2015.09.10

既報の通り、週が明けて騎手免許の取り消し申請は受理されました。藤田伸二、引退ですね。

週中の今日は私用で有休を取っていました。夕方前にはあれこれと藤田伸二を記憶から引っ張り出す時間を得ております。あ、雨足が強くなる前に自宅に戻れたのはよかったようです。週末まで台風の影響が残るようですし皆さまも引き続き用心くださいませ。

「騎手の一分」は読んでいましたので「電撃引退」の文字には違和感を覚えるところ。詳細を知らない層に訴えるにはよいコピーなのでしょうね。いまかぁ、とは思いましたが。思ったより冷静に受け止めております。


フサイチコンコルドのダービーで競馬に覚醒した自分にとって、藤田伸二は、…実はそこまで特別視してきた訳ではないんですよねw 身も蓋もない表現になってしまって申し訳ないのですが、ファンをはじめてしばらくは有力馬に乗ってくる怖いジョッキーのひとり、という認識が続いておりました。このあたりはジョッキーに嵌ったわけではなかった、ということなのでしょう。

全然思い入れがないわけではないあたりが、好きなり嫌いなりスパッと語りにくいところ。一番古い記憶、「藤田だから」買っていたのはフサコンではなくシルクジャスティスでした。ダービー、ジャパンカップ、有馬記念と本命にし続けた自分はほんとに懐かしいですねーw 自分の馬が強いといい続けての97年有馬記念。後年振り返って、結果が伴わなく追い詰められていたという本人のコメントに触れた記憶があります。いまいま改めてレースを観ると、よく本命にしたなぁとw フサイチコンコルドの鞍上でなければ注目していなかったのだと思っています。

レース自体もすばらしく。オリビエ・ペリエのエアグルーヴが敢然と横綱競馬で抜け出すところを、超攻撃的な武豊マーベラスサンデーがねじ伏せにかかる直線。静と動、勝負どころからの2頭の手応えは目立つんですよね。対照的に4コーナーでシルクジャスティスを探せた方はすごい着眼点をお持ちだと思います。レース未確認の方には是非。必見、と書いておきますね。
9R 有馬記念|1997年12月21日(日)5回中山8日|JBISサーチ(JBIS-Search)


藤田の成績をゆっくりなぞる時間が取れた結果、こんなページから情報を取っております。netkeibaの成績。年度別、1~3着別で成績を一覧することができます。年度ごとの2着を通して観る、などというジョッキーには失礼な検索も可能になっています。馬券を買う側には重宝しますね。
藤田伸二の年度別成績|競馬データベース - netkeiba.com

眺めていて気がついたのは、重賞戦線でお手馬にしていた馬の2着。クラスを問わず、たいがい複数回見つけることができまして。ダンツキッチョウ、アイポッパー、チアフルスマイル、ブロードストリート、タガノゲルニカ、ヒルノダムール。一発で結果を出すというより惜敗を経ながら重賞に手が届く、また重賞ウイナーを安定して活躍に導く姿が数字から読み取れそうです。

そういえばアドマイヤドンやビワシンセイキのように手を離れてからさらに活躍した馬もいましたね。もちろんそれぞれ事情は異なるのでしょうが、先を見ながら騎乗していたことが暗に含まれているようにも受け取れます。

また、思い出したのがグレースアドマイヤの府中牝馬S。折り合いを欠きながら早め先頭、ふわふわしているメジロドーベルをトニービン感たっぷりのロングスパートで追い詰める姿も思い出しました。本命だったなー。近藤英子オーナーの最初の頃の持ち馬。確かブリリアントベリーとともに小林稔師が購入を勧めた、と優駿だったかな?読んだ記憶があります。いずれも藤田騎乗で勝ち星がありますね。


さらにさらに、先日の新潟記念を勝ったパッションダンス。アドマイヤキッスの下、と気がついて久しぶりに当時のローズSを観返してみたところ、思わぬ発見が。中京代替開催の2000m、アドマイヤキッスは13番枠から二の足を求めないスタート、1コーナーまでに最内に潜り込み、直線最内から外へ展開して粘り込みを図るシェルズレイを交わしてゴールしました。…勝ち馬のコース取り、96年のダービーとよく似ているなぁと。馬番もいっしょですしね。

えぇ、もちろんアドマイヤキッスの鞍上は藤田ではなく武豊です。ただ、インを取って勝負をかけるレース観は通底しているのかなーなどとイメージが膨らみまして。懇意にしている先輩後輩だからなのか、トップジョッキーの辿り着く共通見解なのかはわかりませんけどね。あ、カンパニーの産経大阪杯、2着マッキーマックスの藤田にも近い判断を見ることができます。



…つらつらと書いてきましたが、実は秀逸な回顧を目にしておりまして。このくらい短くてよいんですよね。騎乗スタイルは書かれていることと変わらないイメージを持っていました。
藤田伸二が突然の引退 - 血は水よりも濃し 望田潤の競馬blog

書かれている通り、奇をてらわない戦略を腹を据えてこなす度胸があるかないかもまた重要。たとえば秋の開幕週の中山を外々をまわして差しきるキストゥヘヴンは、この鞍上の度胸なしでは見られなかったと思いますしね。自身が武豊TVでうまくいったと語っている通り、フサイチコンコルドの菊花賞はまさに正攻法、こう乗るべしという手本のような運び方と理解もしています。


本人が引退の理由、背景としてあげたエージェント制については、引退とは切り離した文脈で議論が進むことを期待します。ことの是非はともかく、あくまでジョッキーひとり分の弁ですのでね。エージェント制の恩恵をしっかり享受したジョッキーが新潟、小倉、札幌の各リーディングを獲った日に引退というのが、何ともいえないコントラストを生んでしまっていますけれども。

個人的には引退後にゆっくり言葉にしてほしかったかな。競馬の世界に引き続き関心を持ち続けていくのなら、騎手としての幕引きはより「静か」に進めてほしかった、という思いもあります。このあとカフェバーにいる?らしいことも含めて、引退のメッセージはこちらから。
藤田伸二騎手引退メッセージ UMAJIN.net


あー、よろしいやん的ないい時期の打ち出し方が基本肌に合わないのもありますねw いや、あれは肯定的に受け取っているんですよ。自分がなじまないだけなので。エンターテインメントとしては全くよろしいやん、とはいえないかもしれませんがw 自分から発信する力とその自己顕示の程度感に少し過剰さを覚えていたのは事実ですが、ただそのことで忌憚ない言葉を目にすることもできましたから、是非は何とも、でしょうか。自身が努めて「男」を打ち出していた、という認識込みで観ていましたよ。あーでもとりあえず上半身裸のGallopは買いにくかったやんw



最後に。

先ほど96年のダービーを見直してみました。鞍上に注目するとまた違って見えますね。あー、このあとトランセンドVSスマートファルコンの武術の演武の型をみるようなJBCクラシックも堪能しようかな。こちらもまた味わい深い魅せ方になっているはず。…ほとんど晩酌はしないのですが、今日はやんちゃ水をお供にしてみましょう。計らずも休日ですし、飲んでもよろしいやん、ということでw


上体の筋力全体でリズミカルに手綱を引き、押すではなく、ひじのスナップで前方に力を送り出すような独特な追い方。見られなくなるのは残念の一言です。あのダービーの記憶にはそのシルエットが付随していますのでね。

自分の競馬の端緒となるダービーを制したジョッキー。改めて、それだけで十分過ぎるほどの感謝がございます。
長い間、お疲れさまでした。


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