2011.11.04

先日の天皇賞、1:56.1のレコードを担保した一要因として
各所で散見される通り、エクイターフの導入が挙げられそうです。
JRAが研究開発した芝の品種のことですね。

特徴をざっくりまとめるとこんな感じでしょうか。
・以前の野芝に比べ根付きがよい(=掘れにくい)
・クッション性が高い

実際、Bコース替わりとはいえ、天皇賞の直線はわずかな砂埃が立つ程度。
土の塊が蹴り跳ぶようなシーンはほぼ見られませんでした。
興味ある方はウマの脚元に注目しながらレース映像を観てみてください。
個人的にはきれい過ぎて、ちょっと気持ち悪かったんですけどね。

このエクイターフについて検索すると、いろいろな書き込みを見つけられます。
一部で馬場の改悪という論調が見られる一方、
一概に「高速馬場=故障率UP」ではない、という見解もあり。

福島で先行導入されるなど、数年前からその存在は知っていたのですが
影響の範囲について、自分の認識は漠としていました。

先のレコードを現地観戦した結果、多少なりとも言葉が収斂してきたため
少しまとめて書いておこうと思います。


なお、事前のお断りなのですが
あくまでいちファンの立場から得られる情報を駆使したうえでの
投稿時点での見解ですので、もろもろの情報の信頼性に欠ける場面があり得る、
という前提でご覧いただければと思います。

あー、ちなみに自分がこうしたテーマについて考える理由ですが
自分の目の黒いうちはケイバが続いていて欲しいから、だと自覚しています。
そのために、誰かしらに何かしらの気づきになれば幸い、という距離感で。参ります。





エクイターフに見られるクッション性の高い馬場を紐解くにあたって
陸上競技にヒントをみました。

現在、国立競技場など主要な陸上競技場のトラックは
ウレタン製の全天候型。タータントラックと呼ばれているそうです。

20年ほど前から普及が進んでいるようで、競技者は練習時から
このトラックの特徴を想定したトレーニングを進めるように変わっていったそうです。
…伝聞形式ばかりですみません。門外漢ですのでご容赦を。

参考資料はこちら

かいつまんで説明すると、タータントラックの反発力を利用するため
地面をひっかけるようなフォームから、地面を叩くようなフォームへ
効率的な走り方が変わった、と要約できそうです。

派生した負の影響としては、接地面が一定になったことのようです。

クレー(土ですね)の上を走る場合、地面から受ける反動は
土の一定しない表面によって力の分散が見込めたのですが
タータンはきれいにフラットなため、そのまま体の特定部位
(例えが大腿二頭筋、ざっくり言うとモモの前面)に負荷が集中し、
疲労しやすかったり、故障の原因になったりするようです。

なお陸上用のスパイクは、競技用になると
スパイクの長さが短くなっていますね。
アシックスのHPにビギナー向けの説明がありました。
はじめての陸上



端的に、これらの説明が競走馬と馬場の関係にも応用が効くと考えました。

人工素材による馬場ですので、むしろ
オールウェザー(タペタやポリトラックなど)の馬場に通じる話とも
受け取れそうです。




で、エクイターフがクッション性を向上させるという前提に立って
その影響を推測してみます。
理科の授業で実験前に行う「予想してみよう」程度でご覧くださいw

■適した走法が変わる?
クッション性の高い馬場でトップスピードを引き出すためには、
凹凸を意識した馬場を「つかむ」走法ではなく
より躊躇なく「叩く」ことで効果的な反動を得る走法が必要になりそうです。
かつてエルコンドルパサーは欧州遠征で逆の学習をしていますね。

■故障の頻度は変わらない?
トップスピードが高いウマほど、故障時の症状が甚大になることに
変化はないと思われます。
今後明らかになるでしょうが、故障率に顕著な差異はでないかもしれません。
ただ、一回の故障がよりひどくなったり、一回のレースの疲労が
なかなか取れなかったり、という影響は出るかもしれません。

■故障の種類が変わる?
馬場からの反動が分散しないなら、走法によって特定の部位に
負荷が強くかかる可能性はありそうです。
必要以上に馬体の伸縮を促すなら、疲労も著しいでしょうし。

■トレーニング方法が変わる?
馬場からの反発力を筋肉や腱の伸縮で受け止めるとすれば、
スピードが生み出す衝撃に相応な、強度と柔軟さが求められると想像できます。
鍛え方もそうですが、疲労の蓄積の仕方、解消の仕方も変わってきそうな気がしています。

■グリップ、パワーの必要性が逓減?
根付きがよくなるほど、馬場をグリップする力は相対的に不要になるかもしれません。
馬場の反発力を効果的に受けとめるには、重い筋肉はマイナス?かもしれません。


そして、腱は鍛えられませんから、
・しっかり鍛えられた筋肉をもった古馬→筋肉への負荷大
・筋力の弱いウマ→腱や骨へ負荷大
という影響の違いがでると推測されます。

トーセンジョーダンの天皇賞より
ダノンシャンティのNHKマイルCに故障が多かったのは
この仮説にあてはめると飲み込めそうです。
若駒なので筋力というクッションに欠けた分の故障、という推察です。

また、疲労が取りきれず、硬い筋肉のままレースした場合
やはり筋肉がクッションとして機能しにくいと考えられそうです。


ここまでの議論は、クッション性の高いエクイターフが、
速く走る個体ほどスピードのMAX値を増幅させることを可能にさせる反面、
運動後の疲労も増幅させ、これまでにない故障を誘発する可能性もある、
という総括でよいかと思います。




はい、そしてここからは妄想の域に突入しますw

こういう特徴の馬場でケイバを続けた場合、国外からの参戦はどうなるか。
懸念はそちらに及びました。

これまで以上に極限のスピードを追求するケミカルな馬場。
そこに適性を持つウマの見極めや、遠征のコストパフォーマンスなど
日本遠征の実現に向けて国外の有力馬が
越えなければならないハードルは増える印象があります。

日本に遠征するウマは今まで以上に少なくなる、というのが
賢明な見通しのように思われます。

逆もまたしかりでしょうか。日本馬が海外遠征をする場合は
馬場の特徴のギャップを埋める準備が今まで以上に高いハードルになる可能性があります。
…あー、日本からだとまだ適応しやすい可能性はありますね。

結果的に、日本競馬のガラパゴス化、という懸念はないのかなと
思ってしまっています。

あー、遠征馬がいなくなるガラパゴス化自体が問題なのではなく、
国内でしか通じない価値観で興業として成り立っていくのかな、という
漠とした懸念が首をもたげた次第なのです。
端的すぎるでしょうかねー心配し過ぎかなー。

もちろん馬場状態だけがケイバの価値を決めるものではありません。
欧米ともサラブレッドの生産頭数は減少傾向にありますし
ワールドサーキットにコミットしなければ生き残れない、という論法も
ひょっとしたら微妙かもしれません。

むしろ、こうした馬場は日本競馬の最大のセールスポイントだと
プロモーションすることが功を奏するかもしれません。



品種登録されたエクイターフの概要です。
エクイターフとは

読む限り、バイオメカニクスや興業的なメリットとは
異なる価値観のもとで長期間にわたり研究が続けられていたことが伺えます。
つまり、興業面での戦略的な導入ではないという推測が成り立ちます。

…エクイターフ導入の目的は正式に謳われているんでしたっけ?
そこが問題のような気がしてきました。
推察可能なのは馬場保全と維持コスト削減、でしょうか。

そして、おそらくこれが今後のJRAが施行するレースのキャラクターになりそうです。
突出して異質なスピード馬場で興業を続けるなら
ケイバはどう継続していくことになるのか。




…なんか、大丈夫かなって思っちゃったんですよね。
端的に。

以前、国外の関係者が日本の競馬を観戦した際(JCだったでしょうか)
芝コースの野芝が茶色に枯れている様を見て
「芝コースはどこ?」的な皮肉?ジョーク?を口にしたそうです。

おそらく「芝が茶色いぜ」と口にするマインドと
「エクイターフはスピードが出過ぎてウマ(=エクイ)向きじゃないぜ」と
口にするようなマインドはおそらく同じだと思いますしねw




一応、考えました。
エクイターフの付加価値を内外ともにポジティブにするなら。
思いついた方策です。

■エクイターフの輸出
パートI国など競馬主要国でも導入するよう働きかける。
香港あたりで導入されると諸刃の剣になるかもしれませんが。
あと、環境が違うと生育が難しいとか。案外ハードル高いかな。

■オールウェザーとの親和性を証明
タペタをこなせばエクイターフでも大丈夫、みたいな
親和性を証明するウマがでてくると注目のされ方は変わりそうですね。
胴元が意図的にやるのは難しいか。

■蹄鉄の改良
故障を回避するため、よりクッション性を高めた素材を開発する。
…ゆってはみたものの、できるんでしょうか。





最後に。

しばらくはウマの仕上げと馬場のミスマッチが続くような気がしています。
これは少し長い目で見る必要がありそうです。
有力馬の故障なり休養期間の長期化が
これまでより平均して長くなる可能性を感じていますので。

あとは内枠天国。
これも過ぎると興ざめですね。
最悪、開催後半は適度に掘れる馬場の方がよい、なんていう議論も
ありかもしれません。

様々な見解が持ち寄られて
継続的に議論が続くことを希望します。




先ほどJBCが終了しました。
現地に行きたかったんですが、体調がくるいまくっており。。。
TV観戦でしたが、なかなかアガリました。

レディスクラシックとスプリントで
レコードが塗り替えられています。

大井も高速化かー、いまの馬場なら
ブロードアピールは勝てたかもなー、などと
感慨にふけりつつw
筆を置きたいと思います。



関連記事
Secret

TrackBackURL
→http://keibadecade.blog98.fc2.com/tb.php/458-26596363