2013.12.29
圧巻のオルフェーヴルでした。

当日は現地に、レースは4コーナー付近の少し高くなった芝生のエリアで目撃いたしました。スタンド前のすし詰めの様子を見渡せる位置でしたので、レース後のスタンド前、ひとの動きの少なさを眺めることができました。G1であってもレース直後から踵を返す人の流れが見えるものですが、今回は違いましたね。凱旋するオルフェーヴルを待っていたのか、8馬身差に圧倒されたのか。両方ですかね。

観戦していた4角付近。1周目はゴールドシップの直後に控えた姿に驚きと納得と。2周目ははグーンと進出して内に切れ込みながら捲り上げる姿に観念と興奮と。目の前を通るたび、本命ゴールドシップの的中が遠のくのとオルフェーヴルのパフォーマンスへの期待が膨らむのと。相反する感覚が交錯していく不思議な心地を覚えながらの観戦でした。あぁ、4格先頭は菊花賞と同じ展開だなぁなどとは思っていました。


このエントリーになかなか手を付けられなかったのは、当日西船橋の飲み屋さんでそのまま終電を逃して翌朝帰宅して体力が尽きていたからなんですけどw 平日はもともと忘年会続きで書き物なぞ無理なのは見えていましたしね。この週中はそのフラストレーションが溜りに溜まっていました。だってねぇ、頭の中を整理しとかないと年が越せないぢゃないですかw

なにも書かないとあとあと振り返れませんので。世間的にはだいぶ落ち着いた頃と思いますが、"Better late than never, right?"な感じで、もろもろ言葉にしておこうと思います。



レースラップです。
6.9-11.1-12.3-11.6-12.4-12.8-12.4-12.0-11.8-12.3-12.6-11.8-12.3

ルルーシュが先手を取って引っ張った様を現地ではかなり高評価していたのですが、この馬場にしてこのペースの振れ幅では3コーナーを待たずに失速もやむを得なかったでしょうか。結果的にカレンミロティックに突かれるような展開になってしまいました。そのカレンミロティックもルルーシュの失速で早々に先頭に立ってしまった後は、余力を確かめながら流すような先導。

結果的に残り1000mからオルフェーヴルが先頭に立つ400-200mの区間までレースラップ自体は徐々に失速しています。先団の失速とオルフェーヴルの捲るタイミングの一致。鮮やかなコントラストは8馬身差の大きな要因と理解をしています。引退レースに花を添えるような展開になったとも言えるでしょうか。

ちょっと脱線。このコントラスト、アンライバルドの皐月賞を思い出しました。…レースラップ自体はそこまで露骨に失速してはいなかったかな。ただあちらも先行馬の失速と勝ち馬の鮮やかな末脚、そしてサンデーレーシングの勝負服。見栄えの重なるところは多いですね。さらにアンライバルドの鞍上岩田、今回の2着ウインバリアシオンの追撃のコース取りは岩田ならではの相似形と見えました。このあたりは「記憶のゲーム」の醍醐味でしょうね。この週中はなかなか文字に起こす時間が取れない分、そんなイメージがふわふわと膨らんでおりました。


池添はシンプルに臨んだようです。レース後の共同記者会見では、前半は折り合いに専念というあらかじめの準備があったとのこと。ゴールドシップの直後につけたのは結果論のようですね。加速力に優れた方が後ろに回る。この時点でかなり勝敗は見えていたように思っています。

木曜から金曜にかけて降った雨はなかなかグリップを要する馬場状態を作っていたのかな、というのが、反省にあたっての大きなポイントになっています。ロンシャンを2度経験した3冠馬は、こうした馬場をこなす対応力を身につけていたのかもしれません。速いピッチで馬場を叩くことで他馬との加速力の差を作り出したものと理解をしています。

6冠馬の引退に、あまり気の利いた言葉が出てきません。月並みだけどおつかれさま、ありがとうでは関係者のコメントと重なってしまいますねw 個人的に強烈な印象はダービー。あの不良馬場で周りを囲まれながら気持ちを切らさずに割って出てきて、ウインバリアシオンの猛追にもう一度睨みを効かせたかのような突き放し。3歳春の凄味としては格別でした。

実は馬券的には相性が合わなかったんですけどね。あ、いや、自分の予想が下手くそなだけですねw 宝塚記念では敢然とルーラーシップ本命にしてましたし。結局6冠のうち、本命にしたのは3歳時の有馬記念だけでした。逆らってすいませんでしたw 見事な6冠馬の軌跡、改めて得難い存在と思っています。おつかれさまでした。
競走成績:全競走成績|オルフェーヴル|JBISサーチ(JBIS-Search)



ゴールドシップの敗因について、馬場が合わなかったかもしれないとは鞍上ムーアの弁。初めはかなり首を傾げていたのですが(チャンピオンをかばうカムフラージュ的なコメントでもあると思っています)、改めて過去のレース、その勝ち方を振り返ってちょっと納得するところまできています。正解ではないかもしれませんのであしからず。あくまで個人の見解です。

他のレース、共同通信杯や菊花賞と比べて、今回の有馬記念ではストライドがあまり伸びていない印象がありました。そりゃまぁどちらもこの中山の馬場と比べるまでもなくパンパンの良馬場でのレースですしね。あ、この個人的な心象を前提にしますからあくまで個人の見解なのですともう一度前置きしときますねw


先の強くグリップしないといけない馬場において、ゴールドシップの大きなストライド走法ですと、持ち合わせているトップスピードに到達することが難しかったのではと考えました。…うーん、心身ともに本調子でないことの方が要因としては大きいかなー。勝因も敗因も、たいがいは複合していてわかりにくいものですからね。

ペースも合わなかったと見ています。ルルーシュは平均ペースで引っ張った上で3コーナーで失速。ペースが締まってほしいところと緩んでほしいところが、ゴールドシップには不向きだったでしょうね。オルフェーヴルとの加速力の差が、馬場状態、体調、不向きなペースによってより鮮明に表出してしまった、という見立てに落ち着いています。

ただでさえ、気持ちもカラダも加速していくのに時間を要する馬。それが一気に捲られたわけですから、なす術なかったのも納得しているところです。

ちなみに、特に宝塚記念など馬場の悪さを克服するゴールドシップは、心身の充実と、ずば抜けた心肺能力の高さが優位に働いた結果と見ています。スピードの上限値が下がるぐちゃぐちゃな馬場状態の中で、ほかの馬より能力がスポイルされにくい特徴があるという見立てです。…共同通信杯しかり菊花賞しかり、ホントはストライドが伸びる良馬場が走りやすいタイプだと思っていますよ。


ムーアの戦略は素晴らしかったと見ています。ブリンカー着用の進言はムーアからとのこと。ブリンカーに求めた効果は前方に意識を集中させるためではなく、見えない鞍上の挙動に集中させることと理解をしています。内田の動きはどんどんオーバーアクションになっていきましたからね。乗ってる人間の動きを見えないようにしたら、その動きにもう少し敏感になれるのではという期待があったものと思われます。おそらく、追い切り後の笑顔の理由はこの効果でしょう。

あとは仕掛けどころと仕掛け方。残り800mからペースアップの合図を出して先団を追いかけたこと。残り600mを過ぎてオルフェーヴルに捲られたときに相手のスピードに合わせたシフトアップをしなかったこと。どちらもゴールドシップの持ち味に対して冷静な判断だったのではないかと思っています。

力強くとまではいきませんでしたがゴールまでしっかりとしたフィニッシュ。復活の手ごたえを感じる3着はムーアでなければ掴めなかったでしょう。違うジョッキーであったら競走生活続行について真剣に議論しなければいけなかったかもしれません。それくらい、非常に重要な代打騎乗だったと思います。


ゴールドシップ考察をもうひとつ。

勝ったレースの4コーナーの位置取りを見ると、先行馬が壊滅している有馬記念(4コーナー10番手)を除いてはもっとも後ろで6番手。そこからスタミナ尽きて逃げ込む馬を交わして勝つのがパターンと読み取れます。
ゴールドシップの戦績|競走馬データ- netkeiba.com

前半の出遅れ→追っ付けての追走→早めの捲り、というレース後半までのドタバタに目がいってしまうのですが、4コーナーからゴールまでの勝ちパターンだけでいえばスピードの持続力を活かした先行押し切り、いわばメジロマックイーンなんですよね。

ただあのスタートで今後、盤石のメジロマックイーンができるかというと。。。 勝ち方のスイートスポットが非常に狭いなーという印象を改めて強くした格好です。ムーアがつないだ可能性、次の鞍上は膨らませることができるでしょうか。



他に気になった馬も少し。


ウインバリアシオンも復活の2着。こちらは岩田の道中の運びがうまく奏功したようです。スタートをうまく出してからは、馬のストライドを尊重したかのような追走。好位のイン、というような理想のポジショニングに当てはめる乗り方ではありませんでした。あー、終始インをキープしていたあたりは「らしさ」でしょうね。オルフェーヴルの仕掛けを待っての追撃。末脚は健在でした。

個人的に、4コーナーで捲り上げる際のコース取りはちょっと好かないそれでした。外から鞭を入れて、内のゴールドシップを擦り上げるようなタイトなコーナリング。攻めたコース取りというより、ちょっと制御が効いていないラフな印象がありました。結果的にそのひとつ内でトーセンジョーダンが挟まって上を向いてしまっていましたしね。


そのトーセンジョーダン。予想の段では逃げるかもとイメージも膨らんでいたのですが、実際は中団追走。縦長に馬群が伸びたこともありますが、大外枠をうまくフォローするリードがあったと思っています。しかし、オルフェーヴルが捲って前方にはいってきたときに怯むような仕草。同厩舎だからこそヤバさを感じ取ったのかなw その直後に挟まれて完全に可能性が潰えてしまいました。


ヴェルデグリーン。レース直前でかなり重視していまして厚めに購入したのですが、スタートで出負けしてがっかり。ほぼ可能性がなくなったと見ていました。オルフェーヴルの捲りに合わせて仕掛けていったのはウインバリアシオンと同じ。田辺のこの判断はとても好印象。阪神JSのマーブルカテドラルといい、これで馬に力があれば野心的な仕掛けとお見受けしました。



そうそう、会場ではよく届かなかった池添のインタビュー。改めて番組録画で確認しました。

多少脈絡に怪しいところはありましたが、オルフェーヴルのレースを預かるジョッキーとして必要なコメントを引き受けたのだと理解しています。特別な馬の引退レース、そのジョッキーのコメントですから注目度もまた特別でしょう。震災に触れるコメント、それは競馬に携わるひとがどんなスタンスで、どんな表情でそれに臨んでいるかを端的に伝えることになるはずです。それを少なくなく引き受けたのなら、その気概は有難い限り。…まぁ、いまの騎手会長が圧倒的な存在感でそつのないコメントを出しますからね。比較は禁物です。
【有馬記念】涙の池添「この強さを語り継いでほしい」 (サンケイスポーツ) - Yahoo!ニュース



最後に。

当日は若手社員を引率(!?)する形での現地観戦でしたが、当然でしょうといわんばかりに引退式を見ると言い出してくれまして。マークシートの書き方から始まってうるさいレクチャーをぶちかましたりw いろいろ面倒な先輩風を感じたりもしたでしょうが、なにか伝わるところがあれば、ね。初めての競馬で11万人と6冠を目撃ですから、うらやましい限りなんですけどね。素敵な感化となりますように。

引退式ではちょこちょこ写真も。スマホのカメラではこのくらいが限界でしたが、撮影目的でもないですのでね。肉眼の方が黄金色でしたよ。
オルフェーヴル引退式


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