2010.10.10
府中開幕です。初日からあいにくの雨。。。

馬場状態への適性が問われる毎日王冠は
あまり望むところではないですが、
如何ともしがたい天候は、まぁ、
ケイバにかかせない不安定要素ですのでね。

一応、現地に行く予定ですので
その場でもろもろ考えようと企んでおります。
開幕週の馬場、そんなに急には荒れないでしょう、と
楽観はしています。



さて、ここ一週間脳裏にふわふわ浮かんでいたのが
エルコンドルパサーについて。

ナカヤマフェスタの流れがありますからね。
あちこちで語られるタイミングが増えています。

以前から顕彰馬選定の度にちょこちょこ書いていましたが
改めてこのウマに向かい合ういいタイミングになっていますね。

先に総括すると、現役時代を目撃した日本人ファンとして、
このウマを誇りに思う気持ちを再確認した、という次第です。

感じたこと、つれづれに、
書いておきたくなりました。




AERAの別冊で平松さとしさんが記事を書いていました。
フランスでの取材の機会もあったようで、思い入れ強いですね。
記事のトーンから、ところどころで抑えようとしつつ抑え切れない
レースパフォーマンスへの高い評価と愛着を感じ取ることができました。

記事の中に気になる表現がありました。
気になった理由は、自分が見届けたエルコンドルパサーとの
ギャップにありました。

AERAの記事の冒頭にあった「アマチュアだからできた配合」という言葉。
過剰ともいえる名血クロスは語り草のひとつですが
記事ではあくまで一般的なセオリーを外した近親交配が奏功した、
という表現に留まっていました。

ケイバファン以外もフォローする雑誌の構成からすると
細かい議論を割愛したようにも読み取れるのですが、
ウマを売るための配合を施すプロ(=マーケットブリーダー)では
非常識な選択だった、という背景がもっと明確であってほしかった。

賛否はともかく、名種牡馬を出す母系を掛け合わせる、
リスクを負った野心的な配合であったことは
このオーナーブリーダーのキャラクターを伝える意味では
欠かせないポイントと思っています。



また、同じ記事のなかで、毎日王冠2着について
「力負けではなかった」という表現がありました。
これには残念ながら賛同できず。

先々を考え大事に乗った結果、という表現もあるのですが
これはエルコンドルパサーの評価を下げないための言葉かな?
著者の思い入れが強すぎるようにも受け取れます。

レース映像を振り返ると、4コーナーを待たずに進出した
グラスワンダーに置かれない形でジョッキーは仕掛けおり、
結果、府中の直線をめいっぱいスパートする形に。
これは大事に乗る、というより力を出し切る騎乗、ですよね。

坂を上がりきるあたりで外に膨れ気味になりながらも
最後に差を詰めているあたりが驚嘆すべきポイントですが、
逃げたサイレンススズカについに並びかけられなかった内容は
力負け、という表現が妥当という印象です。

名誉のために書き加えておくと
サンクルー大賞の頃のエルコンドルパサーだったら
追いついていたかもしれません。
フォローではなく、そのころ日本で走っていて再戦が叶っていたなら、という
かなりのタラレバではありますけどね。



…時間の経過とともに記憶は再構成されていきますよね。
もちろん自分も例外ではなく。
事実に対する訂正ではなく、あくまで自分なりのピントとのズレ。
気になった2点でした。



それ以外の内容、特にかの地での評価に改めて触れる作業は
著者ならではの体験もあり、大いに充実しています。

3歳初のジャパンカップ制覇、海外緒戦の2着の背景と観戦時のエピソード、
凱旋門賞直前の体調、その凱旋門賞レビュー。
いい流れでダイジェストされています。このあたりはさすが。

そして、凱旋門賞2着という足跡が
日本競馬界のメルクマール(判断基準)になっている、という
最後の一文はまさに的を射た指摘と感じています。

日本のホースマン(ファンを含む)が世界の頂を推し量る上で
一方他国のホースマンが日本のケイバを見積もる上で
それはもっとも端的で具体的な基準であり続けているでしょう。

現役時代を知らない人向けにも、こうしたテイストが
コンパクトにまとまっている印象。
グッジョブでございました。




若干書き手側に脱線しますが。

同じ平松さんの記事。優駿8月号、ナカヤマフェスタの遠征詳報、
「チーム・エルコンドルパサー」の経験値に触れる段で
ノスタルジーに浸ることは罪、という表現が使われていました。
思い出話では前に進めない、とも。

言いたいことは理解できたんですね。
経験を糧に前進することが必要、という。

しかし、こんなに強い打消し表現は必要かなぁw

自身の思い入れが過剰に表出しないための配慮からくる
ブレーキのような表現と読み取りました。
あるいは、読者にハッパをかける意図かしらw

なんといいますか、過去を踏まえなければ
味わえない想いもあると感じています。

「チーム・エルコンドルパサー」の妙なる響き。
そしてその遺産を引き継いだ「チーム・すみれの花」。

取材を通じてその実態を知る位置にいたのであれば
ノスタルジーも歴史的意義も緻密な準備もその瞬間の興奮も
すべてに向かい合った上で言葉にしていいのではないかなと。

ちょっと過剰に抑制的な態度に読めてしまったんですよね。
今後、よりストレートな記事も読んでみたいと思います。
待ってますよ。




優駿8月号の特集。未来に語り継ぎたい不滅の名馬たち。
第7位にノミネートしていました。
その記事を書かれたのは合田直弘さん。

凱旋門賞2着。日本馬歴代最高のレーティング、134。
歴代2位は、ディープインパクトの127。
世界的な評価を受けていることをもっと知るべきだ、という
一文が添えられていました。

たとえば、昨年の欧州チャンピオン、シーザスターズは136。
記事の中でも国際レートでの比較に異議の声がある前提で触れていましたが
欧州偏重のバイアス(というウワサね)を乗り越えた数字が
そこには見て取れると理解しています。



また、合田さんが連載しているnetkeibaのコラム。
今年の凱旋門賞の回顧なのですが、終始
「11年前」との比較で綴られていました。

11年前の事実を再評価し、今回のナカヤマフェスタ2着の意義を再確認する、
穏やかでかつ誇りに満ちたすばらしい記事に仕上がっています。
何度か読み返していますが、初見ではこみ上げるものがありました。
まずい兆候かなw
凱旋門賞・回顧 | netkeiba.com競馬コラム


おそらくですが、今後、世界的な評価の只中にいなければ
日本競馬の財政面での失速はより顕著になっていくと思います。

リスクを負って世界に向かう関係者の、憧れと危機感とプライドと。
自分たちが育んできたジャパニーズケイバはこれだ、という誇示。
これをつないで生き残っていくんだ、という誇示。

海外遠征はその意味でも重要だと感じていますし
実際に遠征をする関係者のどこかには
ビジネスの失速に対する危機感が芽生えているのではないかな、と。

日本のケイバへの思い入れがあるほど、
先の合田さんのコラム、必見と思います。

…自分も思いが強すぎかなw





最後に。

わずか3世代しか残せませんでしたが、そのなかから
ヴァーミリアン、アロンダイト、ソングオブウインドという
3頭のG1ホースが誕生し、まもなく
トウカイトリックがオーストラリアのG1に
チャレンジしようとしています。

競走成績、日本馬最高のレーティング、種牡馬実績、
そして日本のケイバに対する世界の視線を変えた、
無形の、しかし大きな貢献。

今度こそ母国で公式に評価がされるべきと思います。

顕彰馬選出。
改めて、実現を強く願います。



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