2016.11.01


モーリス、完勝でした。

直線に向いて、モーリスの視野がクリアであることを確認したときの高揚感たるや。ねー。仕掛けてから馬場の外目に進路をとってフルスピードにのせて、左手前をかえてからは内寄りに進路をとりました。まっすぐ走らなかったのは手前に対して無理のない加速をするため。蛇行、と表現するのはライアンに失礼でしょうね。前方はクリアですし、後方から差される懸念もなかったのでしょう。他馬の邪魔をするはずのない鞍下の実力を存分に開放する、自信に満ちたコース取り。まさに完勝でした。

そうそう、ライアン・ムーアのエスコート、ドバイターフのリアルスティールを思い出しました。馬群の外をなぞるように直線に向く、左回りのワンターン。あの時も直線を通して安心して見ていられましたね。

府中の直線半ばで手前を変えるグラスワンダーには何度もハラハラさせられてきましたが、こんなに安心して見ていられるとは。モーリス本命で馬券を取ったのは実は初めて。いろいろなファクターがすべて高揚感に昇華しておりました。よかったー。いやー、競馬っていいものですね。


公式レースラップです。
13.3-12.0-11.6-11.9-12.0-12.3-12.0-11.5-11.0-11.7

エイシンヒカリの逃げはスローでした。ロゴタイプもクラレントも先頭を脅かすような動きは見せず。にしてはスタートからプッシュする武豊の所作。完歩幅から遅いだろうなと思っていましたが、13.3-12.0はエイシン以外逃げる意思がなかったことを示していそうです。大外からラブリーデイが被せてきた分11.6が計時されたようですが、それでも前半はスロー。

G1でスローだとレースレベルに疑問符がついてしまうのは仕方ないでしょうか。個人的には、特に向こう正面の馬場が緩かったことがスローを招いた大きな要因と思っています。発表は良ですが、レース映像では内外を問わず、各馬だいぶ土を蹴り上げている様子が見て取れます。金曜にまとまった雨が降ってから、土日を通じて曇りで冷え込んだ天候。直線の外側以外は、乾かずに掘れる馬場コンディションであったことが窺えます。最内を避けるレースばかりでしたものね。

向こう正面で先行するために脚を使うことはスタミナの浪費でアドバンテージに繋がらない。各ジョッキーがそう考えたのだとしたら、スピードの乗らないエイシンヒカリのペースに各馬がお付き合いしたことも全うな勝負のうちと理解できます。ルメールの2番手への動きは大外とペースと馬場を加味して、積極的に「ウラ」を取る判断だったのでしょう。ポジションは対照的ですが、勝機を掴むための攻めの姿勢という意味では、アンビシャス横山の待機策と同じ意味だったと受け取っています。

それを踏まえても、エイシンヒカリの逃げは実力を発揮したものではなかったと思います。パドックで騎乗命令がかかったあと、武豊はエイシンヒカリに騎乗できないまま地下馬道に消えていきました。だいぶ暴れてましたねー。本場馬入場はお尻からでしたし。現場で確認できたのはここまでですから、どちらかというとまともに折り合えずにクシャクシャになる予感を強く持っていました。

返し馬で気持ちが抜けたというよりは、スピードに乗らない馬場に馬が加減をしたのかもしれません。気持ちがのらなかった理由は、馬場を嫌ったことにあるような気がしています。結果的にスローの溜め逃げになり、直線で急に加速できるタイプではありませんから、あっという間に馬群に飲み込まれてしまいました。

次につながるとか、レースとレースを線で捉える問題ではないようにも思います。次走香港であっさり巻き返す可能性はあるでしょうし。国際レーティング1位で、稀代のくせ馬。わるくないと受け取るほうが面白いでしょうかね。陣営からすればたまったものではないでしょうが。


一方のモーリスはゲートでうねうねしていた分、出遅れ気味のスタート。1コーナーまでに少し横のポジションを主張する形になりました。ライアン、ちょっとあせっていたかもしれませんね。僚馬サトノクラウンの進路を結構ラフにしめていましたから。

その後は終始外に馬をおかないポジショニング。スローの前半にしっかり折り合えたことは陣営の努力の賜物でしょうね。また掘れる馬場で速い追走をしなくて済んだこともプラスに働いたでしょう。

レース後のインタビューで、人気薄の馬の後ろにはいったことに注視しながら進めたことに触れていました。ヤマカツエースをちゃんと理解していたんですね。やっぱり予習は大事。事前のリサーチがしっかりしていることも勝因のひとつなのでしょう。

次走は香港カップかマイル。どうやらライアンが乗れるほう、という調整になるようです。乗れなくてもモレイラでしょうから、香港カップで観たいですけどね。選出のされ方次第ではエイシンヒカリ、モーリス、サトノダイヤモンドというビッグマッチが実現するのでしょうか。日本で実現しないんだw という感想ももってしまいますね。


リアルスティールは待機策から上がり最速での2着。パドック入りが遅かったのはちゃんと認識していましたが、装鞍所で相当暴れていたとは読み取れませんでした。あの落ち着きはひと暴れの後だったんですねw ただ、きれいにパンプアップした仕上がり。坂路1番時計を出しながら毎日王冠を回避して、という臨戦過程を加味して、自分はパドックで評価を上げていました。先行したらモーリスの目標だけどなー、という点を懸念していましたが、デムーロの判断か矢作先生の策か、あの待機策はお見事でした。

この後はジャパンカップという話も。向こう正面では前に馬を置かずにペースに合わせられていましたから、いまの心身のコンディションなら。面白そうですね。


ステファノスは末に徹しての3着。スローペースに泣いた格好ですが、さすがに川田、毎日王冠の二の轍は踏みませんでした。個人的にはスローでもハイペースでも、終いは確実に来るだろうとイメージしておりました。外差しの馬場でしたから余計に買いやすかったですね。パトロールビデオではモーリスとほぼ同じラインを通って直線に向きました。このあたりはモーリスと安田記念を制した鞍上。意識していたでしょうね、きっと。

アンビシャスは伸び上がり気味のスタートから、後方待機策。おそらく一瞬で待機策に切り替えたのでしょう。個人的にはロゴタイプの直後あたりを狙ってくるイメージももっていましたが、スタートの後手が最後まで響いた、といってよいと思っています。直線で内をついたのは直前にいたクラレントが外に展開したため、かな。見栄えはウオッカの天皇賞で内から蛇行してせまったカンパニーのそれでした。現場ではまさにそのイメージが重なってアガっていましたが、あの時よりはやむを得ないという割合が強いように振り返っています。


ルージュバックの仕上がりはよかったと思っています。が、ハイペースを追走するのも、スローで3ハロンをびっしり伸び続けることも、どちらにしてもこのメンバーでは苦しいだろう、と評価を下げました。

結果的にはデムーロに蓋をされてしまっての敗戦。こうした大一番で、馬のストロングポイントを引き出すために、ひとつ動いてポジションを確保する積極性は戸崎に求めにくいイメージがありまして。このあたりは福永と似たイメージかな。ロスを抑えて苦しい場面にお付き合いしない、という立ち回りに長けていると思っています。表裏一体なのでしょうね。牡馬相手の実績に偏っていますが、決して男勝りな馬格でも性格でもないと思っています。ファンですけどね、今回は冷静に見極めました。



取りとめのないやつを、最後に。

今年の天皇賞に特徴的だったのは、秋古馬3冠を目標にしている馬がいないこと。キタサンブラック、ゴールドアクターはスキップしていますし、マリアライトはエリザベス女王杯ですし。かつての中距離路線の王道という価値観は実質的に変化する時期に来ているのかもしれません。以前から問題だといえばそうなのですが、なんだかんだでチャンピオンクラスが目標にしていればそのローテーションの価値は続いていくとも思っていまして。

先ほどもちょっと触れましたが、この調子だと、最優秀短距離馬と最優秀古馬牡馬、最優秀3歳牡馬もあるいは、そして年度代表馬が香港の結果次第で決まることになるかもしれません。少なくともビッグアーサーとレッドファルクスが香港スプリントですからね。

それに加えて、その年の菊花賞馬と天皇賞馬が香港で雌雄を決したら。超おもしろいんですよ。でも一方で見直すべきものがあるのでは、という思いもちょっと強くなるなと。

後ろ向きな話じゃないと思うんですよね。日本の秋シーズンでおもしろい番組って何だろう、とステークホルダー皆で考えてみてもいいんじゃないかと感じているところです。

あー、相変わらず、G1をまとめてやるお祭り開催はほしいと思っています。単年度の収支より中期的なブランディング戦略という色合いが強い施策になるのでしょうけどね。海外からのお客様など招待しやすくなるんじゃないでしょうか。競馬に明るくなくてもお祭り開催だったら行こうと思ってくれそうですし。何より、モーリスのあの走りを諸外国の競馬ファンにお見せできるなら誇らしい限りですしね。

そういう意味では、今年の年度表彰がいろいろ難しくなってくれたほうが議論が進んでよいのかもしれませんね。

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