2015.06.08


モーリスの押し切り。地力を示してのG1勝利でした。

まさか4コーナーで3番手にいるとは思いませんでした。前走ダービー卿では出遅れで最後方ですからね。陣営がもろもろ策を講じてくるとは思っていましたが、いても中団だろうなと。縦のポジションに不安があった分、本命に推すところまでは重視できませんでした。

パトロールフィルムで確認できたのはスタート直後の川田の所作。ふわーっと手綱を開いていました。Dバミで終始がっちり抑える返し馬。それこそ「血がにじむほど」走りたい気持ちをグッと溜め込んでいたことでしょう。手綱を開いたことにどのくらいの意図があったかはわかりませんが、溜め込んだ前進気勢に任せるようなスタートダッシュとなったように見えています。

そして今度はゆっくりと手綱を持ち直しながらミッキーアイルのすぐ脇へ。スタートで先頭に立ってしまった前進気勢の塊との併走。スタートを出していってから抑える。「強気に乗れた」というコメントはこのあたりの運び方に躊躇がなかったことと受け取っています。結果的にストレス少なめで、縦のポジションでは圧倒的なアドバンテージを得られましたからね。


レースラップです。
12.4-10.8-11.1-11.6-11.4-11.2-11.3-12.2

リアルインパクトがハナを主張し、これを利用してミッキーアイルがねじ込むように折り合いをつけました。直後によく頑張ったケイアイエレガント。ラスト1ハロンのモーリスのラップが大きく減速していることを考えると、当日の馬場状態にしては前半突っ込んだラップになったと想像できそうです。…いや、レース後半に強く加速する地力が求められたと言うべきかもしれませんね。

モーリスはこのラップに積極的に乗る形で登坂しながらの抜け出し。残り200を切ってから川田は左を確認。おそらくはターフビジョンでヴァンセンヌを確認していたでしょう。気持ちに余裕があったか、めちゃめちゃ攻撃的であったか。抜け出してからの見せ鞭はやってくるヴァンセンヌと叩き合うためのアイドリングのようにも見えますね。

そうそう、ダービー卿で一番印象的だったのは、全馬を交わしきってなお集中力が途切れないところ。このあたりに祖父グラスワンダーのイメージが重なっています。ただ、今回の安田記念で早めに抜け出しているとは思っていませんでしたからねー。感じ取っていた特長がゴール前で活きたように見えるのは、やはりちょっと悔しいですね。…失速ラップの中、粘りきった根性も祖父譲りかしら。


ヴァンセンヌは2着惜敗。内をついたことは負けたことでネガティブに受け取られているでしょうか。個人的にはモーリスの前受けとは対照的な、福永の勝負だったと思っています。4コーナーを待たずに外に展開していたら2着も怪しかったでしょう。勝てば何とでもいえるはずでしたが、こういう時に惜敗なのが何とも。本命だったんですけどね。

前走京王杯は激スローを後方待機。ほぼ試走のように末脚を伸ばしての2着でした。京王杯のレースラップ、ラストは11.3-10.8-11.6。ほとんどの馬が3ハロン追いっぱなしのところ、福永は坂下の200を流して残り400からの仕掛けでした。徐々にアクセルを吹かしながら、ラスト1ハロンで他馬が失速するなか「相対的にバテずに」差し込む。これと似た展開でこのG1でも最後差してこれるのではないか、という読みがありました。もちろん決定的に失速しない馬自身の末脚の長さも重要なポイントです。

前半速くならない→後半早めのスパート→ラスト1ハロンの失速ラップ→そこに尻上がりに末脚を伸ばすヴァンセンヌ、という図式が浮かんでおりまして。ストロングリターンのリズムという認識でもありました。上のクラスではスローの上がり勝負しかレースパターンを経験していないことをウィークポイントと捉えてはいましたが、今回はハイペースにはならない読みがありましたからね。このあたりを斟酌しての本命視でした。あとちょっと、でしたね。

※いちおう補足です。1、2着とも、追い出し前にトップスピードにはのっていたはずですね。鞍上の手が動き出したのはスピードのピークを過ぎてからという認識です。ヴァンセンヌに関してはそれを見越しての本命でした。


3着クラレントは田辺に尽きると思います。スタートしてから無理なくフィエロの外にポジショニング。そのまま直線半ばまでフィエロに蓋をし続ける形となりました。いやーこわいですね。あの位置から踏ん張ったのは馬の地力ですが、あの位置へ導いたのは鞍上のセンス。途中で手綱を落としていましたが、ついでに鞭も落としていたでしょうかw すべて相まっての3着ですからさすがw


フィエロは行き場を失うような4着。向こう正面でモーリスに前に入られていました。前にモーリス、外にクラレント。直線半ばまで続くフィエロ包囲網の中で戸崎は仕掛けどころを逸したように見えています。特にルージュバックの桜花賞からこちら、張るべきところでひとつ下がってしまう鞍上のイメージが強くなっており。ひとつ前の10R、由比ヶ浜特別のマリオーロはもっと厳しい結果でしたしね。うーん、こちらも少し認識を変えて臨むべきでしょうか。

道中スムーズだったとして、モーリスの後ろからより強くスパートできたかというと未知数ですが、「もうひとつギアが上がらなかった」というコメントについては、仕掛けたいところで包まれていたためではないか、とツッコミを入れたくなる内容だったと思っています。パドックで肩の出方が少しスムーズさを欠いていたように見えましたが、いちおう併記しておきましょうか。力は出せる出来だったと思っていますよ。


他の馬はさくっと。

ミッキーアイルは先の通り抜群のスタート。そのまま先頭で走ったほうが着順はよかったでしょう。控える競馬にこだわる音無師のビジョンは今回は呪縛のように機能したでしょうか。

レッドアリオンは川須のイメージひとつ。ポジションありきの競馬に腹をくくるのは悪いこととは思いませんが、今回に関してはスタートからもう少しニュートラルに進める選択肢がほしかったなと。一方で、直線の追うリズムが馬の走りと噛み合っておらず。このあたりを慌てずにアクションできるかどうかが今後につながるように思いました。馬はよい仕上がりでした。いいスケール感。秋にさらに充実するようならG1も。あるかもしれません。

カレンブラックヒルは先行策をとらずの7着。スタート直後にひとつ外のエキストラエンドにアタックしていますので、不可抗力な待機策だったと推察しています。5着とはアタマ、ハナ差ですから、待機策なりに勝負はできていたでしょうか。しかし、この経験が次走以降どう活きるかというと何とも。。。

ダイワマッジョーレは出遅れがすべてだったようにも。上がりはモーリスとコンマ1秒しか違いませんしね。昨今のビッグレースはやはりスタートが大事、という典型を見たように思っています。



最後に。

マイル戦線の序列がこれでまとまったかと言われると、うーん。個人的には1、2着馬の今後の伸びシロに期待する、という方がしっくりきています。たとえばエイブルフレンドとガチで四つ相撲できるかというと、ね。モーリスも今日のパフォーマンスでマイルCSが磐石とは言い切れないように思っています。

フジの中継ではよく絶対王者という言葉を多用しますが、いまいまのマイルは同時代の先行馬のタイプによって勝ち方が多少左右される印象もあり。以前よりも高いレベルでライバルが拮抗しているせいでしょうかね。

ともあれ、グラスワンダーの血脈からのG1馬誕生はうれしい限り。あの筋肉質で叩きつけるフットワークはスクリーンヒーローですでに漂白されてますけどw 父系がつながることは楽しみが増えることでもありますからね。今後の競走生活もぜひ無事に。


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