2017.05.30


レイデオロが捲りで大一番を制しました。

いやー、ダービーの向こう正面で捲りが見られるとは。当日の馬場とパドックを見ながら、可能性は低いと見積もりつつ、マイスタイルのスロー逃げとアドミラブルの捲りがあるかも、などと考えてはいました。前日まではヴィクトワールピサのドバイワールドカップはないだろうとか言ってましたけどね。それも含めてアドミラブル本命にしたのですが、まさかルメールが捲るとは。2コーナーを曲がりきった瞬間のアクション。迷いのなさはG1連勝の勢いだけでは語れませんね。すごかったー。

公式レースラップはこちら。遅いですねぇ。
13.0-11.2-12.9-12.8-13.3-12.5-12.1-12.6-12.7-11.5-10.9-11.4

マイスタイル横山が11.2-12.9でペースに蓋をする逃げ。結果4着に残すわけですからこの牽制の効いた勝負の仕方は納得。これを許してしまうメンバー構成だったということですね。トラスト丹内には先頭を切る意思表示がありませんでしたし、クリンチャーは想像以上にダッシュがつきませんでしたし。そうですね、アルアイン松山がきっちり出していったことでトラストより後ろには見事な牽制になっていたでしょう。1コーナーまでの動きは本人の言葉通り見事だったと思います。

13.3-12.5のペースアップはレイデオロが2番手に来たためでしょう。これ以上捲られない=先頭をを確保するためのペースアップ。キタサンブラックのジャパンカップを想起させる、捲らせない程度のペースアップと見えています。おそらくですが、横山はここまでの流れを予め想定していたのでしょう(スタートを決めて先頭→急にラップを落としてスローを演出→捲ってくる有力馬があればペースを上げて対応、まで)。一方の丹内はレイデオロが来た瞬間横を向いて確認していました。こちらはその想定がなかったように見えています。2番手が遅すぎたとは武豊のコメントですが、具体的なペースうんぬんよりこの想定なり準備のなさを感じ取っての発言だったかもしれません。

mahmoudさんが具体的な数字をツイートしていましたが、レイデオロは直線までほぼ12秒半ばのラップを保っていたようです。走りのリズムをキープしていたと言ったほうがよさそうですね。捲ったのは結果論であって、力をこめてペースを上げたわけではなかったようです。

2コーナーの縦の並びはペルシアンナイト、レイデオロ、アドミラブル。レイデオロの捲りに呼応して戸崎が動きました。一瞬だけ逡巡したように見えましたが、かかり気味のテンションを考えれば納得。それでも追随したのは勝負にいったことの証左でしょう。テン乗りでなければレースの前半からもっと選択肢があったでしょうね。

この2頭の動きに捲りを躊躇したのがデムーロでした。すごい個人的な見解ですが、捲っていれば、このダービーは獲れていたかもしれません。いやーでも、ことのよしあしも含めて結果論ですね。…アドミラブルについては後述しますのでいったん置きましょう。

3、4コーナーでグッと溜めができたのはレイデオロの蓋でもあり、この段階で踏み始めるのは力がなければ、という側面もあり。この地点で素晴らしいアクションを見せたのは四位ですね。4コーナーを待たずにラチ沿いを捨てて、遠心力でアルアインを外に追いやり、レイデオロをロックオンしました。この展開のなかで一番シンプルにレースを進めたのはスワーヴリチャードだったでしょう。ジェンティルドンナの有馬記念がイメージ重なっております。あの時はトーセンラーの牽制で内ラチから1頭分離れてましたけどね。

あー、書きながら気づきましたが、ジェンティルドンナのジャパンカップはスローの上がり勝負でしたね。4コーナーから加速している点は古馬とのフィジカル差でしょうが、ラップ構成はまぁまぁ似ているようです。勝ったジェンティルが33.8、後方一気したデニムアンドルビーは33.2、というのはレイデオロとアドミラブルのコントラストに近いでしょうか。レースラップは以下の通りでした。
12.8-11.4-12.8-12.8-12.6-12.8-12.8-12.4-11.6-11.1-11.1-11.9

直線の追い出しもあわてず徐々に。ルメールは最後まで戦略的でした。ダービー初制覇なのですが、感動の涙的な瞬間はなかったような。昨年サトノダイヤモンドでともに惜敗した分、レース直後はうれしかったですね。獲るべきひとがしっかり獲った、という言葉がふさわしいと思っています。馬券が伴っていれば最高でしたけどね。


藤沢厩舎もダービー初制覇。何とも感慨深いですねー。シンボリクリスエスはダービー本命でしたし、レディブロンドもスプリンターズS本命でしたし、ラドラーダは東京1600でお世話になっているはずですし(おそらくユートピアSは本命でしたね)。厩舎ゆかりの血統で結果を出したことは素晴らしいのひと言。ブラッドスポーツならではの語り口ですものね。

ダービー馬にふさわしい競走生活を、というコメント。この変則的なレース展開でしたから、真価が問われるのは今後のパフォーマンスだと思っています。天皇賞か菊花賞かあるいは。厩舎ならではの選択がいまから楽しみです。ええ、バブルガムフェローの天皇賞は単勝で獲っておりますよ。


本命だったアドミラブルについて。上がり33.3で猛追しましたが3着まで。過去3戦の疲れは敗因ではないでしょう。あくまで外枠が堪えたことと、向こう正面で動ききれなかったこと。この2点が敗因と受け止めています。テンションの高さを理由にしなかったのは何かあるのかな。パドックからゲート前の輪乗りまで、だいぶ首をブンブンしていました。昂ぶりを仕舞いきれないという様子に見えていましたね。

テンションの高さからして、レイデオロとペルシアンナイトを向こう正面で追いかけていたら。3、4コーナーの12.6-12.7を落ち着いて追走できたかちょっと未知数なところがあると思っています。捲らなかったことでレースでの折り合いを壊すリスクを負わなかったことは、結果論ですが、先につながるのではないかと。いったん引くことで33.3の切れを引き出したともいえますしね。

レイデオロより先に捲れていれば立場は入れ替わったかもしれません。でもそこが大外枠を引いたことに帰結するわけですよね。どうしても1コーナーまでに他馬より余計にプッシュしなければいけませんから。やっぱり8枠のダービーは厳しかったかなと。

負けてなお強し。フィジカルについては一番高いパフォーマンスだったと思っています。ぜひとも脚元含めて無事で。秋、期待しています。



レース回顧をしながら気づいたこと。レース中に柔軟にハンドルが効くこと、細かくブレーキとアクセルが踏めること。反応が速く、スタートに不安がないこと。総じてざっくりいうなら、不器用さがないこと。古くて新しいといえばいいでしょうか、No.1を決めるレースほど問われる強みなのでしょう。もちろんフィジカル面、スピードとスタミナが高いことは大前提ですね。

クリンチャーが先行できなかったのは俊敏な加速に足りなく、マイスタイルは末脚の持続力に足りないところがあったでしょう(だからこそのスローでしょうし)。

一方サトノアーサー、カデナでいえばスタートからポジションを取りにいけず、細かくアクセルを踏むと持ち味が活きないタイプでしょうが、特にサトノアーサーはコーナーごとにひとつ後ろひとつ外に追いやられていくような展開。1コーナーはマカヒキのようだったんですけどね。川田も半分覚悟していたでしょうか。

フィジカルの高さに加えて、こうした要素が加味されて初めて、「強い」といえるのかもしれません。馬を仕上げる側は大変ですねw 負けた馬はこのどこかに足りない部分があったと考えると腑に落ちる場面が多いと感じています。あー、それをジョッキーが活かせないケースもままあるでしょうけどね。馬を動かすフィジカルも、先を読む戦略も、タイミングを逃さない反応力も。ジョッキーもまたよりアスリートな要素が求められてきていますね。

今回、スローの凡戦という向きもあるようですが、こうした人馬の機動力も加味した強さが問われたダービーなのだと理解をしているところです。もちろんペースの締まったG1を勝ち切ることも強さの証。だからこそ、そのいずれもで結果を残したキタサンブラックは、やはり現役最強という評価でよいのだと思っています。アドミラブルにはそこまで辿り着いてほしいなと期待しつつ、ですね。



最後に。

すでにあちこちで既出ですが。2004年のダービーはキングカメハメハ‐ハーツクライのワンツーでした。今年はその仔同士でのワンツー。ペースも展開も全然違いますし、偶然の符合なのでしょうが、こうした偶然は長くファンを楽しめるスパイスであるなぁと思っているところです。歴史が繰り返した、的な、ね。

「ダービー馬はダービー馬から」。競馬を始めた当時は輸入種牡馬全盛の時期でしたからね。いまでは父仔制覇は珍しくありませんので。…こんな語り方は古くさいのひと言で一蹴されるところかな。諸々のトレンドをアップデートしつつも、でも、こうした感慨はどこかで留めておきたく。せっかく20年も見届け続けているわけですしね。求められたときにはその推移を熱く語れるように。

…暑苦しくないほうがよいかもですねw


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