2016.05.30


マカヒキ、ハナ差を制しました。

勝負にいったエアスピネルをぴったりマークするサトノダイヤモンド、プレッシャーをかけるようにその後ろからマカヒキ、すべてを見越したかのようにあらかじめ外に展開する構えだったディーマジェスティ。直線半ばでのせめぎ合いは熱かったですね。タイミングを逃さず抜け出した、こじ開けたかな、川田将雅に凱歌があがりました。だいぶ騎乗フォームが崩れていましたが、どうしてどうして、それを含めて攻める姿勢を貫いたことが勝因だったと思っています。いやー、素晴らしいレースでした。

この1週間はめちゃめちゃな稼動で働いていましたので、心を据えてダービーに取り組んだのは土曜、いや日付変わって日曜になってからでした。せっかくのダービーウィーク、本当はダービーで頭をいっぱいにする時間をたくさんつくることが重要なんですけどね。少ない時間での見立てがどうだったか、レース回顧と混ぜながら書いておこうと思います。


公式レースラップです。
12.6-11.1-11.9-12.1-12.3-12.9-13.1-11.8-12.0-11.6-11.0-11.6

マイネルハニーの逃げは1、2コーナーを流してから溜めをつくるように減速。残り5ハロンからアグネスフォルテが我慢し切れなかったことで一気にペースが上がりました。これでレース全体を通して締まった展開になったと思われます。これまでのマイネルハニーのペースから、大知はどこかで緩みを求めるだろうと考えていました。アグネスもペースを上げる逃げは望まないでしょうし、終始ハイペースという可能性は低いと見積もっていましたが、おおよそ合っていたようです。

土曜からCコースに変わっての前々な傾向。意識は十分にあったでしょう、川田は1コーナーまでに静かに拳を動かして、マカヒキに前進を促していました。結果、5~7番手を欲していた(まさにその通りのポジショニングでしたが)サトノダイヤモンドの内、という中団のポジションを得て、1、2コーナーを回る形をつくっています。マカヒキにとってはこれまでで一番前目のポジションですね。

着差を考えると、このポジショニングが大きな勝因といえそうです。リスクを負って前につける。ワンアンドオンリーとイスラボニータを思い出します。あの年は圧倒的に先行有利の馬場コンディション。横山と蛯名、あとはトーセンスターダム武豊の3人だけがスタートからポジションを求めていた認識です。

戦前の自分は、ディーマジェスティとマカヒキの差はここにでると見積もっていました。ただでさえ皐月賞は外に膨れるスタート。蛯名はポジションを求めるようなプッシュはしない、できないという推論。そうするとマカヒキが前にはいってくる可能性が高い、言い換えれば勝負どころでひとつ外に回さなければならないロスが生じる可能性が高まるわけで、マカヒキより内、データ上有利な1番枠はかえってアダになる、という考えにも及びました。

それに対策しなければいけない、鞍上のやることが増えるというのは、それだけでディスアドバンテージでしょう。馬場が外差し傾向を示しているとまた別なんですけどね。蛯名がスタート早々に内ラチから離れたのはその懸念への先回り、対策であったと思っています。

ディーマジェスティにアドバンテージをつくり、エアスピネルとサトノダイヤモンドを目標に追い出せる、という時点でかなりマカヒキ勝利の可能性を感じていたのですが、やっぱりねー、この世代1番のスケール感を見ていたサトノダイヤモンドの評価に最後まで迷いました。

馬場傾向に乗って、ポジションを取ったサトノが人気の差し馬を背負って押し切る可能性を取ったんですよね。求められるのは11秒前半でスパートできてラスト1ハロンを粘りこむ末脚。リオンディーズ、スマートオーディンはそれぞれ片方の特性でしかアドバンテージをもてない認識でした。多士済々の中、そして仕上がりに一抹の不安を覚えながらの本命視。ゴール前、外に膨れてなおマカヒキを追い詰める姿を見ることができましたので、個人的には充足感のほうが大きいのですけどね。

しかし、相変わらずの馬券力でして、折り返しなしの馬単で外れ。2頭の馬連買っとけばOKでしたし、戦略的に折り返しておけば来週は潤沢な資金で臨めたのにねぇ。本命に決めた気持ちの強さを馬券で表現してしまいました。


川田将雅のダービー制覇。着順掲示板で3と8が点滅した瞬間、現地では泣いていることはわかったのですが、録画で確認するとばっちり号泣でしたね。こちらももらってしまいました。直線、前が開いてからは冷静ではなかったでしょう。そりゃそうでしょう。できればラストまで冷静で戦略的であってほしかったとは思いつつ。ダービー獲ったかぁ。おめでとうございました。あ、最終レース後、パドックでのレース回顧はいつも通りビシッとしたものでしたよw

マカヒキの今後。シャンティイのアークへの登録は済んでいますが、行くんでしょうかねぇ。京都の3000に拘る状況ではないですから、可能性はあるのかな。個人的にはジャパンカップで観たいと思っていますが、どんなローテーションになるでしょう。いずれにしても継続騎乗でお願いしたいと思います。


サトノダイヤモンド。ずっと気になっていたのは、追い切り後の池江師のインタビュー。普段と違って節目がちで言葉少な目、素っ気無いトーンでした。3週連続で強い負荷をかける積極的な判断とのギャップにその理由が推測できずにいたのですが、パドックでの仕上がりを見て、100%仕上げ切れなかった思いがあったのかもしれない、という仮説に至りました。個人的な心象を重ねまくっていますが、馬体のスケールからしてもうひとつ馬体が膨らんでいていいように見えたんですよね。何らかの理由でそれに至らなかった、という思いが言葉少なにさせたのでは、と。川田のいつも以上にビッとしたインタビューとは対照的でした。

もうひとつ。直線で右鞭を受けながら右に寄れた所作について。この結果マカヒキの進路が確保されたわけですが、何故右に寄れたのかが、これまた仮説になる状況です。個人的な見立てですが、サトノダイヤモンドがひるんだのか、あるいは逆にサトノダイヤモンドがディーマジェスティを邪魔しにいったのか。精神論に帰着させるのは、ね、何ともなのですが、左後ろの落鉄が寄れた原因かといわれると…。いずれ関係者から語られるところがあれば、と思っています。

春は無冠。淀には向くと思っていますが、いまのところは陣営も決めていないようですね。できれば馬体の完成に軸をおいて秋シーズンを過ごしてほしいですが、どうなるでしょう。完成した姿が見てみたいですからねぇ。まずは楽しみに秋を待ちたいと思っています。

そうそう、勝ったマカヒキの成長と特徴を見極めながら、丹念に追い込みの戦略を紡いできたのはサトノダイヤモンドに騎乗していたルメール。川田が思い切りよくレースを進められたのは、これまでのルメールの積み上げが有効であった証拠といえるかもしれません。ルメールからすれば皮肉な話ですが、ゴール直後に彼から握手を求めていた姿からは、かつてのお手馬に対するポジティブな思いが勝っていたように見えました。いい光景でしたね。


ディーマジェスティ。あそこまで頑張ったのはやはり皐月賞後の成長の賜物でしょう。腹回りの強さといいトモのパンプアップといい、ブライアンズタイム感満載ですね。タフな末脚、という意味では当然警戒しないといけないわけでしたが、先に書いた通り、マカヒキとの初速の特徴の差、そして枠順の並びから少し評価を下げていました。

蛯名の経験はこれに先回りしていましたね。早めに内ラチから離れて、4コーナーまでサトノの誘導を受けつつ、マカヒキへ蓋をするポジショニング。これは素晴らしかったと思っています。が、自分からプッシュしてポジションを取りにいけないという前提ありきの素晴らしさ。もう少し器用さがあれば、と思うところでもありますね。

直線サトノダイヤモンドに寄られた事は痛かったでしょう。ラストまで伸びは鈍っていませんでしたので。ただ、差し馬が基本的に抱えるリスクでもありますし、鞍上の故意でもありませんので、やむを得ない範囲かなとも思っているところです。

こちらも凱旋門賞への登録がありますね。淀へ向かうよりははるかに適性がありそうです。その場合、先日登録した愛チャンピオンSからのローテーションになるのかな。皐月賞の距離が示すとおり、2000mに適性が収斂しそうなイメージをもっていますので、好意的に受け止めているところです。


エアスピネル。こちらは武豊の仕掛けに唸るばかり。4コーナーを待たずに仕掛けていく積極策でした。これは素晴らしかった。サトノダイヤモンドを本命視するかで迷った理由のひとつは、このエアスピネルがどれだけ前で踏ん張るか、というところ。早々にバテてしまうと今後はサトノが後続の目標になりますからね。

サトノ本命は、豊さんの立ち回りに賭けた部分もありました。いったん先頭に立ちましたからね。こちらの期待を上回っての積極策ですからさすがのひと言。そうなんですよね、エアメサイアのオークスのリズムなんですよね。同じ陣容で、同じ積極策で、同じいったん先頭で。鞍上のレース後コメントの通り、どこかで大きいタイトルに届いてほしいなぁ。大阪杯?


リオンディーズ。前走の運び方から、今回は控える可能性が高いと思っていました。ひょっとしたらデムーロの感じている手応えからは引き続き先行策、だったかもしれません。とはいえ、これ以上先行策で燃えやすい気性を定着させてしまった場合、という懸念は少なくともトレーナーから出てきそうかなと。控えるとなったら中団につけるような微調整はできないでしょうから、前残りの馬場に対して有効なポジショニングは難しいのではないかなと。これで評価を下げた形です。だいぶ怖かったですけどね。

折り合いへの懸念が語られていましたが、個人的には遅く走ることが苦手なタイプかなと感じています。お兄さんがより顕著でしたね。レース前半は抑えることでかえって反発するように見えていました。ただ、今日あのレースをしたことで、今後の折り合いにはプラスの経験が詰めたかもしれません。はい、逆に言うなら、ダービーでその調整をしなければいけなくなったことがリオンディーズ陣営の敗因と思っているところです。

それにしても。ここのところ、デムーロの体内時計について「?」を覚えることがままありまして。確かに世のジョッキー全員が正確な体内時計を常に駆使できている、なんてことは幻想でしょうから。ただ、それにしても、という時があるんですよね。ダービーに致命的な誤差が生じていたとは思っていませんが、ちょっと注意して観ていこうかなと思っています。


スマートオーディンはこのペースに対しては力みすぎていたかな。直線に向いてなお溜めるポジションを求めていましたが、一瞬のキレを見せるに留まりました。ヴァンキッシュランはパドックでずっと耳を絞っていました。後ろのイモータルが怖かった説を主張したいですがw パフォーマンスには影響したと思っています。プロディガルサン、レッドエルディスト、アジュールローズはそれぞれの特徴の中でまだ未完成な印象。これからどう仕上がってくるか、楽しみですね。


ダービーの馬柱を眺めて気がついたのは、出走馬の父と母父にダービー馬の名前が多かったこと。数えてみてください。ダービー馬はダービー馬から、という格言はいまや当たり前になっていますね。サンデーサイレンス、ブライアンズタイム、トニービンが御三家と呼ばれていた時代があってね…とか語り始めないほうがよい年齢になってきたんでしょうねw



最後に。

思いがけず、自分が預かっている部門の元スタッフから連絡がありまして、目黒記念のパドックでさくっと合流。久しぶりに顔を合わせて近況報告などしておりました。どうやら初心者講習的なものを受けたらしく、そこで薦められた買い目をそのまま買って的中という。博才とは無縁なキャラのはずなのに、などと軽く茶化しつつ、自分の外れを上手く誤魔化した元上司がこちらでございますw


先の種牡馬の気づきもそうですが、いろいろな出来事の端々で年齢なりキャリアなりを感じることが増えてまいりました。そりゃあもう否応なしですね。それに何とか食らいついていきながら、自己像とのギャップを調整することもまた必要な態度なのでしょう。年相応というやつでしょうか。阿るでもなく変に割り切るでもなく。バランスを意識しながらキャリアを重ねていきたいと思っています。超無邪気なテンションなら奥のほうにいつでもありますからねー。

端緒となるフサイチコンコルドから20年。やっぱりダービーはわくわくしますね。
まだまだ競馬のキャリアは続きそうです。

2016 Japanese Derby Tokyo Racecourse

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