2014.12.30


ジェンティルドンナ、有終の美を飾りました。

右回りが苦手という指摘は、3冠牝馬には失礼な物言いでしたね。個人的には右回りの得手不得手をうんぬんするより、改修した中山の馬場コンディションがマッチしたと思っています。ひと月分の開催に耐えてなお速い上がりを担保できる馬場は、貴婦人への何よりのプレゼントになりました。…気の利いた表現を狙いすぎましたねw

もうひとつ、ヴィルシーナとエピファネイアが作り出したスローペースがあったでしょう。自分の見立てはエピファネイアがもっと前かもっと後手か、いずれにしても自滅するような格好で、結果的にジェンティルドンナが直線にかけて他馬の目標になる展開を想定していました。善戦して掲示板には載るけれど…、という読みだったんですけどねぇ。実際は離れた3番手でペースを握る立場に。向こう正面の運び方はエリザベス女王杯のリトルアマポーラを思い出させました。好位でイニシアティヴを握るルメール。…そうですね、戸崎にそれができるイメージが乏しかったことも、ジェンティル軽視の一因でした。

ゴールドシップもエピファネイアもジャスタウェイも軽視。そして本命はワンアンドオンリー。レースの中心をひとつ後ろに求めたことによるもろもろの見立て違い。単なる見当違いともいいますでしょうかw だから競馬は難しくて面白いなどと思いながらあれこれ回顧記事などをチェックしていたら、まとめきれずに東京大賞典も終わってしまいましたw


レースラップはこちら。
7.0-11.8-12.3-12.6-12.5-13.6-13.2-13.0-12.3-12.4-11.5-11.2-11.9

宣言通り、川田がエピファネイアとの我慢比べにはいったことで、1周目のスタンド前ではヴィルシーナを先頭にしたスローの隊列が確定しました。一方のジェンティルドンナは絶好のスタートからニュートラルなスピードで流す余裕。内からトーセンラーが主張していましたのでそのひとつ外。終始被せられることもなく、残り600mから猛然とピッチを上げたエピファネイアを追撃しかわしたところがゴールという理想的な展開になりました。

馬場コンディション、希望する枠を選択できたことも合わせて「恵まれた」とする向きもありそうです。スローで上がりが速く、スタミナの底が求められない展開ですと、レースレベルに疑問という論調が散見されたりもしがちですけどね。いやいやどうして、スタートを決めて好位を押さえ、そのピッチをコントロールしながらスピードをいったん控え、勝負どころで強く加速し、トップスピードの持続力で追撃を凌ぎ切るという内容は、端的なスタミナ量だけではない総合力の証でしょう。地力で勝利を「手繰り寄せた」と表現する方が妥当と思っています。1番人気でこの競馬ができたら横綱と評するところでしょうね、きっと。

戸崎の性格がそのまま運び方に出たような印象もあります。よくもわるくも賢しいところの少ない、真っ直ぐなリード。レース後にウェットなコメントがなかったのは個人の思いより鞍下のパフォーマンスに注力していた証拠でしょうか。あー、もはやファンの方がウェットかもしれませんね。川島師の心配りがぱっと脳裏に浮かぶくらいにはこちらも年を重ねてしまっております。師も望んだJRAリーディング、おめでとうございました。…あとはゴルフの腕だけっすねw

早々に府中から引き上げましたので、7冠牝馬の大団円、引退式の様子はTwitterでふわふわとチェックしていました。ピンクの耳当てで登場したようですね。率直な印象は「ジェンティルぴょん」だったので、まぁ、こちらもどうかしてしまっていたようですw 写真をみていただければその「ぴょん」感は伝わると思うんですけどねぇw


2着トゥザワールドは後々レースラップを見て納得。パドックでは仕上がっていましたので、あとは展開の利で掲示板かな、という見立てでした。思った以上に流れなかったことで力強くフィニッシュすることができたと思っています。弥生賞馬で皐月賞2着。巧者ぶりは全兄譲りでしょうね。2011年のトゥザグローリーの進路は、まぁそっくりでした。

ご参考までに。オルフェーヴルの4冠が成った2011年有馬記念のラップはこちらです。
6.8-12.0-12.4-12.1-13.1-14.4-14.3-13.0-12.0-11.9-11.4-11.3-11.3


3着ゴールドシップは岩田の判断に依るところが大きいでしょう。無理なく出していって中団を追走。残り800mからスパートしましたが、如何せんスローの上がり勝負ですからなかなか前が捉えきれず。スタミナを活かすには展開は向かなかったかなと。ストライドを活かすには内枠がよいとも言い切れないですしね。岩田は自分から動いたほうがよかったとコメントしていますが、個人的にはよく掲示板まで持ってきたなという感嘆の方が強いです。

ひとつ気になったのは3、4コーナー中間で内のフェノーメノを削るような所作。接触に思わず内側を振り返る岩田の姿がパトロールフィルムで確認できます。これがなければ掛け値なしで好騎乗と言い切るところだったんですけどねぇ。


ジャスタウェイは直線猛追して4着。ゴール前までの進路取りはさすがと思っています。3コーナーで離されたというコメントがありましたが、問題はそれより遥か手前、最初の4コーナーでゴールドシップの直後に構え、結果的に手綱を引いて減速する形になったこと。

なんといいますか、枠順抽選会で他馬が呼ばれるたびにカラダを仰け反らせて残念がる仕草や、外枠が決まった際の「仕打ち」という口をついた表現とを合わせると、序盤のポジション争いについて早々に諦めがはいっていたように見えるんですよね。ジャスタウェイで先行策なりインに潜り込むなり、展開にひとひねりを入れる発想はなかったのか。現役馬で世界最高のレーティングを得た馬を展開に委ねて後方でスポイルさせてしまうのが、種牡馬として無事に送り出すために必要だったのかと言われると…。単に前に行くということではなく、鞍上の積極的な所作がみえなかったことが予想通りでもあり、残念でもあります。


エピファネイアは粘りきれずの5着。前走のかかり方から類推して、中山の坂で失速する可能性を強く取りました。場合によると極端な戦法、逃げか後方待機かを選択するかもしれない、などと思っていましたが、想像以上に常識にかかったレース運びになりました。川田、頑張りましたね。

残り600mからピッチが一気に上がる様が見て取れますが、このあたりがいまのエピファネイアの特徴といったよさそうです。このあたりの考察で手がかりとしたのが以下のエントリー。勝手紹介で申し訳ないですが。興味深かったです。
ジャパンCで見せた強さは何処へ・・・。エピファネイアの有馬記念での敗因を考えてみた ~2014有馬記念レース回顧vol.3~ 馬事総論

書き手のノブアキさんはトップスピードを使える距離(時間でもよいでしょうか)が極端に短いタイプ、と分析されています。ジャパンカップ、有馬記念の近2戦で示した爆発的な加速力はこう評するのが妥当と思っております。そこで思い立って映像を見直してみたのですが、直線入口での突き放し方とゴール前での捕まり方、弥生賞とよく似ていました。

個人的な見解を加えるなら、これらの特性が強く表面化する遠因は弥生賞にあると考えていまして。もはや恨み言ですけどね。乗り替わったビュイックのスタート直後のプッシュ、これが繊細に積み上げてきた折り合いのお約束を崩してしまったのでは、という見解をもっています。

その後の成長やトレーニングによってパワーが増した分「一気にエネルギーを吐き出す」ギアチェンジにはより磨きがかかっているでしょう。おそらくはもともとスタミナの底浅い馬なのではなく、道中の力みっぱなしのうえで強烈なパワーでギアチェンジする分、ラストスパートの持続力を削いでいると考えるほうが自然なのかなと。

本当はこれを矯正すべく2歳時の3戦は待機策の経験値を積み上げてきたのだと思うんですけどね。弥生賞のプッシュもそんな無茶なアクションではないんですよ。でも致命傷になったんだろうなーと思っている次第で。あ、今年の前半、背腰に疲れがでたのはこの推進力を制御しすぎたせいかな、などとも邪推しているところです。

引き合いに出すのは酷かも知れませんが、何故ディープインパクトの弥生賞は後方待機かつ外々を回したうえで辛勝となったのか。遅く走ることを一貫して教えることが同時期の両馬に共通する重要なテーマだったとするのなら、レーシングマネジャーとしての鞍上が一貫しなかったのは痛恨であるのかもしれません。…福永の騎乗停止がなかったら十分な折り合いを身につけられたか、というのはまた別の話ですけどね。異なる見解があれば是非お聞かせください。


本命にしたワンアンドオンリーは13着。トーセンラーのひとつ後ろから、4コーナーで行き場を塞がれそのまま大きく着順を落としました。いろいろな可能性に目をつぶっての本命視ではあったのですが、いまから思うとこれは完全にお手つき。4Rに複線があったんですが、しっかり理解できていませんでしたね。

その4R新馬戦、コスモヨハネの逃げ切りは上がりが12.1-11.3-11.5。2着は意識的に2番手追走を選択したであろうキングカラカウア武豊。速いですねぇ。好位かつ速い上がりが使えないとダメだなぁ、という認識が有馬記念の予想を組み立てる前提にはなったのですが、ここでトーセンラーの鞍上が控える競馬にしない、という可能性まで見ていないといけませんでした。

自分は控えたトーセンラーの前方でのしをつけたワンアンドオンリーが立ち回っているイメージをもったんですよね。今から考えるとものすごいピンポイントなイメージなのですが、これでジェンティルドンナのすぐ後ろにポジショニングできるならひょっとするかも、という色気でいっぱいになってしまいまして。えぇ、単勝オッズとか、欲を見るといいことがないですねw 横山のもうひとつ前のポジションがほしかったというコメントにはただただ納得するばかりです。



最後に。

年度代表馬はどうなるでしょう。おそらくはジャスタウェイかジェンティルドンナなのでしょうが、戦歴が甲乙つけ難く。ジャスタウェイはドバイデューティフリーと安田記念にジャパンカップ2着、ジェンティルドンナはドバイシーマクラシックと有馬記念に天皇賞(秋)を2着。直接対決は1勝1敗で、ともに1着4着。

数だけ見ればがっぷり四つに見えます。選定者がそれぞれどこに重きを置いて評価をするのか、いい試され方になるでしょうか。票が割れて接戦になるのも面白いですね。

いずれにしても、海外G1の内容についてしっかり評価できないと年度代表馬選定がいい加減になる、というのは前向きに捉えたいトレンドと思っています。国内で走っていないエルコンドルパサーの評価で喧々諤々としていた頃からすると隔世の感、というのはちょっと表現が大げさでしょうか。

個人的には、凱旋門賞8着、1番人気を背負ってG1を制したこと、馬場状態を問わないパフォーマンスを上位に取ってジャスタウェイかな。おぉ、netkeibaの投票が始まっていますね。最優秀3歳牡馬だけはイスラボニータで確定していたのですがw それ以外はこれから。ゆっくり振り返ろうと思います。


関連記事
Secret

TrackBackURL
→http://keibadecade.blog98.fc2.com/tb.php/808-3af969c5