2015.01.21


先日の日曜、公開講座に足を運びました。

関東装蹄師会主催の講座、かぞえて18回目になるそうですが自分は初めての参加。どうやら乗馬をされている方が対象の講座のようでした。確かに、会場も馬事公苑のすぐそばというロケーションですものね。2つのテーマも乗馬愛好者や本格的に取り組む方向けに馬をよく知ってほしい、という狙いで設定されたようでした。
公開馬学講座開催情報 関東装蹄師会 オフィシャルホームページ

…上記ページは次回開催の情報が載る際に更新されてしまいそうな予感がしていまして(過去開催のアーカイブページが見当たらないんですよね)、2つのテーマだけ備忘録的にテキスト転載しておきます。

PARTⅠ ~Dr.シゲの“馬の健康よろず相談室”~
講師:大和高原動物診療所 齋藤 重彰
PARTⅡ ~ホッピング動作と後肢の駆動力 ―筋力というより弾発力―~
講師:日本装削蹄協会 青木 修

開講直前のアナウンスで録音撮影はいいけど無断転用はNG、と注意がありましたので、このブログではそれとなく触れる程度で書いておこうと思います。かなり興味深い内容でした。トータル2時間、あっという間でしたねー。


当初の順番を入れ替える形になり、最初に青木先生の講義から。競馬ブックで連載もされていましたが、バイオメカニクスの見地から馬の歩行と走りをかなり平易に解説いただきました。ホワイトボードで前肢と後肢を図解しながらの説明、やはりテキストで読むよりことの全体像をつかむには効果があるような気がしました。

…ポイントだけ話すのは難しいですねw

競技馬の瞬発的な駆動力は単なる筋力が作り出しているわけではない。


引用に関連して、馬の並歩ではほとんど筋力を使っていないそうです。走行中の筋電図を取ることではっきりしたそうで、このあたりが先生独自の研究、世界初の試みだったとのこと。

では馬はどうやって推進力を生み出しているのか。これを大きく3つのポイントで説明されていたのですが、ここがエッセンスですから詳述は避けておきましょうかw 主に後肢の働きをホッピングに見立てるのがポイントのひとつ、というところまで書いておきますね。

そのホッピングという例え、自分はピンときたのですが、いまどきホッピングで遊んでいない若年層が多いのかな。会場でも10代20代の反応がいまいちでしたね。Wikipediaですとアクロバティックな写真があがっていますが、一般的には上下に弾みながら角度を付けて移動していく、くらいの遊び方ですよね。
ホッピング - Wikipedia

可動域といいますか、馬の動きの特性や限度を知ることで、むやみに「馬をいじくって」不要なストレスをかけないように意識してほしい、というのが締めの言葉。科学的なアプローチと得られた結果を手段とするなら、それをどんな目的に活かすのか、そこに携わる人がしっかり舵取り(判断)をしなければいけないですよね。専門的な知見が馬のいる現場にどう届くのか、そのストーリーが見える有意義な講義でした。

先生が講義中に勧めていた「馬の動き」という本、ご本人の監訳された本なのですが、脚の「振り出し」期と「引き戻し」期、それぞれのタイミングで活動する「前引筋群」「後引筋群」、といった講義ででてきたキーワードを見つけることができます。割と専門的な内容ですので気合と期待のある方は是非。…ほぼステマのようになっていますがw
Amazon.co.jp: メカニズムから理解する馬の動き パフォーマンス向上のためのビジュアルガイド: Gillian Higgins Stephanie Martin, 青木 修: 本


2つめのテーマは診療所の先生の目線から。年間延べ1万頭を扱ったデータから、乗用馬の三大死因を挙げられていました。それが講義要項にもある、疝痛、骨折、蹄葉炎。この3つとも最終的に蹄の状態に影響するという話でした。

詳述は避けますが、1点だけ震撼してしまったのが蹄葉炎のメカニズム。構造がイメージできない方は調べて補っていただきたいところなのですが、蹄の状態が悪化→深屈腱が蹄骨をひっぱる→蹄骨が下がる→蹄葉炎、という説明を受けて認識を新たにいたしました。爪が弱くなってしまったことで、深屈腱の正常な働きがかえって病変を引き起こすということですから、馬である以上当然にして起こりうるわけなんですよね。蹄葉炎の発症率が高いのもうなずけました。

個人的に、蹄葉炎という言葉に初めて目にしたのはアグネスデキシイでした。素質の開花を絶たれたサザンヘイロー産駒。疑問をもって調べても当時の競馬ファンが手にいれられる情報はたかがしれていました。…その頃の感覚がいまの好奇心を支えているのかもしれませんね。そうそう、サンデーサイレンスも蹄葉炎でした。

「No hoof, No horse.」という言葉をフィーチャーして講義は終了しました。蹄なくして馬なし、といえば聞いた事がある方もいらっしゃるでしょうか。先生のアレンジで「Know hoof, Know horse.」という言葉も合わせていただきました。後者のほうが重みがあるでしょうか。



最後に。

土日の競馬は粒度を下げてチェックしていました。事前の予想には時間をとれませんでしたねぇ。印象的だったのは日経新春杯のアドマイヤデウス、の道中の手綱。岩田の長手綱プランプランはおぉ、と思ってしまいました。外のコウエイオトメのテンションの高い手綱とは全然違っていましたね。

青木先生の講義では「首」の重さと動きもポイントになっていまして、ウエスタン乗馬のほうが馬の首の動きを制限しないからブリティッシュとは違って参考になる、という派生した話もありました。さすがにテンガロンハットの岩田を想像してはいませんよw アドマイヤデウスの首にかかる負荷はかなり少なかったのではないかなー、などと早速感化されながら、もういちどレース映像を振り返った次第です。


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