2015.08.31


ウキヨノカゼ、というより四位の好リードでした。いやーまいりました。

3コーナーに向けて縦長になった馬群に対して、ウキヨノカゼは最後方の外側。開幕週なら絶望的な位置ですし、ペース次第ですがまず届かないポジションでもあります。四位がどこまで自覚的であったかはわかりませんが、おそらく狙ってあの位置を取ったのでしょう。人気薄の内枠先行馬がとばしていましたから、3、4コーナーで一度溜めがはいって直線再加速、というラップバランスになることはスタートダッシュの時点でイメージできなくはないと思います。

レースラップはこちら。
12.1-10.6-11.3-11.8-11.4-11.4

モレイラのスタートはなんと柔らかいのでしょう。ゲートが開く前にエポワスはさくっと立ち上がっているんですけどね。内からプッシュする馬がいるとスッと下げる判断。これも素晴らしかった。直線前が詰まってしまいましたが、クールホタルビの手応えがなくなるのを待ってから脚を伸ばす落ち着きぶり。周囲が見えていますねー。

モレイラが譲った先行争いは3コーナーあたりで緩む時間帯をつくりました。ラップにも表れていますね。ウキヨノカゼはその緩むところに合わせて加速を開始していました。少なくとも狙っていない限り、あの段階的なプッシュにはならないでしょうね。

全体が緩むところで捲りきる、というリズム。溜めている馬たちに対するアドバンテージは、すでに勢いがついている点でしょう。一方のディスアドバンテージはスタミナが早めに尽きてしまうことになりますが、これは直線の短さとトレードオフの関係にあるといえそう。残りのスタミナを量りながらポイントを見極めて捲りきるのはベテランならではの経験値が必要。お見事、という内容だったと思っています。

ただ、コースとペースをよく見極めた勝利ですので、条件が変わったときに突き抜けられるかはまだ未知数。このあとはスプリンターズSでしょうか。いい意味で評価の難しい馬がまた1頭増えたかな、という印象です。

パドックの映像では後ろからのアングルで、ちょいちょい飛び跳ねている姿が映っていました。そのトモにいいパンプアップ感があったんですよね。外股でパワフル。それだけで本命視はできなかったのですが、相手に加える判断にしたのは間違ってなかったかなと。まぁ、母父フサイチコンコルドという時点で自動的に買っておけば正解だったんですけどね。


トーホウアマポーラは外枠から無理に逆らわず、外々をきれいにまわしての2着。レッドオーヴァルの方が脚色では上回っていたと思っていますが、先着できたのは4コーナーで内→外で展開する必要があったかどうかの差。枠順が奏効した部分があると見ています。福永は枠の有利不利に対して素直な結果がでやすいタイプ、というべきでしょうか。多少ストレスがかかってもいったん内にいれる、というイメージは少ないですね。展開を読めば、こちらも狙えなくはなかったかな。


オメガヴェンデッタは先行策からのほぼ横綱競馬。追い切りの動きからもパドックからも、馬体の完成がもう少し先という印象を受けていましたが、他に本命視できる上位馬が、ね。相対的に本命馬にした格好です。横山は3、4コーナーを通じてモレイラに蓋をする役割を負っていた模様。これはうまくいったのですが、直線を強く抜け出すフィジカルには至っていなかったのでしょうね。これからの馬、と納得しているところです。


レッドオーヴァルは内枠を活かせる形をつくれませんでした。4コーナーで大きく外に展開する姿は凱旋門賞のハープスターのようでもあり。あの時も馬群は横長でした。トップスピードに達したところがゴールだったようにも見えており、目いっぱいのレースをしたらどうだったでしょう。いまだ重賞未勝利とは信じられない脚色でした。どこかで獲ってほしいなぁ。

…で、最適な条件について考えていたのですが、府中や中京の1400で牝馬限定重賞があるとよいのかしら。既存のローテーションからしていつやるの?という突っ込みはもっともですが、番組も華やかになりそうですし、いいアイデアのように思えてきました。


ローブティサージュはラップバランスが合わなかったかな。昨年制したときはラスト1ハロンが落ちるタイプでしたしね。一方でスギノエンデバーは直線まで内ラチでじっとする直線に賭けた一発勝負。デムーロの思い切りのよさは好判断だったと思っています。ティーハーフは対照的に戦略が伝わりづらい運び方と映りました。4コーナーのコーナリングとスピードの乗せ方は素敵でしたが、ペースやポジションに関する鞍上の味付けがひとつ、明確に伝わるとよいんですけどね。


新潟2歳Sも少々。

クラシック戦線という視点でいうと、ロードクエスト以外に語るところは少なかったように思っています。厳しいかしら。そのロードクエストは田辺の好判断で最後方。直線入口で内を選ぶことはスタート前から想定していたでしょう。その進路と位置取りで勝てるということも含めて、田辺の、ロードクエストの能力に対する事前見積もりが確かだったということと受け取っています。

直線に向いてから軽く促すだけでトップスピードにはいる気風のいい前進気勢。徐々に外へ進路を取りながら、田辺が強くプッシュするシーンは最後までほぼなかったといってよいと思います。あー、半分は褒め言葉ではなく、反応がよすぎることは懸念材料にもなりえますのでね。贅沢な悩みですけど。

レースラップはこうでした。
12.5-11.0-11.9-12.2-12.3-11.9-10.6-11.4

公式ラップタイムがずれている指摘も目にしていますが、いったん信用するとして、残り600-200までの間ロードクエストは10秒台を続けて計時しているものと推察されます。フラットな新潟であることを割り引く必要はありますが、ラストを11.4でまとめていることを含めて、息の長さが見て取れるものと思っています。

父マツリダゴッホで思い出すのは勝った有馬記念でも、良績のある中山の重賞でもなく、2008年のジャパンカップ。蛯名が直線入口で馬なり先頭に導く姿。そこから粘りに粘っての4着なのですが、これが示しているのは俊敏さ>粘り、というバランスなのかな、と。ざっくり語ってしまいますが、母父チーフベアハートの息の長さがこれを上手に補完してのロードクエスト、であるなら納得できるイメージがございます。個人的にですけどね。



はい、WASJに触れないわけにはいかないでしょう。

ポイントは3戦目だったと思っています。ブラヴィッシモで武豊フェアラフィネをハナだけ差し切りました。このハナ差が逆転していれば1位モレイラと2位武豊の差は5ポイント。4戦目の乗り馬のレベルからして、武豊に相当のアドバンテージが生じたと思います。

実際は15ポイント差になり、最終レースの武豊は5番人気のティアーモで1着を狙うしかなくなりました。最内からのスタート、1コーナーまでのプッシュは1着狙いの表れかなと思いますし、その分早めに手応えを失ったものと受け取っています。それでも5着でまとめていますから、さすがはさすがなのですけどね。


というより、この土日の札幌は圧倒的にジョアン・モレイラでした。1年前の安田記念にきていたときに「おおっ」と思っていたのでかなり楽しみにしていたのですが、想像以上に結果をだしてきましたねー。

個人的な見立てを少々。WASJの2戦目と3戦目はともにモレイラが先に抜け出した武豊を差す流れでした。いつもの札幌だとどちらのレースも武豊が押し切っている展開だと思います。きれいな抜け出しでしたものね。

先行馬2、3頭を見ながら4コーナーを内から2頭目。対するモレイラにはここを十分な余力をもってポジショニングできれば、というイメージがあったのではないかなと思い始めています。いわゆる「勝ちポジ」ですね。本人の技術やフィジカルに裏打ちされた見積もりですから、モレイラ専用の勝ちポジといったほうがいいかもしれません。

WASJではないですが、キーンランドカップのエポワスもその位置を取るためにスタートからひとつ下げたポジションを求めていたのではないか、とも勘ぐり始めておりますよ。

もうひとつ。ブラヴィッシモの残り200。直線入口から外に張って、武豊フェアラフィネを外から交わす可能性を残していたところ、内に進路を切り返す判断の速さ。強いフィジカル、柔らかい拳の使い方に加えて、この動体視力に裏打ちされた判断の俊敏さ。これぞアスリートという瞬間を見せてもらったとも思っています。

絶賛、ですね。次は府中開催で来日してくれないかなー。できればライアン・ムーアとのしのぎ合いが見られると、とてもステキです。いちおう、モレイラの凄さは早くに気づいていましたよー、という記事も挙げておきます。ヘンないやらしさがでないようにw あえて自慢という形にしておこうと思いますよ、えっへんw
more than a DECADE 安田記念

関連記事
2015.08.26


ディサイファの押し切りでした。

早め3番手から残り200で先頭に立ってそのまま押し切るとは。ペースが向いたとも馬場が向いたとも言えそうですが、それにしてもこれまでの進め方からはずいぶんイメージが異なっていました。番手の競馬は指示だったようです。ただレース後の鞍上のコメントに「トウケイの逃げならそう速くならないと思い」という件がありまして。いやいや、芝2000mのレコード、タスカータソルテの1:58.6に対して今回の走破タイムは1:59.0。レコードからコンマ4秒ですやん。。。

当日は1Rから2歳レコードがでる馬場コンディション。キャンディバローズの1500m、先行押し切りでした。あー、その鞍上だったのはルメール。ラキシス先行策は最内で包まれないための予防線と同時に、スピードを担保する馬場コンディションの手応えが折り込まれていたのかもしれません。スタートから躊躇していなかったですからね。ただし、逃げた柴田善臣トウケイヘイローも緩めませんでした。緩めませんでしたねー。そのことが上位入線馬それぞれに、厳しさと見どころをつくったと思っています。

レースラップです。
12.5-10.9-11.7-11.9-11.9-12.0-11.9-12.0-12.1-12.1

速いですね。ちゃんと調べていないのでどこかで裏づけが欲しいところですが(すみませんねぇ時間が許せばねぇ)、トウケイ自身が2ハロン目で11秒を切っていたのは初めてかもしれません。結果が出ていた頃は押さえきれない2番手か、武豊がもう少しなだらかな加速を促していたように記憶しています。ブレーキを踏まない判断。これが前走鳴尾記念とは異なる点だと思っています。

あくまで個人の推測ですが、今年の札幌はスピードが担保されやすいコンディションが続いている様子。この2開催を通じてレコードが4つでているのはその裏づけとしては十分と思われます。12秒前後のラップを刻み続けることが例年より苦ではないコンディション、と考えると、ブレーキを踏まなかったトウケイヘイローと番手追走から押し切ったディサイファの強気な先行策自体は、妥当な判断であったと言えそうです。ラスト200まではトウケイヘイローのラップですしね。

勝ったディサイファはここに来てカラダがしっかりしてきたとのこと。勝った中日新聞杯のラスト、11.6-12.7の失速ラップをぐいぐい抜け出してくる姿を先ほど再確認しまして、ここからのパワーアップならあの押し切りも納得の範囲だなーと思っております。これがG1だったら、と思わせる強い競馬だったと認識しています。

ただしこの秋、同様の展開が望めるレースがあるかというと、何とも。11秒フラット前後の瞬発力が求められる後半勝負になった場合、果たして対応できるか。ふと思いついてしまいまして、母父ドバイミレニアム Dubai Millenium のプリンスオブウェールズS Prince of Wales's Stakes や、ドバイワールドカップ Dubai World Cup の映像も再確認しました。いずれも強い逃げ切り、というかぶっちぎりですので、ディサイファのイメージはこちらに近いといったほうがよいでしょう。…いやー、だからこそやっぱり近年の府中で押し切るイメージはなー。


2着は対照的な追い込みを魅せたヒットザターゲット。小牧は狙っていましたね。レース後はワンテンポ仕掛けを遅らせていれば、というコメントを出していました。もし実際に遅らせていたら。いったんハギノハイブリッドの内へハンドルを切らず、ワンテンポ早くトーホウジャッカルの脇を抜けられた、ということだと受け取っています。むーん、小回りコースの最終コーナーですし、この種のたらればは当事者に委ねておくべきでしょうね。…鞍上のキャラで反省したとして、次に活きるのかは何ともいえませんわかりませんw


トーホウジャッカルはだいぶ着順を落としてしまいました。速いタイムが出る馬場での消耗戦が合わなかったといえばそうでしょう。とりあえず洋芝が強い敗因ではないように思っています。仕上げきる訳にもいかない時期ですし、そもそも少々細く映りましたし、今回は負け方がひとつ見えた、という認識でよいかなと思っています。フィジカルが整ってくれば、秋のG1では見限れない存在という評価には変化なしです。むしろ、鞍上や陣営がこの敗戦で、もろもろの見積もりに迷いを見せなければよいなーと思っているところです。


ラストインパクトの敗因はペースと仕上がりかな、と思っています。川田の4コーナーを待たない仕掛けが着差を少し広げたでしょうが、あそこで勝負しないジョッキーではないですからね。次走が京都大賞典なら色気たっぷりで評価するつもりです。…ディフェンディングチャンピオンですから、そりゃそうですけどねw



北九州記念はさっくりと。

ベルカントの押し切り。強い競馬、でもありますが鞍上のエスコートがステキでした。32秒台で突っ込む逃げ馬のペースを少し前にやって間隔をとっての先行策。直千を使った影響からもっと前進気勢がでてしまうイメージがありましたが、それはほどよく折りたためていた様子。グンと突き放す脚色はさすがでした。

個人的には内の2頭、サドンストームとマイネルエテルネルが控えた時点で大誤算。内外から主張する先行勢の急流ラップにベルカントは巻き込まれてしまうのでは、という意地悪な読みからスタートしたので完全な読み違えでした。マヤノリュウジン本命という思い切り方も含め、どこかでリベンジしないといかんですねw

2、3着のビッグアーサー、ベルルミエールともに実力をしっかり出した敗戦と思っています。ビッグアーサーはむしろ次走に向けた組み立てはしやすくなったのでは。これからもうひとつパンプアップできそうなカラダつきとも見て取りました。

勝ったベルカントはスプリンターズSへ向かうとのこと。鞍上は継続のようですが、レース後のインタビューでは「難しいところが…」を連発。右にモタれながら走っていたことを指しているようですので、中山で鞍上お得意のピンク帽になったらこちらもいろいろ悩まないといけないかもしれません。



最後に。

そろそろ春の実績馬の、秋の始動戦について聞こえ始めてきました。1頭1頭挙げて一本記事を書きたいところですが、ねー。

どうやら毎日王冠は相当なメンバーが揃うようで。個人的にはイスラボニータがもうひとつパンプアップしている姿を期待していますが、どうなるでしょう。そうそう、ヌーヴォレコルトとショウナンパンドラのオールカマーも味わい深く。ルージュバック、クルミナルの離脱は残念ですがミッキークイーンはローズSとの報道で、こちらも楽しみ。…ほら、だんだんキリがなくなるでしょうw

まだ夏競馬の最中なのですが、先のことにわくわくしてしまうのはファン側の悪い癖と心得ております。東京も猛暑日が連続する時期はどうやら過ぎたようですし、まずは各馬無事に夏を越してほしいですねー。


関連記事
2015.08.18


レッドアリオンがクラレントのようでした。

クラレントは外々を番手追走していますので逃げたレッドアリオンと見た目には違いますが、前受けしてペースを整えて直線600mを目いっぱい使う末脚の繰り出し方。レース運びのリズムは似ているなぁと思って2レースの映像を振り返っておりました。兄弟ですねぇ。あ、でも直線に向いた時の手綱の挙動には違いがありますね。このあたりはペースと馬場の分を補正するイメージでよいでしょうか。…無理やり似てるって言いたいみたいになってますねw

2つのレースラップを並べてみたいと思います。

2014年:クラレント
12.6-10.9-11.4-11.6-11.6-11.5-10.8-12.1
2015年:レッドアリオン
13.2-11.5-11.7-11.5-11.4-11.2-10.7-11.4

…前半のスピード感はけっこう違いましたねw

川須は馬の気持ちを優先したとのコメント。しかし出遅れ後のリカバリーを企図したアクションに、馬の気持ちを軽く焚き付けた面もあるような気もしていまして。アクセルを踏みあったといいますか、相互作用で前々に行くことになったように見えています。古馬になってからはスタートダッシュが効くようになっていますし、折り合いについて、次走への負の影響は心配しなくてよいかもしれません。

直線並ばれてからの突き放しは馬を褒めるべきでしょう。前半のスローがあるとはいえ、気持ちの強さも求められるでしょうから。あぁ、母父であるダンシングブレーヴやホワイトマズルの、極端な戦法(逃げか追い込み)で突き抜けるイメージもちょっと重なりました。

フジの中継で井崎さんはスローによる特殊な結果(=次に結びつきにくい、という主旨だと思います)であることを解説していましたが、次走京成杯AHは中山開幕週。エアレーションを施すと思われますがエクイターフ馬場ですのでね。今回同様、早めにハナを押さえた場合はリプレイのようなレースになるかもしれません。…こうなるとサマーマイルシリーズの特殊なバイアスが目立ってしまいますね。是非については何ともいえないですけれども。


マジェスティハーツはもどかしい2着。脚質からこれは仕方ない結果なのでしょう。マイルの速い流れはむしろ合う、という事前の論評も見てはいましたが、ペースを引っ張る馬がいなかったのは不運というべきでしょうか。だいぶタイプが異なりますが、ショウナンマイティの不器用さを思い出しました。適鞍はどこでしょうね。

ヤングマンパワーはうまくリードされての3着という見立て。松岡の前受けは結構思い切った策に見えました。思えば前走NHKマイルCもペースの上がらないマイル戦。それより着順を上げてきたあたりが松岡のヘッドワークの妙、と受け取っています。秋に向けて目処が立ったかというと微妙なところですが、もう一回りパンプアップしてくるようなら。まだ3歳ですしね。

サトノギャラント、カフェブリリアントは前の開かない不完全燃焼な内容。スローでかつ2番人気が逃げていますから、直線内々が捌きにくいという読みがあらかじめ欲しかったな、というのが率直な感想。カフェブリリアントについては新潟3勝とはいえすべて条件戦での実績ですしね、今回は上手く前受けしてもラスト1ハロンの失速ラップを粘りきれないと判断して評価を下げていました。この見立ては秋にかけて答えあわせすることになりそうです。

あとはスマートオリオン。善戦したと思っています。少し力の要る良馬場で、パワーで瞬間的な加速を生むのが得意なタイプと心得ていましたので、長い直線でロングスパートし、ラスト1ハロンをしなやかな惰性で押し切るのは難しいだろうなと。求められる特徴とは反対のキャラクターという認識でした。グラスワンダー産駒に頑張ってほしい気持ちはたっぷりあるのですが、さすがに無印と判断した次第です。流れに乗せた戸崎のリードは次につながりやすいのではないかと、ほんのり期待しています。



エルムSもさっくりと。

マンハッタンカフェ産駒が2、3着とは何とも因果なものですが、そのペースを作り出したのは勝ったジェベルムーサと鞍上岩田。4コーナー、馬なりで唸っている様はかっこよかったですね。そのあとグレープブランデーに詰め寄られたあたりは、きついラップを踏んだためとも、G1でスタミナ比べをやるには少し見劣る可能性があるとも。ラスト1ハロンの失速の程度は、次走以降の取捨のために覚えておきたいと思っています。

クリノスターオーは4コーナーで早めに来られて難しいところを出したようです。とはいえ早いラップを追走していましたので、息つく間がないままの息切れ、と見るほうがよいかもしれません。昨年のジャパンカップダートで本命にしたのは無謀だったのかな。ライアン・ムーアに期待しすぎていたと認めたほうが、秋の統一G1は上手く当たりそうな気がしてきました。



最後に。

ジャック・ル・マロワ賞 Prix Jacques le Marois は牝馬エソテリク Esoterique の差し切り。クイーンアンS、モーリス・ド・ゲスト賞ともに2着してのG1制覇になりました。これを受けて、Breeders' CupのTwitter公式アカウントが「He's IN!」とツイート。いやーいい勘違いでしたねー、ばっちり牝馬ですよーw

一方で、ハッシュタグ「#WinandYoureIn」に公式アカウントの頑張りが垣間見えたりも。ジャック・ル・マロワ賞はブリーダーズカップマイル Breeders' Cup Mileへの優先出走権が発生するレース。先のツイートもブリーダーズカップでエソテリクは観られるかな?というコメントにリツイートする形でした。

ブリーダーズカップ・チャレンジ Breeders' Cup Challenge という括りで優先出走権を付与する仕組みなのですが、対象レースが多いんですよね。以下にWikipediaのリンクを置きますが、これよくばりじゃね?と思わずにはいられない指定レースの数。やっぱり有力馬への勧誘は大変なのだろうなー、などと邪推している次第です。
ブリーダーズカップ・チャレンジ - Wikipedia

…もし札幌記念が指定されるなら、新しい海外遠征の選択肢になりそうですね。じゃすとあいであ、思いつきでございます。ねー。

関連記事
2015.08.15


マンハッタンカフェが亡くなりました。

17歳、腹腔内腫瘍が死因とのこと。JRAの発表はこちらです。
マンハッタンカフェ死亡

どのくらい前からなのかははっきり掴めませんでしたが、2週前に蛯名が見舞っているという記事を見る限り、しばらくは患っていたようです。小島師が見舞ったときは痩せた一方で飼葉を勢いよく食べるという、対照的な姿を見せていた様子。師の主観がはいりますからいろいろ汲み取って受け取るべきかと思いますが、厳しい闘病生活だったことが伺えます。

それぞれの記事は以下の通りです。
G1・3勝馬マンハッタンカフェ急死 主戦の蛯名が見舞ったばかり… (デイリースポーツ) - Yahoo!ニュース
小島太師「ほとんど骨だけのマンハッタンカフェ…最後の気力忘れない」 (スポーツ報知) - Yahoo!ニュース

未完成な馬体で不良馬場に苦心した弥生賞。菊の権利を取り損ねたセントライト記念。4コーナー手前でトモ脚を滑らせた日経賞。ファンの方には申し訳ないのですが、一報からこちら、思い出すのが何故か負けたレースばかりなんですよね。人気を背負ってG1を制していないことも大きいのかな。アグネスタキオン、ジャングルポケット、クロフネ。少なくともクラシック戦線はこの同期3頭が評価の中心にいましたので。

戦歴はこちら。
競走成績:全競走成績|マンハッタンカフェ|JBISサーチ(JBIS-Search)

改めてレース映像を観てみました。ヒルノダムールやレッドディザイアを経てマンハッタンの走りを見ると、当時のイメージよりはストライドが伸びておらず、ピッチも速め、脚の長さもそこまでではなく、より筋肉質でした。何ででしょうね、同じ鞍上ですのでマツリダゴッホが記憶の中で混ざっているのかしら。ちゃんと振り返ってみてみるものです。

日経賞のラスト2ハロンは11.4-11.4。その手前で脚を滑らせていますので、肝心なポイントで後手に回ってしまったことがわかります。また天皇賞(春)では4コーナーで、ジャングルポケット武豊からの激しいチェックを受けていました。内側にいたこともあるでしょうが、マンハッタンの進路がぶれることはなくむしろジャングルポケットが外に回さざるを得ないという攻防。ここが勝敗を左右したといってよいと思います。いずれも映像で観てみてください。ぜひ。


産駒のイメージは、可動域が大きくなく短めの脚、筋肉質、四輪駆動、仕上がりが遅め、距離適性は個体差が大きい、というところでしょうか。だってねぇ、ジョーカプチーノとグレープブランデーが同じ父親とはさすがに思いにくいですからね。

天皇賞(春)と有馬記念はだいぶロケーションが異なりますのでなかなかイメージが結びつきにくいですが、上記の特徴が、中山と京都を上手く結び付けることになったのだと思っています。産駒にこの守備範囲の広さはあまり引き継がれていないようにも。あー、ここは多分に漠とした印象で語ってしまっていますね。

望田さんのブログ記事を引っ張っておきます。自分自身の主観も大事と心得ていますが、こうした分析の精度もまた、しっかりと取り込んでおきたいですね。
マンハッタンカフェ死亡 - 血は水よりも濃し 望田潤の競馬blog



最後に。

先日、ルージュバックの札幌記念回避が発表されました。北海道への輸送に起因すると思われる熱発、とのことで、これで凱旋門賞は厳しくなったといえそうです。父は凱旋門賞で故障してしまいましたから、そのリベンジにもなるはずでしたが、今年は見送りとなるでしょうか。それより、個人的にはマンハッタンカフェ自身に札幌記念を走ってほしかったかな。札幌2600を連勝しているように、コースや馬場への適性はあったと思っています。

サンデーサイレンスによく似ていると言われた青鹿毛。残念には違いありません。どうぞ安らかに。

関連記事
2015.08.10


クロスクリーガー、強かったですね。立ち回りもお見事でした。

小回りで直線が短いですから、1、2コーナーはコースロスを抑えて、3コーナーではひとつふたつ外に展開するのがロスの少ないコース取りでしょう。これを実現するにはクロスクリーガーの9番枠はちょっと外なんですけどね。

レースラップです。
12.5-10.9-12.3-13.0-12.8-12.5-12.8-12.3-12.8

鞍上岩田はスタート直後のペースをにらんで、1コーナー手前で1列下げる判断。これが奏効したようで、1、2コーナー中間では内ラチにしっかり張り付く姿。恐るべし、ですよ。そして今度は2コーナーの出口に向かって外に膨らむコース取り。向こう正面にはいった時点で内から3列目で視界をクリアにできました。

5、6番手に控えて10.9のラップを避けながら、向こう正面にはいるまでにスパートする体制を整えるとは。1番人気にこれだけアドバンテージを渡してしまったら、そりゃ直線で突き放されちゃっても不思議はないですよね。鞍上のリードに言葉を費やしましたが、馬の強さが着差を担保しているのはもちろんの事。ジャパンダートダービーではほとんど勝ちに等しい内容でしたしね。…ノンコノユメって相当強いんですかね。

秋がどうなるかはまだ確認できていませんが、JBCにでてくるなら相当面白いメンバー構成になりそうです。鞍上もローマンレジェンドと秤にかける状況でしょうが、骨折からの復帰はみやこSという既報もあり。どちらかというとクロスクリーガーとの秋戦線を見てみたいなぁと思っております。


初ダートのダノンリバティが2着。というか、走り方もそうですし、何より祖母スカーレットレディに父キングカメハメハという血統ですものね。ふつうなら怪しむべき3番人気ですが、結果的には妥当な評価となりました。外枠スタートの分着差も開いたように思いますが、砂を被らずに運べたでしょうから、距離ロスを上回るメリットだったかもしれません。今回のレースだけ見るとフェブラリーSで面白そうなイメージが湧いております。今後が楽しみですね。


ゴールデンバローズは積極策。1番枠ですから基本は包まれないようにプッシュ、どこまで好位を求めるかが石橋脩の課題になると思っていました。前走の結果を踏まえると、逃げも妥当なトライの範疇と受け取っています。

スランプ、という言い方が妥当かは何とも難しいところ。ヒヤシンスS勝ちのパターン以外に強さを示しきれていないという認識です。ちょっと漠とした言い方になりますが、心身ともに芯がはいる前に海外遠征を敢行したことが響いているのかもしれません。結果がでなかったからチャレンジを即非難、というつもりでは全くないのですが、直線の頑張り方を見ると少しオーバーホールが必要な気もいたしました。実際はわかりませんけどね。ちなみに、不利を承知で本命でした。ポテンシャルに賭ける悪い癖ですね。


あと気になったのはノボバカラ。出遅れが響いての6着でした。ユニコーンSは突っ込んだラップだからこその2着でしたので、今回は条件が整わない格好で着順を下げるリズムだと受け取っていました。実際はそれ以前に出遅れてしまいましたので、ノーカウントに近い認識です。出遅れてすぐに切り替えてのイン確保は北村の好判断。直線の伸びもなかなか魅せてくれました。次走の選択とパフォーマンスがどうなりますか。すごくプラスになると思っているのですが、距離短縮は先でもよいかもですね。こちらも楽しみです。



小倉記念も少々。

アズマシャトルの鞍上松若の、3、4コーナーの追い通しの姿はなんともいえないのですが、ベルーフに先に抜け出されたことが奏効したでしょうか。直線の目標を確保した形で外から差し切りました。

前がけっこう引っ張ったことでアズマシャトル、ベルーフには向く流れになったと思っています。その中で先行して粘りこんだウインプリメーラと、流れにのって追い込んだクランモンタナは、自身の特徴に合ったレースになったことでしょう。ちょっと覚えておきたいですね。

追い切りではトレーナーの指示とは大幅に異なる速いタイムを計時。だいぶ叱られたようでした。その分結果を残す、というコメントも聞こえていましたが、本当に結果を出すとは。先日の騎乗停止の原因となった武豊へのゴール前に向けた強いコンタクト。制御の効いていない姿と勝負へこだわる姿と、両方を受け取っておりました。週中のインタビュー記事の通り、雑にならないように乗り鞍を増やしていってもらえれば。初重賞制覇、おめでとうございました。 

※8/12追記、というより訂正です。匿名でコメントをいただきまして大変恐縮です。武豊にアタックしたのは菱田でしたね。完全なる勘違いで申し訳ありません。でも松若も騎乗停止にはなっていたよなーと調べたら、5/17新潟のレッドシェリフでした。ややこい記憶の書き換えが起こっていたようです。単に年齢のせいとも。。。 ご指摘いただいた方、ありがとうございました。



最後に。

土曜の札幌日経オープン。ペルーサが逃げ切るとは思いませんでした。札幌2600mという条件設定とルメールならではのリードが上手く噛み合ってくれましたね。8歳という年齢にしては数を使われていないこともポイントなのでしょう。喉の手術からこちら、フィジカルとメンタルが噛み合っていない様子は府中のパドックでも感じ取ってきました。いや、実際のところはわかりませんけどね。ただ、3歳時の秋の天皇賞2着のような33秒台のピリッとした脚、ビッとしたメンタルはなかなか感じ取れなかったんですよね。

実際、今回はフィジカルの充実感で押し切ったように見えていますので、逃げについても長距離についても、適性を見せた訳ではないと思っています。嵌る舞台を求めて試行錯誤が続くものと思われます。

…藤沢厩舎の根気強さを思いつつ、ダービーも天皇賞も本命視して、出遅れだったなぁとなつかしく思い出した次第です。いずれも5年前になるんですねぇ。

関連記事
2015.08.04


ベルカントが「日陰をスルスルと」押し切りました。

いやー、熱いですね。誤植ではなく、熱いですね。自分はどうやら疲れのピーク、おそらくはサーキュレーターの風を一晩直撃させてしまったのが止めだったらしく、関係各位には申し訳ないですが一日お休みをいただいて静養しているところです。

7月は割りと息つく暇がなかった分、おかげさまというべきかわかりませんが、録り溜めていたブラタモリなどふよふよ観る時間がもてました。江戸時代に武家屋敷に果樹を植えたのが「杜の都」の始まりだとか(領地と石高が減った分の対策だったそう)、現在の宮城刑務所がもともと政宗が作った第2の城だったとか(一国一城令がありますから当時の幕府には内緒ですね)。…こないだ仙台行きましたからねぇ。予備知識があったほうが面白かったかもしれないですね。

都心では猛暑日の連続記録になったようですし、まだまだ暑い日が続きそうですので、皆さまもご自愛くださいませ。


全国的に猛暑が続いている分、新潟1000mのラスト200mすぎ、スタンドがつくる影を「日陰」と折り込んだフジの実況は、ちょっと「おおっ」と感嘆してしまいました。ベルカントが力強く抜け出したポイントと、日陰に飛び込んでいくポイントがうまく重なった瞬間、これを切り取ろうとした実況の視点はよいなーと。影がかかっていた外ラチ沿いは直線競馬でなければ通ることがないですしね。アイビスサマーダッシュならでは光景でございました。

レースラップです。
12.1-10.0-10.4-10.1-11.5

ベルカントはよいスタートからすっと外ラチ沿いをキープ。リラックスした追走を心がけていたようです。ほぼ先頭を走る1番人気が力まず走っていますからね。後続の力んだスパートはどんどん不発に終わっていきます。デムーロも道中の柔らかな扶助から残り300mでスパート、突き放しきったところがゴールになりました。

夏は牝馬。パドトロワ、ハクサンムーン、セイコーライコウとここ3年は牡馬の勝利が続いていますが、それまでのアイビスサマーダッシュは相当牝馬に優位でした。それ以前はカルストンライトオしか牡馬は勝っていなかったはず…(JBIS Searchで調査中)…合ってましたw

男馬だと夏バテで局部も腫れちゃったりしますので(冗談抜きですよホントに)、相対的に牝馬の活躍の割合が増す認識はあります。セックスアロウワンスの分も有利に働くのでしょうね。

自分は牝馬でもリトルゲルダからはいりました。今回は自身の持ち時計分を走っての5着、という認識です。これでアイビスサマーダッシュは4→3→5着と安定感ばっちり。…馬券につなげるにはもう少し考えたほうがよかったかもしれません。

ベルカントの次走は北九州記念とのこと。サマースプリントシリーズ制覇を目指すローテーションですね。なんとなくですが、アストンマーチャンと存在感が似てきたようにも思います。あーでも、道悪の中山を走るイメージはベルカントにはあまりないかな。バクシンオー産駒も残り世代が少なくなってきていますし、秋の中山でも期待したいところです。あー、昨年の北九州記念ってリトルゲルダでしたっけw

それにしても、これだけスムーズに直千競馬をこなしてしまったベルカントを、マイルで走らせようとしていた3歳春までの苦心。あえて中山の朝日杯を選択していましたよね。結果にはつながりませんでしたが、改めて武豊のチューニングってすごいなぁと思ったりもしています。


クイーンSはメイショウスザンナ。4コーナーのコーナリング、そこに向けた仕掛けが完璧でした。後方待機からレッドリヴェールの直後まで押し上げる軌跡はすばらしい限り。ふつうならペースと抜け出すタイミングを慎重に測り切ったルメールとレッドリヴェールの勝利でしょう。勝ちタイムに物足りなさが残りますが、よく差したなーというのが率直な感想です。

レッドリヴェールはお腹が巻き上がり気味に映りました。なかなかどっしりしてこないあたりはもはや特徴と呼ぶべきでしょうか。週中には、飼葉を口にするたびに口をゆすぐため、一回の飼い付けで水桶を4回交換するという記事も確認。きれい好きの向こうに繊細さも見えるエピソードですね。このままカラダが増えてくればと思っていますが、血統的にも気性的にもこのままかもしれません。次走は府中牝馬Sという話も聞こえていますが、うーん、秋の目標をどう定めるか、ちょっと難しくなったでしょうか。



最後に。

エピファネイア引退。母と同じ繋靱帯炎でのリタイアとなってしまいました。種牡馬になることから逆算してのリスク回避、という発想もあったようです。残念ですが賢明な判断なのでしょう。

あの過激な引っかかり方からして、自身の能力を最大限パフォーマンスに反映することはおそらくなかったと思っています(ロスが多いと言うべきでしょうか)。その意味では次の世代に期待でしょうか。この秋戦線まで見てみたかったですけどね。

個人的にはどちらも現地観戦した日本ダービーとジャパンカップが印象深く。どちらもあの気性とパワーがよく表れたレースと思っています。お疲れさまでした。

関連記事