2016.06.14


ラニのBelmont Stakes は3着でした。

勝利の可能性を感じたという主旨の鞍上のコメントが、この遠征の成果を端的に示しているように思っています。アメリカ3冠を皆勤する日本馬を目の当たりにできるとは。それも9→5→3着と成績を上げていくタフさ。今年3冠すべてに出走したのはラニとPreakness Stakes を制したEXAGGERATOR、それも3冠目は11着でしたからそのタフさは際立っています。

JRA発表のレース結果はこちら。
ベルモントステークス(G1)の結果 JRA

勝ち馬CREATORは大外から1コーナーにかけてグーッとインへ。いったん内ラチを取りましたね。着差を考えるとこの内外の差は大きかったようにも思いますが、仮にラニが勝ち馬のコースを選択した場合は、少なくなく他のジョッキーからプレッシャーを受けていたでしょうね。アウェイの洗礼、それが着順を下げる要因になっていたらここまでのポジティヴな評価は生まれなかったかもしれません。ラニの特性や成長度もゆったり馬群の外を回わす判断につながったでしょうか。

日本向けの血統やトレーニングを前提にしつつも、馬次第でドバイやアメリカのダートで善戦できるという実績。これは大きいでしょうね。今後条件が整う陣営がでてきた場合、心理的なハードルはこれまでより下がっているでしょうから。未来の遠征を後押しする素晴らしいチャレンジだったと思っています。

少し長いスパンで競馬を捉えたとき、カジノドライヴで挑んだトレーナーの「過酷だからこそ、将来の種牡馬を選定するレースとして非常に価値が高い」というコメントは響きますね。これもまた越境することで得られる果実であるでしょう。
【米ベルモントS】ラニ大健闘3着!武「勝てると思えた」 (1/3ページ) - 予想王TV@SANSPO.COM


はい、日本競馬という価値が越境することで生じる効果については、ずいぶん前に書き散らしておりますので、ここで再掲。あまり見解は変わっていないですが、関係者はより繁殖の価値に比重を置いているであろうことは当時より感じております。
more than a DECADE 越境すること

エイシンヒカリのイスパーン賞しかり、昨年ですがCalifornia Chrome の欧州遠征しかり、Flintshire のアメリカ移籍しかり(緒戦勝ちましたね)。どの程度意図しているかはそれぞれ異なっているでしょうが、実馬のパフォーマンスの向こうにブラッドスポーツとしての価値の増幅が展望できますよね。


一方で、東京ダービーの結果は越境「される」側について思いをめぐらせる機会にもなりました。JRA移籍緒戦のバルダッサーレが快勝したことは、制度上の問題は別として、生え抜きの南関馬を応援していたファンには思い入れにくい結果だったようです。確かに、これまでのクラシック路線の勝敗は何だったの?という感覚になってしまうのならちょっとわかりますけどね。既存の価値への侵食、というと言葉を選びすぎでしょうか。ひっくり返せば、凱旋門賞やケンタッキーダービーを制するのは、対岸の価値観を壊すことにある種の快感があるのかもしれません。逆の立場なら、…すごい抵抗感を覚えそうですね。

カウンターといいますか、落ち着いたトーンだったのは斉藤修さんのレース回顧でした。
転入初戦馬が勝った東京ダービー - netkeiba.com

自分の見解ですが、他地区からの移籍馬に一定のルートを設けて(代わりに移籍直後の出走を制限して)、正式に南関クラシックに参加できるように路線を整える、というような措置が適当なのではと思っていますが、それでも駄目ですかねぇ。ダービーをマル外に開放したときのような、限定的な枠組みと拒絶反応から始めるしかないかなと感じております。


情報の収集コストが格段に下がっていることから、異なる価値を跨ぐという意味で「越境」する流れは、よしあしではなく、しばらくは止まらないトレンドであるのでしょう。たとえば、日本ダービーを海を越えてきた馬が勝利するような流れが生じたとき、その遠征馬を既存の価値をおびやかすインベイダー扱いするのではなく、端的に面白がれたほうがいいように思っています。せっかくリアルタイムで見られるわけですから、その価値の衝突と融和のプロセスを楽しんじゃったほうがお得かなと。


マカヒキが凱旋門賞を目標に据え、サトノダイヤモンドは現時点で菊とarcの両睨み。それにドゥラメンテですものね。2世代の日本ダービー馬が凱旋門賞で手合わせするわけで。それも歴史的に初めてではないわけですから。凄い時代になったなぁ。


最後に。

Royal Ascot 開催のカウントダウン映像、公式アカウントがツイートしていますが、かっこいいんですよねー。「LIKE NOWHERE ELSE」のキャッチコピーにもすっかりヤラれているところでして。ファンはあくまでミーハーな目線で楽しんでしまうのがよいのかなと思ってしまう、実に気の利いたプロモーションです。

思うままにつらつら書きましたが、日本競馬の越境、まずはPrince of Wales Stakes ですね。レーティング129の世界ナンバー1、重馬場のAscot をこなしてくれるでしょうか。えぇ、ばっちり応援しますよー。

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