2014.03.10

トゥザワールド、4連勝でトライアルを制しました。

着差以上の強さ、という表現はこういうレースでも使えるでしょうか。レース後の鞍上のコメントでもあった通り、向こう正面で前をつついていきましたね。あれがなければエイシンフラッシュの京成杯のようにゴールまで加速し続ける余力たっぷりのトライアルになっていたでしょう。それだと、トゥザヴィクトリーの仔で皐月賞前に中山を試す意味が薄れてしまうはずで。折り合いの自在性も持続力も。しっかり確認しつつ結果をだせた格好ですね。

一方、途中からペースが上がりましたが、横山もそれを織り込んだ待機策だったように見えました。どんなトライアルをするか、1、2着のジョッキーはしっかりテーマをもって臨んでいたように見えています。結果生み出されたのは見栄えのするハナ差決着。いやー、いいトライアルでした。

あ、ウンプテンプを本命にしなければなおよいトライアルでしたねw
過剰に可能性を見込むわるい癖が順調に発揮されております。


レースラップです。
12.4-11.0-12.2-12.8-12.8-11.9-11.9-12.3-11.9-12.2

ラップが示しているのはトゥザワールドのペースアップ。外から1番人気が煽ってきた時点で先行各馬はいわゆる「詰み」の状況だったと思います。うまくやり過ごしてしまっても前でペースを握られますし。結果、前に出さないように過剰なペースアップを迫られた格好に。そこでいったん控えるトゥザワールドというか川田。この自在さを他の陣営に示したことが本番に向けての大きなアドバンテージ、大きなけん制になるでしょうね。

早めに先頭に立つ流れになったことは、マイナスの経験ではないでしょう。あの3、4コーナーであれ以上は引っ張るほうがロスでしょうから。勢いを殺さずにアクセルを踏んでいった瞬時のジャッジは川田らしさと受け取っています。…あぁ、ブレーキを踏まなかったというべきでしょうか。早め先頭でのメンタリティも中山での持続力も試した格好になりましたね。

川田にとっての予想外はワンアンドオンリーの末脚だったかもしれません。横山はペースの如何を問わず、脚色をはかるトライアルにするつもりだったと見ています。向こう正面でじたばたしなかったのは、まぁそりゃそうかw 11秒台前半が登場せず、11秒台後半が3回登場する持続ラップ。このレース後半で差してくるというのが、ワンアンドオンリーの大きな持ち味と理解をしています。皐月賞、ダービーでもペース次第で惜敗する予感がしていますが、これでクラシックの有力候補にのし上がったという認識です。

しかし、トゥザヴィクトリーの粘り込みを橋口&横山が追い詰める図式は、いつぞやのエリザベス女王杯のようですね。あの時のゴール前も際どい接戦でした。スティンガーの仔とのマッチアップも戦前から話題になっていましたが、全部くるめて記憶のゲームというところでしょうか。

あー、老害乙みたいな声もありましたが、それこそ10年後にこのレースを話題にする際、同じ言葉を受け止めることができるのかしらと思ってみたり。記録や記憶の連関も楽しみのひとつですからね。といいつつ、経験のごり押しはいかんなー老害イカンなーなどと気にするちゃいちーな自分もいたりしてw


印象的なパドックでした。パドックでの見立てはいつでも個人の心象の域を超えていかないわけですが、トゥザワールドとワンアンドオンリーの、成長と言いますかパンプアップ具合は本当に素晴らしかった。サンデル教授曰く「目を見張る」出来と惚れ惚れしておりました(すいませんこの表現にはまっちゃったので)。

トゥザワールドはお兄さんとの比較。ワンアンドオンリーはお父さんとの比較。いずれもトモの容積なり踏み込みの深さなりが記憶のそれを上回っていました。

なによりワンアンドオンリーの成長力。この時期の有力馬はいい意味で変わっていくという言葉の通り。正直、ラジオNIKKEIからの変化が乏しければ予想から外すつもりでいたのですが、どうしてどうして。胴長で後脚の踏み込みが深くつなぎがちょっと柔らか目ですので、スピードを乗せるまでに若干時間を要するイメージが浮かんでいましたが、馬体全体の躍動感のほうが目につきました。この時期に変わってきた同厩のダンスインザダークがイメージされて、かるく身震いを覚えたのは年季のなせる業。橋口調教師の執念の投影かしら。


1、2着以外の馬とは力の差を感じた格好ですが、1点だけ。キングスオブザサンの直線の進路取り。内に突っ込んで伸び切れずでしたが、あの4コーナーで内にハンドルを切ったこと自体は悪い判断ではなかったと思っています。あのまま外に進路を求めた場合、ワンアンドオンリーの外に持ち出す形になっていたでしょう。勝機を求めての内、ならわからなくもないかなと。

ただ、外野からの雑な感想ですが、3コーナーまでの運び方に鞍上のチャレンジが見えない気がしていまして。どこで脚を使う、レースのどこで勝負をするのかを明確に表現しきれなかった印象をもっています。プランがあってもできなかった、のかもしれませんが、であれば馬の力不足でもあったかなと。春のクラシックでは穴的な存在に留まる、というのがいまいまの見立てです。トモの主張はすごいんですけどね。


トゥザワールドを新馬戦で破ったバンドワゴン、それをきさらぎ賞で差し切ったトーセンスターダム、本格化前の(といっておきましょう)ワンアンドオンリーを東スポ杯で屠った共同通信杯馬イスラボニータ。春のクラシック、役者が揃ってまいりましたねー。皐月賞で初めて勢ぞろいする流れが非常にわくわくさせてくれます。

まだまだトライアルは続きますから、もちろん結論は早計ですね。



さて、ダービーに向けてのトライアル、チューリップ賞もさくっと。えっw

レースラップです。
12.4-11.0-11.9-12.0-12.1-11.5-11.4-12.0

こちらは語ることが少ないでしょうか。余裕たっぷりなハープスターのレース運びに尽きますね。

個人的には、川田のコンタクトの柔らかさが目をひきました。あたりの強いイメージは自他ともに、というところですが、直線外からの進出の際は、緊張感を途切れさせない程度の手綱と重心移動に留めていたように見えました。レイジーに映るハープスターへの按配。ちょうどよかったのかなと思っています。

道中の追走がよくなっていて、末脚が物足りないというレース後のコメント。ふるっていました。確かにスパート時のカラダの使い方はまだ本気のそれではない印象でした。先頭に立ってからは遊んでいたようですし。

強いて今後の不安を挙げるなら、強い負荷とストレスに耐えうる個体であるのかどうか、という点でしょうか。先々の完成をイメージするなら、春の2冠は牝馬同士というのも賢明な判断かもしれません。カラダの成長に応じて牡馬との対戦にも強いメンタリティで臨めるようになるのでは、などと謎の老婆心を抱いているところです。…だからウオッカは特別なのですよね。

鞍上の川田、いまのところ牝馬のG1制覇はピンチヒッターのジェンティルドンナのみ。牝馬で勝っていなかったのは結果論だったと、それこそ結果で証明できるか。この観点でも楽しみになってきました。

あー、いまの川田がウオッカに乗っていたら。面白い脳内シミュレーションができそうですね。



最後に。

ワンアンドオンリーという響きで思い出すのは「世界でいちばん熱い夏」という曲のサビ。プリンセスプリンセスといった時点でもう老害でしょうかねーw 夏だからテンション前向き、くらいシンプルに聴かせる曲です。歌詞も曲調も80年代後半の空気を吸っていないとフィットしにくいかもしれませんが、ひと回りして、いまのご時勢でも気持ちよく響くんじゃないかなと。季節も逆ですけどねw いくつかアレンジの違うバージョンが出ていますので、聴き比べもおすすめです。


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