2015.06.03


ドゥラメンテ、圧倒的でしたね。

1コーナーまでにリアルスティールをパスして、2コーナーでのポジションを確認した時点でかなり安心感を覚えていました。高揚感はそのままですよ。「ハラハラ」ではなく「わくわく」が強くなったわけですね。ん?

あの位置から直線の坂を待たずに突き放しにかかって、そのまま押し切ったわけですからもう文句なし。スピードもスタミナも、前目にポジショニングするメンタルも、ラスト1ハロンを粘りこむフィジカルも。ミルコがポジションを前に取ったことと、4コーナー出口からアクセルを踏んでいった事がドゥラメンテのパフォーマンスをぐっと押し上げたと思っています。いやー圧倒的な2冠でした。

当日を待たずにドゥラメンテ本命は決めていました。懸念点があるとすれば当日の馬場とテンション。金曜こそ夜にどばっと雨が降りましたが、土日にかけては快晴でしたからね。土曜の葉山特別、ヘイジームーンは8枠12番のまま外々を回っての押し切り。極端な内枠バイアスでないことを確認できればドゥラメンテには支障なしという見積もりでした。

テンションのほうが心配でしたね。割とファイティングポーズを見せるイメージがありましたので、パドックから返し馬で往年のフサイチホウオーのようにならないかが、当日最も注視するポイントになりました。本場馬入場が終わった後、場内のモニターに映っていたのは、首を高く伸ばし泰然自若として周囲をうかがっている皐月賞馬の姿。この瞬間にドゥラメンテ本命を確信しました。賭けるには、わくわく感を託すには十分すぎる材料が整っていましたねー。ええ、ばっちり勝ち戦でした。


レースラップです。
12.7-10.9-11.8-11.7-11.7-12.5-12.5-12.4-12.4-11.9-11.0-11.7

スピリッツミノルを待つことなく、ミュゼエイリアン横山がハナを主張しました。このあたりはやっぱりね、というところ。向こう正面途中、坂のあたりからでしょう、12秒台半ばまでラップが落ちるあたりも横山ならでは。緩急は逆ですが、コースのアンジュレーションを利用してラップにメリハリをつくる点はゴールドシップの天皇賞春と一緒ですね。

半笑いさんよろしく、レースを4分割するとレースの特徴が見えてきます。3つめのラップが落ちた部分(12.5-12.4-12.4)で有力馬が好位にいると、後ろから勝ち切るのは難しくなる展開。スパートの手前で皆が一斉に一息いれますからね、ハンデ差のついたヨーイドンでは後ろから追い込む馬には相当なスピードが要求されます。とはいえ、これを見越してあらかじめ先手を取るためには、2ハロン目10.9にある程度お付き合いするスタートダッシュの速さが求められるでしょう。

深追いせずに好位を取る。共同通信杯からでは考えられないアドバンテージを得ることができたのは、馬自身の成長でもあるでしょうね。1週前の立ち写真の解説で、左の骨りゅうがよくなっているというエピソードも見えました。レースを使いながら心身の充実が見られるというのは大きなプラス材料と映っています。

ターフビジョンで見たリプレイ映像は、Racing Viewerのマルチカメラビューで確認できました。4コーナーで内のコスモナインボールが膨らんだ瞬間とドゥラメンテの加速の瞬間が重なっての接触。その結果直線入口で大きく膨らんでしまいました。この経緯ですから、皐月賞のそれとはだいぶ事情が異なっていますね。またかよ、という論調も目にしましたが、このあたりは同列に語り難いところでしょう。


レース後のトレーナーのコメントが振るっていました。ドゥラメンテの馬名の由来に引っ掛けたコメント。「…今回は非常に落ち着いて競馬ができましたし、そう荒々しくはないと思うのですがいかがでしょうか?」いやいや皆さん、ニヤッとするところですよw

これまで見せていた「荒々しさ」を陣営としては恥ずかしく感じていたこと、その矜持が覗くコメントであり、一方でドゥラメンテ自身の成長の手応えを頼もしく思うコメントでもあり、それをウィットなく質問するマスコミ向けに強烈にカウンターを見舞うコメントでもあるわけで。皐月賞後の回顧記事で自分は「未成熟」と表現したのですが、ちょっとだけ失礼だったかもしれません。
ミルコ号泣!二冠制覇ドゥラメンテ 次なる道は三冠か、海外か | トピックス | 競馬ラボ

いい意味でまだ「未完成」。早くも秋のロンシャンをイメージする贅沢なファンが多いようですが、陣営からは比較的冷静なコメントがでております。個人的にはエルコンドルパサーのような長期遠征で心身を鍛えながら凱旋門賞、が一番望ましいローテーションと思っていますよ。国内は組し易い、とは全く思っていませんが、春の2冠からあまり間をおかずに長距離輸送を伴う遠征はやはり負担が大きいだろうと。エアグルーヴの血統にじっくりと構えながら、父が臨まなかった淀の3000を越えてからでも遅くない、というのがひとり分の見解です。


これまで見込んできた可能性の開花と、これからの可能性への大きな期待と。ダービーで目撃する圧倒的なパフォーマンスは、いまここの興奮だけでなく、過去と未来も包括した充足感を与えてくれます。しばらくこの馬を中心に語られるであろう日本の競馬に対するわくわく感。ディープインパクト然り、ウオッカ然り、オルフェーヴル然り。強いダービー馬は得難い存在と、レース後からこちら、ずっと噛み締め続けちゃっているところでございます。まずは、是非、無事に。


2着はサトノラーゼン。パドックではだいぶ入れ込む様子を見せていましたが、レースぶりは落ち着いたものでした。鞍上が1枠1番を活かしきりましたね。好スタートから流すように1コーナーへ。道中はドゥラメンテをすぐ外に見るポジションで、4コーナーを利して外へ展開、直線は1番人気ドゥラメンテと馬体を併せる形。…書いてて改めて完璧な運び方だと思いますねぇw 今後G1で足りるかと言われると何ともなのですが、今回のパフォーマンスは素晴らしかったと思います。桜花賞もそうですが、岩田がシブい味を出し始めている印象もありますね。


3着サトノクラウンは出遅れが響きました。ゲートの左右をこするようなスタート。ルメールがその力の向きを無理やり前にもって行く間に他馬との差が開いてしまったように見えています。皐月賞同様、その差が詰められませんでした。上がりはドゥラメンテを上回る33.8。先ほどのハンデ差でのヨーイドンですね。じゃあ4コーナーで馬体を併せていたらどうだったか。おそらくはドゥラメンテの加速力についていけなかったイメージが浮かんでいます。相手が悪かった、というべきだと思っています。

個人的には、出遅れさえ克服できればですが、菊花賞で楽しみと思っています。1600m、2000mなど適距離に関する議論は散見されますが、こと3歳秋については、折り合いに不安が少ない分向くのではないかと考えています。ドゥラメンテがでてきたら?厳しいですよねそれはw


リアルスティールは火曜になって左前に剥離骨折が判明。敗因の語りはそこに収斂しそうですが、ちょっと異なる印象ももっています。1コーナーまでの所作、ハミ受けがおかしくなったとは鞍上のコメントですが、スタート直後からの手の動きは押す→整える→引くと短い時間で少しずつ変化しているようでした。プッシュして前めのポジションを狙いたかったのだがハミ受けの問題でプッシュできずにポジションを上げられなかった、という状況を読み取っています。

この読み取りを前提にすると、ドゥラメンテの後ろからという戦略だった、というトレーナーのコメントは、プッシュし切れなかった鞍上の擁護とも受け取れるんですよね。いや、擁護自体が悪いわけではないんですけどね。トレーナーの気概やよしと思いますし。ただ、そこで議論が止まってしまうとハミ受けの悪さは何に起因したのかはあいまいになってしまうわけで。

本命馬の後ろから、という戦略はたとえば菊花賞でウインバリアシオンが取ったそれと重なります。当時の本命馬オルフェーヴルに正攻法ではかなわない、という後方待機策。わずかな可能性に賭けるタイプの戦略ですので、これに沿うと今回のリアルスティール陣営はあらかじめドゥラメンテとの実力差を大きく見積もっていたことになります。このあたりの真偽のほど、どこかで当事者から語られるとよいのですがしばらくは難しいかな。

パドックでは後肢のパンプアップした筋肉が非常に目立ちました。もともとストライドが伸びるタイプではないでしょうから、よりピッチにパワーを増すような仕上げだったでしょう。瞬間的な加速をパワーで補完する意図だったでしょうか。その分、前肢で受け止める力も大きかったのでしょうね。故障はもちろん残念の一言。なんとなくですが、順調に秋に戻ってくるようならマイル戦線が一番合うように思っています。これまで未経験の京都でG1に挑むのも楽しみにできますね。



最後に。

当日は同僚と現地観戦。皐月賞、ダービーとドゥラメンテの2冠を共に目撃することになりました。込み合うパドックに案内したところ、すんごい集中力でずっと観察しっ放し。結果、前回買ったサトノクラウンと目のきれいなミュゼスルタンのダブル単勝という素人のような玄人のような馬券を選択しておりました。思わず、きれいな目を理由に後の7冠馬を買った馬主さんの話などを挟んでしまいましたよw 余計なエピソードを挟んでしまうのもmore than a decadeな功罪でございますw 13万人弱の喧騒がよい思い出になるとよいのですけどね。

レース後はモナムールでレース回顧。いろいろ話す中でふいに思い当たってしまい、エアグルーヴのオークスをスマホで再生。思い出してみるものです、これがドゥラメンテとよく似たレース運びでした。びっくりするやら懐かしいやら。血は争えない、とはこういったときに使うべきなのでしょうかね。未チェックの方は是非。1996年のオークスです。

そうですね、父キングカメハメハのレースレコードを更新しての勝利でもあるんですよね。こちらは2004年。血のつながりとともに、自分のキャリアがだいぶ長くなっていることも実感したダービーとなりました。

…いや、競馬なんぞにうつつをぬかしてむだに年取ったとかいうマイナスなベクトルではないですよw すてきな記憶が増えているという意味ですからねw


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