2016.01.23


開催から少し日にちが経ってしまいましたが、昨年に引き続き、行ってまいりました。

案内のページは上書きされているようでして以前の開催についてのアーカイブがない、もったいない状況。このあたりも昨年と変わらずですねぇ。ふむ。
公開馬学講座開催情報 関東装蹄師会 オフィシャルホームページ

備忘録的なテーマの転載、も昨年から引き続きで。やっておきましょう。

PART1 「楽しきかな!馬のバイメカ研究」
講師 日本装削蹄協会 青木修
PART2 「シゲの“馬の健康よろず相談室”」
講師 大和高原動物診療所 斉藤重彰

講師、テーマ設定とも昨年とほぼ変わらず。…何か変わらないことばかり並べているようですが、お話の切り口や深堀りするポイントが異なっていた分、今年も興味深い講話になっていました。そこが肝心ですからね。僭越ながら、昨年より充実していた印象もございます。

個人でメモを取る目的以外での録音録画は控えてね、というアナウンスがありましたので、概要を紹介しつつの感想をちらほら、という書き方でまいります。これも昨年同様ですね。

昨年の話が下敷きになる部分もありそうですので、ご興味のある方は以下の投稿も合わせて確認してみてください。
more than a DECADE 第18回公開馬学講座



実際の順番は逆で、まずは斉藤先生からの登壇でした。

乗馬の三大疾病のうち、今回は疝痛(せんつう=おなかいたい、ですね)にフォーカスしたお話になりました。一言で疝痛といっても症状も原因も様々、外見からではそれを特定するのは難しいそうです。痙攣、便秘、結石、ガス…と挙がった原因をたどるだけでも、なんとなく素人のこちらにもその難しさが伝わりました。痛さを説明してくれるはずもないですし、我慢する個体だとなおさら判断は難しいでしょうしね。

主に乗馬の診断をされていることと、参加されている方の中に実際に乗馬を飼育されている方がいらっしゃること(それ前提で話が進んでいました)から、実際の飼育場面で何に気をつけたらよいか、というメソッドに触れていたのは独特な流れでしょうか。予想屋さんが集まっても、歯のケアが大事とか、直腸を通して別の腸の部分を触診する(これで詰まっている箇所を探る)とか、疝痛予防にはたくさん水を飲ませましょう、まずお目にかかれない話ですものね。

疝痛が原因で蹄葉炎が発症してしまう、という話も。知識としては持っていましたが、そのメカニズムも平易に語られていました。循環という意味ではつながっていますものね。こわいです。

よろず屋という表現がふさわしくなったのは質問の時間になってからでした。先ほど飼育されている方が参加されていると書きましたが、本当に日常の相談が飛び交うという。こちらからすると圧倒的に非日常なので、とても興味深い内容でしたねー。

水飲まないけどどうしようとか、最近話題になっている蹄葉炎の原因とか、繋皹(けいくん=皮膚炎のこと、不潔な環境で起こりやすいそうです)の対策として清潔にしすぎないことや投薬は一気に行うとか、砂食べちゃうんだけどどうしようとか(こちらは参加者同士の意見交換が始まりました)。

日常で起こってなんとなく解決されていく問題の類って、きっかけがないとなかなか言語化されないでしょうからね。そんなことがつまづくポイントになるんだ、という発見ばかりでした。素直に驚くべき瞬間でしたし、素直に驚きましたよw こういう刺激も大事だなーと、いまいま振り返っている次第です。


続いて青木先生の講話。

こちらはバイオメカニクス。なのですが、ご本人のひと区切りというニュアンスが大きかったでしょうか。今年で定年を迎えられるとのことで、これまでの研究をダイジェストで振り返るという主旨になっていました。

とはいえお話上手(脱線上手ともw)の認識がありましたし、これまで見聞きした研究内容からして、案の定というべきか、濃密でかつ時間が足りないという進み方になっていました。全然悪いことではなく、いまどうお話されるかという関心の持ち方で聞くことができました。

内容は前回と重なるところが大きかったのですが、走行中の筋電図を取ること自体の難しさについて語られていた件は面白かったですね。筋肉に差す電極の素材に困ったそうです。素材が細いなり弱いと走行中のパンプアップで壊れてしまうし、太いなり強いと痛がって走りが乱れたり加減してしまったりするとのこと。言われてみるとそりゃそうですね。それを克服して実際にきれいな筋電図をどう取ることが出来たのか、はいちおう伏せておきましょうかw

馬の重心の話もちょこっと。様々な教本で触れられている重心は、間違った位置を指していることが多いらしく。乗馬の教本はそこから重心の話を置いてしまい、バランスバックなりバランスフォアなり、乗り手の重心移動の話に移し替えてしまうそうで。このあたりは他のジャンル同様、研究と実践のそれぞれの場面が一気通貫とはいかない実態を表しているようです。言葉の端から、ご自身も苦慮されているように聞こえてきました。

やはりというべきか、乗馬とは異なり、ジョッキーは重心より前で騎乗しているようです。ジョッキーの乗り方の違いについてもちらっと触れつつ、今日はやらないと肩透かしをされてしまいましたけどね。別の機会にしっかり聞いてみたいテーマですね。

冒頭とラストで繰り返されていたのは、この講座の開催主旨について。馬が壊れると装蹄が悪いとされやすく、まとまった反論が難しくて泣き寝入っていた装蹄師さんの事情があって、それに対応するために研究結果を話すことになった、という経緯があったとのこと。もちろん恨み言で終わる話ではなく、講座を通して馬の動きを理解してもらい、乗り手が馬を壊さないためにできる所作についてイメージを深めてもらえるなら、馬にも装蹄師にもやさしい世界が待っている、のかなw 19回と継続してきた背景はそこにあるようです。馬の動きとのハーモナイゼーション、という響きは個人的に新鮮でした。

これまでと変わらず、終始からっとしたトーンで進んだお話、聞きやすかったですね。どうやら定年という区切りがありつつ、来年も登壇されるようでしたので、次回の切り口も楽しみにしたいと思っています。



最後に。

当日はノートPCを持ち込んで、口述筆記よろしくガリガリとメモをとっていました。同じことをされている方はほぼ皆無でしたので、IT業界のミーティング風景とか見たらびっくりするだろうなーなどと文化のギャップに軽くやられていたり。

おかげさまで「講師」と変換したいのに「後肢」が先にでてくる奇特な辞書機能ができあがりつつありますw 斬新ですねw このままいくぞーw

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