それがまた面白い)、コンプリートという点ではシンボリルドルフの宝塚記念取消がくやまれますw



異なる3場で結果を出しているということは、条件を問わない強さの証でしょう。その点で「3+1」がひとつの閾値、端的なバロメーターになるように思いました。G1を3つ獲っている馬の分類は数が多いので、興味が湧いた方はやってみてくださいませ。あー、あくまで芝G1に重きを置いた分析になっていますよね。ダートの指標はまた違ったものになるのでしょう。

参考にしたのは以下のサイトでした。ありがとうございました。勝手紹介ですが。
競走馬名鑑 : G1勝利数(JRA)



最後に。

武豊がキタサンブラックを指して日本のエースとコメントしていました(ご自身のブログにて)。大阪杯の時点でこの「3+1」に加わっていたわけで、そこにレコードで連覇ですからね。これまでの名馬と並べても納得感があります。

すでに出走各馬の次走報もでていますけどね。天皇賞春についてはこのあと書こうと思います。

2017.02.26


2月末、競馬の世界は引退の時期ですね。

寒さが若干緩んでいたでしょうか、パークウインズ府中のスタンドでしばらく座っていても大丈夫でした。最終レースも終わり、ホットコーヒーをすすりながら、ターフビジョンに映るメイショウの勝負服を観ていました。

武幸四郎、引退。オースミタイクーンのマイラーズC、しっかりリアルタイムで確認しています。同日中山ではランニングゲイルの弥生賞ですよね。4コーナーのコーナリングもろくに観察できないペーペーでしたが、兄弟同日重賞制覇、デビュー戦で重賞勝利など、記録に残ることはしっかり理解して観ていました。

20年かぁー。G1を6勝、700勝近い通算勝利を挙げた中堅ジョッキーを見送るとは、自分がファンをやっている時間の長さもいっしょに噛み締めちゃいますね。区切りですので、いくつか印象的なレースをものしておこうと思います。


真っ先に浮かぶのは2014年の天皇賞(春)。ウインバリアシオン、単勝勝負していました。明確に武幸四郎「だから」買ったG1ですね。当日にシュタルケから乗り替わりで騎乗することに。その速報はスマホで、ウインズ後楽園の長いエスカレーターを上りながら確認したのを覚えています。腹をくくるまでの逡巡と、4コーナーでキズナより先に追撃を開始したときの高揚感、これもまだ鮮明ですね。幸四郎→シュタルケ→幸四郎という乗り替わりの顛末含め、当時の記事は以下にて。
more than a DECADE 天皇賞(春)

ただ、制したG1でいえば一緒に喜んだ記憶がほぼないというw ここで幸四郎かよ!というやられた感覚のほうが強いのは、人気を背負っての勝利がメイショウマンボの秋くらいだからでしょうね。ソングオブウインドなんか完全にやられましたしね。あの時はドリームパスポートが本命でした。あー就職活動中でドリームパスポートみたいなうまい引っ掛けもあったなぁw

個人的にはG2、G3で2着している時のほうが印象深く、記憶と記録をすり合わせるべく過去のデータを覗いて見ました。ジョッキーを軸に調べるのはJBIS-Searchよりnetkeibaですね。
武幸四郎の年度別成績|競馬データベース - netkeiba.com


ちょっと癖の強い馬や本番ではちょっと足りなかった馬をクラシックに運んでいたんですね。エイシンテンダー、ポイントフラッグ、ローマンエンパイア、リトルアマポーラ、トライアンフマーチ。どの馬も幸四郎がクラシックまで運んでいます。そしてどの馬も、クラシックで結果を残せず、手を離れてそのまま乗ることがないのも同様。

特にG1の有力馬について、以前はお手馬の乗り替わりにもっと心理的ハードルが高かった気がしています。マカヒキのような、ダービーを勝って乗り替わりという柔軟さは、よくもわるくもなかったはずで。幸四郎の場合、リトルアマポーラが典型的と思っています。あの年のクラシックはリトルアマポーラと一緒に戦っていました。その分エリザベス女王杯は的中できたわけですが、乗り替わりはやはり複雑でしたね。

ローマンエンパイアの京成杯は府中のスタンドで生観戦でした。その年は東京競馬場の改修で、1月の中山開催を府中にもっていって秋の府中をまるっと中山に、という調整があったんですよね。ヤマニンセラフィムとの同着。ローマンの単勝をもってやきもきしていました。


2着の惜しさはクラシックのお手馬に限らず。メイショウバトラーで重賞2着3回という惜しい記録も見つけました。ダート転向前の記録。交流重賞の常連となってからはお兄さんの騎乗数が多いですからね。あまりイメージにはありませんでした。それでいうとレマーズガールでも端午Sで2着していたり。

ブロードアピールとは重賞2勝。通算13勝していますが(それ自体がすごいわけですが)、もっとも勝ったジョッキーが武兄弟、いずれも3勝。府中で後方一気を先にやったのは弟の方で(根岸Sですね)、どうやらそのときは怒られたらしく。後に兄が同じことをやったとき(府中のガーネットS)は大絶賛だったとネタにしていた?記憶があります。


こうして振り返ると、いろいろなチャンスに、いろいろなタイプの馬に、大きく崩れることなく応えていたように見えますね。引退式のあいさつにあった「20年間、自分なりに精いっぱい頑張ってきました」というのは、ほんとうに大きく括った言葉なのでしょう。もちろんきれいな話だけではないでしょうしね。いろいろありました。

もしどんなペースも前で受けられるような有力馬が回ってきたとき、どうやってチャンスを活かしていたでしょう。筋力をつけにくい長身ですから、引っ掛けながら先行するような馬は合わなかったかもしれません。それも含めてクラシックで人気を背負う姿は見てみたかったですね。


最後に。

引退式自体は淡々としたものでした。胴上げでカラダがよじれてヘンな姿勢になったのが面白かったくらいで、花束贈呈、本人のあいさつ、写真撮影と、明らかにエモーショナルな瞬間はなかった認識です。基本シャイな人柄と思っていますので、あの雰囲気は「らしさ」と映っていました。

メイショウマンボのオークスが念頭にあるせいなのでしょうかね、ニュース記事では「涙はなかった」というひと言が但し書きのようにはいっていまして。口元に力を込めながら、次を思い描いて区切りをつけるべく引退セレモニーに臨んだ姿を形容するには、ちょっと野暮だなぁという感想がございました。十分、よかったと思っています。


武幸四郎厩舎、という響き、楽しみですね。
おつかれさまでした。



※追記
書き終わってから、2001年のエリザベス女王杯で本命にしていたのを思い出しました。大接戦でしたね。そう考えると、数字にでていたかはわかりませんが、京都得意だったのかもしれないですね。…この調子で追記していくと終わらなくなりそうw

2017.02.19


先日、種牡馬引退のニュースに触れましたので、もろもろまとめて書いておきたいと思います。思い出語りは年々長くなってしまうようでして困ったものですけどね。はい、極力まとめていきます。

ふるさと案内所が速報とオフィシャルアナウンスを兼ねていたでしょうか。改めて記事を見ると必要十分な略歴も書かれていましたね。
スペシャルウィークが種牡馬引退 | 馬産地ニュース | 競走馬のふるさと案内所

公式データはこちらから。
スペシャルウィーク|JBISサーチ(JBIS-Search)


引退の報よりこちら、現役時代の映像を改めて振り返っておりました。こちらの経験値が上がっているせいか、いろいろ気がつく点がありますね。


スペシャルウィークを強く本命に推していたのは4歳春(旧表記では5歳ですね、古馬になってから)の阪神大賞典、天皇賞(春)でした。頼もしかったなぁ。差しを仕込んできた主戦の武豊が自在性を身につけてほしい旨、発言をしていた頃ですね。

改めて観ると、スペシャルウィークで先行したのは岡部が最初でした。3歳のジャパンカップ。スペシャルウィークの白い手綱がピンと張って、両足を突っ張りながらの前受け。長手綱の見栄えが記憶に強いですからね。新鮮でした。

前走の菊花賞は逃げ切られての完敗でしたし、その前の京都新聞杯は3、4コーナーで早め進出からキングヘイローをギリギリ捻じ伏せる内容。どちらも待機策に盤石さが見出しにくい内容ではありました。テン乗りの付加価値を求める意味でも、岡部の先行策は妥当な一手だなぁと。陣営の指示かもしれませんけどね。

アドマイヤベガの新馬戦で騎乗停止だった主戦からすれば、ある意味いいタイミングで先行策のトライアルが成ったのかもしれません。継続騎乗で結果が出ている状況では、なかなか脚質面の冒険はできませんものね。

武豊が引き出したのがサンデーサイレンスの切れなら、岡部が求めたのはマルゼンスキーの持続力だったかもしれません。…思いつきで響きのいい言葉を並べましたすみませんw


阪神大賞典の3コーナー過ぎ、武豊はスペシャルウィークにメジロマックイーンを課したようでした。重馬場でのロングスパート。スピードとスタミナと集中力の持続と。今後チャンピオン足りうるのかという課題のように映ります。

同じく重馬場だったステイヤーズSを大差勝ちしているメジロブライトが最後まで詰めてきましたが、これを退けての勝利。天皇賞への自信につながったでしょうねー。阪神大賞典の後半5ハロンは以下。ラスト1ハロンに折れない心がみえます。
13.0-12.4-12.1-12.0-13.4


ラストレースとなった有馬記念の4コーナー。グラスワンダーの鞍上的場は少し大回りをしながら内を振り返っています。直後につけていたスペシャルウィークからすると、加速しながら飛び込むにはロスのないポイント。グラスワンダーの内にはいれますからね。

いわゆる「釣り」といえばいいでしょうか。首でも入れてくる素振りがあれば、的場はその進路を閉めていたでしょうね。武豊は釣られませんでした。最適なストライドとリズムを重視したなら相当に冷静ですね。

大回りの弧を描くグラスワンダー、その外側を狙って鋭角に直線へ差し込むスペシャルウィーク。それぞれの鞍上の思惑と駆け引きが、対照的な4コーナーのコーナリングを生んだように見えています。…当時は大興奮していましたし今からでもパトロールビデオの公開を求めたいですねw

ずいぶん前に書いた4センチ差の有馬記念についてはこちら。
more than a DECADE 1999年有馬記念


現役時代の印象が強いのは、自分が競馬にのめり込んでいた時期だからでしょう。いや、今ものめり込んでるかw 96年から競馬を始めて、ちょうど少しずつルールや楽しみ方をつかみ始めてきた頃にスペシャルウィーク世代ですから贅沢な趣味ですよね。そうですね、当時はもっとマスコミが文字にするイメージやギミックに素直に反応していたように思います。いろいろ目新しかったしなぁ。


産駒といえば。多数のファンはブエナビスタを挙げるのでしょうけど、印象深いのはシーザリオなんですよね。武豊にしてやられたところから逆襲したオークスも、サンデーサイレンスの孫を里帰りさせたアメリカンオークスも、レースぶりは対照的ながら、強かったですよね。

個人的にはフラワーカップも印象的。先ほど映像を探して観てみましたが、今と変わらない福永のそつのない騎乗がありました。リズムでいえば昨年のエンジェルフェイスなのですが、直線に向いてから突き放すのはシーザリオの地力そのもの。ディアデラノビアがいなければ春のクラシックは不動の本命だったでしょうね。

その仔エピファネイアはダービー本命。お母さんの分も、という思いは実は少なめだったんですけどね。菊花賞の後は母仔含めてよかったなぁと思いました。いま見返したら、シーザリオの向こう側、などと気を利かせた表現を繰り出しておりましたね。
more than a DECADE 菊花賞


上記の表現が差している通り、古馬になってのシーザリオが見てみたかった。先のフラワーカップの延長線上、エピファネイアのジャパンカップの間に、きっとウオッカのような圧倒的なヴィクトリアマイルが見られたのではないかなと思っています。

首の振り子をあまり使わずに走るあたり、スペシャルウィーク譲りという理解をしています。それでいうとブエナビスタも近い動き方ではあるのですが、スペシャルより柔らかいイメージがあって、微妙にお父さんとは区別しているんですよね。とても個人的な心象ですので、ブエナビスタが鬼の子とかいうつもりではないのですけどw

残念なのは牡馬にチャンピオン級がでなかったこと。でもこれを残念と呼ぶのは贅沢なのでしょう。今年からリーチザクラウンが社台スタリオンにスタッドインしていますし、エピファネイア産駒もリオンディーズ産駒も楽しみ。当面スペシャルウィークの響きは血統表の中に残りそうですからね。



最後に。

「STALLIONS IN JAPAN 2017」のDVDが手元に届きました。ターフィー通販クラブでバシッと購入しております。

種牡馬の立ち姿とウォーキング映像をずっと拝見するという、生産も一口馬主でもないファンが反応するにはかなりマニアックな内容なのですが、刊行10周年の企画として過去のリーディングサイヤーや顕彰馬などの写真、映像も収録されていまして、メモリアル感満載のため購入いたしました。

どうやら引退の報は間に合わなかったようで、スペシャルウィークは現役のラインアップに含まれておりました。このリアルなタイムラグがかえって不可逆な時間の経過を寂しく思わせます。


天皇賞春では頼もしい本命、有馬記念では最悪のライバル。思い入れを再確認させていただきました。個人牧場ですから難しいところでしょうが、見学できる環境が整うことを願いつつ。

ダービー馬が役割を全うして余生を過ごせるなら、競馬の有り様としてはひとつの理想と思います。

ありがとうございました、ゆっくりしてくださいませ。

2017.02.05


2週前の話になりますが、まとめておきたいと思います。

毎年、馬事公苑の程近くで開催されている公開講座。例年より開始時間が早まった様で(15::00開始)予めAJCCと東海Sは「見」と決め込んでの参加でした。とはいえ会場に着いてからPATでちらっと買っちゃってましたけどねw

毎年恒例になりつつありますが、これまでのアーカイブがありませんので、テーマだけ備忘録的にテキスト転載しておきます。若干体裁がばらついていますが原文ママということで。


PART1 タイトル「ウマの歩行運動を理解するためのアレコレ」
講師 富山拓磨先生(日本装削蹄協会)
PART2 「脱力と強大プレスの繰り返し!-ウマの下肢部の動きのメカニズム-」
講師 日本装削蹄協会 理事 青木修


開講直前のアナウンスで録音撮影はいいけど無断転用はNG、と注意があるのも毎年恒例。今回も要点を書いておく形にしようと思います。


まずは初登壇の富山先生から。

重心、立つ、歩く・走るという動作。大きく3つのテーマに分かれて講義が進みました。

まずは「重心」。馬の重心の位置はどこでしょうという問いかけから。非常に具体的に「肩甲骨と骨盤の延長線上の交点から垂線を引いた」あたりになるため、昔から語られていた肩と腹の中間あたりよりは後ろになる、とのこと。乗馬でぴったりの位置に乗ると、馬体の真ん中くらいに鞍を置くことに。鞍壺を意識して鞍を置いてみましょう、というコメントもありました。実は鞍壺という言葉は聞き馴染みがなくその場で調べる格好に。競馬ファンならではの知識の偏りでしょうかね。

一方、競馬のジョッキーは重心より前にカラダを置いていることになります。これは前に速く走るために前へ前へ重心移動するには理にかなっている、ということと理解しました。また馬術の馬は首が上付きのほうが、競走馬は前付きのほうが好まれるという話もありましたね。タイキブリザードしかりシアトルスルー系はジョッキーでも乗りにくい首さしのようですが、という質問はさすがに飲み込みましたw

首の重さが80kgくらいという話から、合成重心の考え方に。合成重心の計算方法を紹介しつつ、馬体の動きのなかで重心がどう移動していくのかを、スライドで模式的に見せていただきました。首と胴体を積み木に見立てていましたね。これは図解したほうが分かりやすいかな。非常に腑に落ちました。


あー、ひとつ。取り扱う内容からしてやむを得ないと思っているのですが、全体を通じて専門用語が多かった印象があります。つまり予備知識を要する話が多かったわけなのですが、用語の解説まで含めると相当時間が足りなくなるでしょうし、かといって平易な表現では肝心なポイントを伝え損ねてしまう懸念もあるでしょうし。

受け手のリテラシーをどのあたりに設定するか。Web業界で身を置く自分もなかなか悩ましく日々向かい合う部分ですので、知的好奇心を刺激されつつ、ちょっと心配しながら見守っていました。横にすわっていた小学生(おそらく乗馬をしているのでしょう)のリアクションが割と薄かったんですよね。わからない世界をわからないまま体験するのも悪くはないのでしょうが、難しいところです。

例えば、「立つ」話の中ででてきた支持基底面という言葉、馬だと四肢、人間ですとつま先とかかとを頂点にした四角形のことなのですが、支持基底面、カタイ言葉ですものね。でもこの四角形の面積が大きいほうが安定しやすい、ただし馬の背中を丸めると腹筋にテンションがかからずに立てるので四角形は若干狭くなるが馬は立ちやすい、とか。ほら、興味深い話につながるわけですよ。

ちなみに、洗い場につないでおくときなどによくわかると話されていたのですが、後脚を交互に上げて休ませている状態。四角形が崩れるとバランスが悪いため(重心が支持基底面の外に出ると立つバランスが取れなくなる)、接地している後脚を馬体の真ん中にずらして自然と三角形をつくっているとのことでした。


「歩く・走る」は脚が動く順序が中心。常歩、速歩の違い、側対速歩だと左右にぶれやすくいわゆるらくだ酔いを起こしやすい、などなど。対照的な走法の例としてドッグレースのスタートダッシュの映像をスローで見せていただきましたね。犬はすごくトモがはいってるね、というジョークがばっちりウケるのはこうした講座ならでは、ですね。

一点、反手前の前脚に加重(=負荷)がかかりやすいという認識があったのですが、競走馬に関しては手前の脚と差がなくなるようです。障害を跳んで着地、という乗馬のほうが反手前の前脚に負荷がかかりやすいとのこと。個別のシチュエーションにも依るのでしょうが、ひとつ参考になる知識でした。頭に浮かんでいたのは京成杯のマイネルスフェーン。端的に故障の原因を語るのは易いですよね。



そして青木先生。

昨年、定年を迎えて最後の講義になるという仄めかしがあったと記憶していましたが、今年も来ちゃいましたというお茶目なトーン。聴衆の皆さんのリアクションでそれが好意的に受け止められていることが伝わりました。20回すべてで講義されていますが、これからも続きそうですね。

お決まりの、乗り手が馬を壊すことのほうが要因として大きいという話。装蹄に起因する問題を科学的にアプローチして、装蹄側のいわゆる「冤罪」を主張されてきたことを改めて話されていました。実際は冗談のトーンをしっかり残しながら雑な表現とでかい声、みたいな。かえって装蹄側の難しい立場が伝わってきましたね。確かに装蹄がわるい、とは言いやすいですものね。


脚にかかる負荷については、体重ではなく荷重と表現しなければいけない、というのが導入の話でした。運動で生じる力の移動も考慮する必要がある、ということですね。

高齢の乗馬は下肢部、球節にトラブルが起きやすいという話から、いかに馬は脚にかかる荷重を「抜いて」いるのか、という本題にはいっていきました。


前肢、後肢それぞれの骨格に注目。前肢の膝部分は骨と骨の角度がまっすぐで、力の逃げ場が少ないとのこと。競走馬の故障、1/3は前膝だそうです。その一方、この真っ直ぐな形状であることが筋力を使わずに長時間の起立を可能にしている側面もあるようです。構造上必要なまっすぐさが故障のポイントにもなる悩ましさ。


一方のトモですが、そうですね、受講者全員が立って中腰になる光景はかなり珍妙でしたねw でもまっすぐな前肢と対照的に、トモが常にこの筋肉がプルプルするつらい状態にあることはよく体感できました。

先ほどの支持基底面の件でトモを交互に上げて休める話がありましたが、この常時中腰状態に起因するのでしょうね。昔から曲飛が避けられてきたのはこのあたりなのかな、と思いながら聞いておりました。


前肢、後肢それぞれの骨格についてもっと詳しい説明がありましたが、割愛しないと終わらないので割愛で。前肢は肩の部分と球節が、後肢は飛節含めすべての関節が。いわゆるジグザグな形状であることを利して上からの荷重を上手く逸らしている、ということが要点でした。


そして球節については腱の構造含めて詳しく図解がありました。構造から腱にどのような負担がかかるか、浅屈腱の形状からテンションがかかる部位によって断裂のパターン分類があること(屈腱炎の98%が浅屈腱とのこと)、そして屈腱への対処方法まで(レース後すぐにとにかく冷やす!だそうです)話がつながっていきました。

球節の故障も全体の1/3、つまり前膝と球節に競走馬の故障の2/3が集中するという統計になっているようです。前脚、たいへんですね。


高齢の乗馬は関節が固くなって荷重が抜けにくくなる一方で、馬術競技は荷重をかけた状態で脚をねじる動きが多いから、国際馬術連盟に問い合わせてですね、というジョークが飛び出しておりましたw 講義のオチも完璧でしたねw

青木先生はホワイトボードに画を描きながら用語や構造の解説をしていらっしゃいました。難しくなりがちなことは画を描くとわかりやすいですよね。このあたりは経験のなせる業なのでしょう。



最後に。

書籍やブログなどでこうした知識に触れることは以前に比べてずいぶんハードルが下がってきていると思っていますが、直接話を聞くことが出来る機会はやっぱり貴重ですね。

まとめて読む時間がとれていませんが、競走馬ハンドブックも読みたいですねぇ。アンテナの張り方は相変わらず、来年の開催も楽しみにしています。